生鮮の荒利改善
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
店舗の業績対策とは売上対策がメインとなろう。
しかし経営的には荒利額が最も重要となる。
現場では目先の売上という数値を日々追いかけ、そして翌日に一喜一憂する。それは当日や翌日に直ぐに数値化されて目の前に現れるからである。
それに反して利益は直ぐには目の前に現れない。
売上から仕入れを差し引いた利益は、毎日の推移ではブレるからである。だから月末に棚卸をしてみて初めて、在庫の把握からの利益が確定するのである。
毎日は目に見えてこないことが多い。
だから、月末になって初めて利益が出たのか出なかったのかが判明することになる。
ここが利益の恐ろしいところである。
但し、これも生鮮という毎日の相場や仕入れ、そして在庫の増減の激しい部門で起こりえることであり、グロサリーではあまりそのような要素はない。
だから尚更生鮮の利益に敏感にならなければならないのである。
グロサリーであれば、ほぼ一定の原価と売価で固定されているため、大きな荒利率の増減はない。
しかし生鮮は毎日が相場である青果や鮮魚、そして歩留まりが影響する精肉や、製造した分だけが売上となる惣菜やベーカリー部門であり、日々のロスや廃棄、そして日々の値入という荒利率に対して多くの課題を抱える部門なのである。
生鮮は常に売上以上に荒利率の安定に注目しなければならない。
とは言いながら、仕入れに消極的になれば、当然に売上にも影響してくるし、製造する在庫が無ければ商品化が出来ずに売上面でのチャンスロスという別の大きなロスを生むことになるのである。
中でも荒利安定の大きな要因は値入であろう。
私の経験でも、生鮮の利益が予算を下回る大きな要因は値入不足から来る荒利率の低下である。
現実今の精肉の荒利率低下も適正値入の不足が大きな課題。
原価が高騰している中での、適正な値上げや売価修正が連動していないが為の荒利率低下や、特売で売上金額を稼ぎたいがための低値入過ぎる特売売価によるトータル値入の不足が、月末に棚卸をした結果、荒利率が予算を大幅に下回ったというのがいつもの流れではないだろうか。
それは本部バイヤーの特売値入のチェック、現実の指示売価の値入チェック、そしてそれらを踏まえての適正売価の設定と徹底が無ければ同じことの繰り返しとなろう。
次に見えないロスが挙げられる。
基本的には、ロスは見える化されて、値下機に記録されて翌日にデータ上確認されるのであるが、前日の売れ残りは当日の売価下げて販売したり、見えないところで廃棄したりした結果、記録上何も残っていないので見えないロスとなって原因不明の荒利低下となってしまうのである。
ロス廃棄は必ず見える化による処理が絶対条件である。
最後は調理技術による歩留まり率の高低であろうか。
特に歩留まりでg単価を設定している場合は要注意である。
バイヤーやトレーナーの調理技術から導かれた歩留まりと現場の新人の歩留まりでは、自ずと原価が変わってしまう可能性が高い。
歩留まり計算したらg50円ほどのギャップがあった。
意外によくある話である。
しかし概ねは「適正値入」の不足が要因。
よって、まずは過去一週間程度の上位20品の平均値入を、再度チェックして適正な値入になっているのかどうかを、正しく検証することが重要となる。
正しい検証とは。
値入に対して楽観視しないということである。
厳しく最悪を考慮して検証すること。
それを現場の責任ではなく、売価指示をした自分の課題として捉えることである。
それが登山口に立つということである。
登山口とは昨日のブログの記事。
もう一度昨日の記事を振り返って頂けたらと思う。
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食品商業11月号が発売されました。
当方の執筆は以下の通りです。
1.「てっちゃん流 勝てる!店長塾」
一時限目 ~ ファイブマネジメント
二時限目 ~ 52週MDマネジメント
2.「POP大賞」における優秀賞作品等へのコメント
今回は上記の項目を執筆致しております。お楽しみください。
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部門別顧客の五感のダイジェストをYouTubeにアップ致しました。
「部門別顧客の五感」概略編の視聴はこちらから
競合対策セミナーのダイジェスト版をご視聴頂けます。
「競合対策セミナー④」ダイジェスト版の視聴はこちら
「競合対策セミナー③」ダイジェスト版の視聴はこちら
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52週MDマネジメント(11月編)のダイジェスト版をアップ致しました。
52週MDマネジメント(10月編)ダイジェストの視聴はこちら
52週MDマネジメント(9月編)ダイジェストの視聴はこちら
AJSオール日本スーパーマーケット協会主催「第12期店長塾」(2023年9月13日~14日にて講演を行いました。
昨年に引き続き、第12期店長塾の第三回目の講師を担当
講演テーマ「組織マネジメントにおけるストアコンセプトの効果と実践」
*今年は組織マネジメントの根幹を為す「ストアコンセプト」の重要性を学び、
自店におけるストアコンセプトの作成と実践手法を学び、店舗として52週MD
のPDCAを回すことをテーマとして研修を実施
農協流通研究所主催「全国部門主任サミット」(2023年7月27日~28日)にて基調講演を行いました。
基調講演の内容
①ファイブマネジメントの概略
②4つのハードルを越えて安定成長を目指す
