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2023年10月 2日 (月)

ある店舗視察から①

皆さん、こんにちは。
 小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。


今週の記事で「陳列へのこだわり」を記した。

  今週はこの視察店舗を特集してみたい。

九州にあるこの店舗は、坪数約300坪程度の中型店である。

  驚くのは開店10時まえから20人ほど行列を為していた。

開店待ちのお客様が、外に並んでいるのである。チラシ商品購入のために並んでいるのではない。目的は青果の野菜類の購入であろう。

  それだけ野菜の価格は圧倒期に安い。

キャベツ、レタス、きゅうり、小松菜、とうもろこし、人参、たまねぎ等、相場高の野菜類の価格が二桁売価に近い設定で大陳されているのである。この価格であれば、毎日数量限定で展開されているのであれば、お客様は開店前から並ぶであろう。

  “どれも原価割れだろうなぁ~


それだけ、他の企業の価格とはかけ離れた売価設定をしている。その他に果実類も、柿、梨、ぶどう類の旬の果実が圧倒的な価格で大放出されている。

このお店の店長と会話する機会があった。

  「圧倒的な価格ですね?。」

    「キャベツは毎日この価格を通してます」

  「よく、この価格で売れますね。」

    「当然原価割れですが、他でカバーしてます。」

とのことである。部門内での荒利ミックスというよりも、店長権限で店舗としてのダイナミックな荒利ミックスによって店舗トータルの荒利獲得を実践しているという。

  完全に個人商店の思考である。

但し、この価格設定を崩さない為に、絶対にロスは出さないという方針だという。その為に、一日の売れ数以上を発注することは無い。よって夕方になると欠品になるという。それもあって午前中からのこの集客力となって現れるのであろう。

  ロスを絶対に出さないという商売。

閉店時間も夜7時となっており、それも含めて午前中から午後一番が勝負なのである。そして、午前中からの圧倒的な集客力を利用して、どの部門も開店時間の10時にはほぼ100%の品揃えが完了し、そして精肉などは大陳されているのである。

  他店との違いは陳列技術。

この陳列技術故に、商品価値が高まり、野菜の目的買いと並行して他部門の衝動買いが生まれるのである。そして青果で放出した荒利を他部門の陳列技術を以って荒利ミックスからの店内調整が可能となるのである。

  その思想が店内で一気通貫しているからこそ可能なのであろう。

青果部門での価格での尖り。そして鮮魚精肉惣菜での、魅力ある商品化と陳列技術から生まれる商品価値。

  この記事を読んで納得できない方もいるだろう(笑)。

“てっちゃん、そんな簡単なことではないよ”

  しかしそれはあくまでも縦割り思想である。

部門内の縦割り思想を排除すれば、このような売価設定と、青果部門の尖りが生まれるのである。

  但し青果部門以上に他部門の商品価値は高い。

だからこそ、店舗が一個の商品として尖りながらも、その尖りを土台にして全部門が高い商品価値にてバランスよく売上ウェイトを高めているからこそ、このような青果での売価設定が可能なのである。

  青果だけのお店。

そうなったら、この売価は設定できない。やはり食品スーパーはどの部門もそれ相応の役割を果たしてこその存在なのである。






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食品商業10月号が発売されました。
202310_20230907072201
当方の執筆は以下の通りです。

1.「てっちゃん流 勝てる!店長塾」
    一時限目 ~ ファイブマネジメント
    二時限目 ~ 52週MDマネジメント

今回は上記の項目を執筆致しております。お楽しみください。



PS
部門別顧客の五感のダイジェストをYouTubeにアップ致しました。

  「部門別顧客の五感」概略編の視聴はこちらから


競合対策セミナーのダイジェスト版をご視聴頂けます。

  「競合対策セミナー④」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー③」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー②」ダイジェスト版の視聴はこちら
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52週MDマネジメント(10月編)のダイジェスト版をアップ致しました。
  