③競合対策としての顧客の五感の実践
④部門特性を活かした販売力の強化
将来的に店長を目指す部門サミット故に、上記の内容で目の前の実践と同時に、店長候補としての店舗運営者としてのマネジメント力向上の二つのテーマでの講演。
AJS(オール日本スーパーマーケット協会)主催の店長研修会(2023年2月7日~8日)にて講演を行いました。
40名近い参加者により、6つのグループワークにて活発な意見交換が交わされる
講演テーマ「競合対策の視点」
各社の現役店長が数名ずつ参加し、大阪堺地区の店舗を視察後、自分が店長だったらという仮定の基に「自分だったらこう対策を打つ」を、グループ討議を経て発表
農協流通研究所主催「全国店長サミット」(2023年1月26日~27日)にて基調講演を行いました。
第13回を迎える全国店長サミット。コロナ禍で順延していたが今回3年ぶりのリアル開催
一時限目 ~ ファイブマネジメントの概略
二時限目 ~ 52週MDマネジメントの継続
三時限目 ~ 果実での52週MDの継続効果
四時限目 ~ お客様の五感による競合対策
参加された店長が、42勝3敗の具体的実践手法を現場で即実践できる内容をメインに講義
イプロス「都市まちづくり」に、てっちゃん塾が載りましたのでご覧ください。
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コメント
hataboさん、コメントありがとうございます。
売上と利益、そう簡単に解決したらどの企業も上昇スパイラルを維持し続けているでしょう。が、そうは問屋が卸さない。だからそこを切磋琢磨して磨いてきたのでしょうね。
但し、一つだけいることは、守っただけでは荒利額は縮小均衡に陥っていくばかり。攻めながら守るというスタンスが重要と思います。販売力が無ければ利益は生み出せない。これは事実だと考えます。
投稿: てっちゃん | 2023年10月20日 (金) 06時50分
利益に走ると売上が下がる、うちは粗利コントロールが下手です。
いかに商品の中身を変えながら、値上げと気づかれず作っていくテクニックが必要ですね。
また上位20品の利益が実は取れていなかった、ということも大いにありえますのでしっかりと確認しながらやってまいります。
投稿: hatabo | 2023年10月19日 (木) 12時30分
通りすがりの業界人さん、コメントありがとうございます。
今日もずばずば本質をついてくれましたね(笑)。
仰る通り、利益が確保されているから戦える。だから競合対策以前に自店の店舗力を高めておくことが最優先ですね。
そして登山には、計画と準備が大切。
それも店舗力に置き換えてみるとその通りですね。
投稿: てっちゃん | 2023年10月19日 (木) 08時52分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
やはり幹部や店長自身が現役部門担当者時代に、利益獲得の実践の数をこなしてこなければ、部下への指導は的外れにならざるを得ないですね。だからこそ、現役担当者は最終利益に対して貪欲にならなければ、自分の未来は無いと思うことでしょうか。
それをかっては強制的に学ばされたが、今は自ら学ぶ姿勢を持たなければならない時代(〇ハラ呼ばわり)。
それを仕組み化とマニュアル化で改善しなければならない時代になったのでしょうね。
投稿: てっちゃん | 2023年10月19日 (木) 08時45分
k,kさん、コメントありがとうございます。
登山の真下にいる、という実感だけでも今後の方向性が明確になっているということですからね。
あとは自分の腕を信じて利益頭になっていくことでしょう。
しかし値入=荒利予算、とは。
私には無理😨
投稿: てっちゃん | 2023年10月19日 (木) 08時40分
お客様の満足度⤴️🟰店の儲け💸💰と考えています。
やっぱり信用が大事♡
鮮度の信用、商品化の信用、品揃えの信用、欲しい商品がある信用➸信用はお客様のお店への愛♡
それらが、揃ってるから安定してブレないでお客様が来るんだって感じています。
競合店に行く裏切り行為は、自分達の怠慢なんっす😓だから、他人や競合のせいにしちゃダメ(`・д・)σ メッ
だから、信用がないと来店数がブレブレでロスが😭結果、荒利が取れない😭
荒利コントロールできないと競合と戦えないよ⚔️👿
『通りすがりの業界人川柳』
山登り、準備と計画、大事だよ((* •̀ㅂ•́)و✧
お後がよろしいようで(˶> <˶)
投稿: 通りすがりの業界人 | 2023年10月19日 (木) 08時30分
上位20品の利益構成比、更には売上構成比を知ると大まかなコントロールが出来ますね。
担当者は元より管理者も知らなければミーティングも出来ません。だから的外れのミーティングや目標しか出てこない(笑)。
人物金のバランスと言いますが売上利益の金を増やさねば縮小均衡、更には本日のFBネタ如く真っ赤っかーとなり得る時代。数値に対する意識付けが登山口への一道標かと・・・当社のメンバーはトップや本部が綱を引いて登らせてくれると信じてますが(笑)
投稿: dadama | 2023年10月19日 (木) 06時21分
そうですね~新たな登山口の真下におります。販促施策が弱くなったら今度は低値入れです。平均値入れと粗利予算が同じです(笑) ロスを全く出すなと。でもこちらのほうが粗利は予算に近つけられます。売り上げも私の現場は前年度越えてます!もちろん、PBも売りますが地域性を加味して粗利が取れる食材、加工を増やすのはベテラン勢ですね。登山を楽しみます(^∇^)
投稿: k,k | 2023年10月19日 (木) 05時01分