  52週MDマネジメント(10月編)ダイジェストの視聴はこちら
  52週MDマネジメント(9月編)ダイジェストの視聴はこちら


AJSオール日本スーパーマーケット協会主催「第12期店長塾」(2023年9月13日~14日にて講演を行いました。
 
 昨年に引き続き、第12期店長塾の第三回目の講師を担当
  講演テーマ「組織マネジメントにおけるストアコンセプトの効果と実践」
  *今年は組織マネジメントの根幹を為す「ストアコンセプト」の重要性を学び、
        自店におけるストアコンセプトの作成と実践手法を学び、店舗として52週MD
        のPDCAを回すことをテーマとして研修を実施


農協流通研究所主催「全国部門主任サミット」(2023年7月27日~28日)にて基調講演を行いました。

基調講演の内容
 ①ファイブマネジメントの概略
 ②4つのハードルを越えて安定成長を目指す
 ③競合対策としての顧客の五感の実践
 ④部門特性を活かした販売力の強化
将来的に店長を目指す部門サミット故に、上記の内容で目の前の実践と同時に、店長候補としての店舗運営者としてのマネジメント力向上の二つのテーマでの講演。


AJS(オール日本スーパーマーケット協会)主催の店長研修会(2023年2月7日~8日)にて講演を行いました。

40名近い参加者により、6つのグループワークにて活発な意見交換が交わされる
  講演テーマ「競合対策の視点」
各社の現役店長が数名ずつ参加し、大阪堺地区の店舗を視察後、自分が店長だったらという仮定の基に「自分だったらこう対策を打つ」を、グループ討議を経て発表


農協流通研究所主催「全国店長サミット」(2023年1月26日~27日)にて基調講演を行いました。

第13回を迎える全国店長サミット。コロナ禍で順延していたが今回3年ぶりのリアル開催
   一時限目 ~ ファイブマネジメントの概略
   二時限目 ~ 52週MDマネジメントの継続
   三時限目 ~ 果実での52週MDの継続効果
   四時限目 ~ お客様の五感による競合対策
参加された店長が、42勝3敗の具体的実践手法を現場で即実践できる内容をメインに講義


イプロス「都市まちづくり」に、てっちゃん塾が載りましたのでご覧ください。



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商売」カテゴリの記事

コメント

hataboさん、おk麺とありがとうございます。

最後は店舗が一個の商品としてどれだけ顧客の支持を得られるか。
そこに縦割りの部門単位の狭い了見が邪魔することもままありますからね。

部門単位で損益管理を細分化すればするほど、安定した利益管理は可能でしょうが、それだけではいずれ資本力のある組織に凌駕されていく運命にもある。

重要なのは、最後は個店で勝てているのかどうか。そこに個店としてどこよりも強い一個の商品化が大切かと思うのです。

投稿: てっちゃん | 2023年10月 3日 (火) 10時25分

dadamaさん、コメントありがとうございます。

確かに3年後も含めて見えてこない時代であるし、予測以上に進化する部分と退化していく部分が一気に露出してくる時代だと思います。

だからこそ尚更、トップの方向性の明確化が企業の運命を握るようにも思います。そうやって組織が変われることがリーダーシップかとも思います。

投稿: てっちゃん | 2023年10月 3日 (火) 10時21分

青果は集客部門とは言いますが、青果だけでは粗利の回収は難しい、それを店長が各部門の位置づけを明確にし、粗利ミックスする。
すばらしい取り組みですね。

投稿: hatabo | 2023年10月 3日 (火) 07時12分

主題と逸れますが、ふと感じたのは最近3年とか5年、所謂中期計画が見え難い時代になったのかと。我々の商売は毎日が勝負。毎日のちょっとした積み重ねが中長期で見ると大きな力になるのでしょうね。逆もまた真ですが(笑)。

投稿: dadama | 2023年10月 2日 (月) 20時53分

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