安さ感の実践
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
「安い」と「安さ感」は異なる。
このブログでも何度も言ってきたと思う。
絶対的な安さと相対的な安さとでも言い換えることが出来ようか。
絶対的な安さとは、価格比較して安いこと。
相対的な安さとは、感覚記憶にて安いこと。
よって、相対的安さに至る過程のどこかのタイミングでは、必ず絶対的な安さがあったということでもある。その絶対的な安さがあって初めて、顧客の記憶の奥底に、“このお店は〇〇が安い”という記憶が残り、その記憶が後になって「安さ感」を獲得していくのである。
絶対的な安さで記憶に残る時。
相対的な安さ感を獲得した時。
これから旬を迎える商品などは、ピークになる少し前に絶対的な安さを提供して顧客の記憶の留めるタイミングが必要なのである。そしてその商品が最大ピークを迎える時には、既にそのお店に対して顧客の安さ感が植え付けられ、他店との比較無しで来店動機が高まっていることで、価格比較無しに来店され、その商品が売れていくという構図なのである。
この構図は52週MDを5年以上継続してこないと見えてこない構図かもしれない。
3年程度継続してようやく見えてくる。
4年目から勇気をもって実践してみる。
そうして5年目から自信を持って52週を把握した上で、相場や旬の野菜や果実において先手を打って実践することで、その旬の果実や野菜、そして鮮魚やイベント商材において、絶対的安さと相対的安さの使い分けと組み合わせをコントロールできるようになってくるのである。
始まりは生梅だったような気がする。
旬の短い果実。そして玉が多くて鮮度落ちも早い商品。更には普段からあまり食べないし作らない。まして年に一度、この5月後半から6月いっぱいの旬の短い商品である。
当初は全く認識が無かった。
店長として赴任したお店で毎日青果の在庫チェックをしていると、なにやらみかん箱のようなケースが山積みになっていた。
「これナンダ?」
チーフが答えた。
「生梅ですよ。」
私は尋ねた。
「こんなに売れるのか?。」
そこから、生梅との格闘が始まった(笑)。そしてその在庫を初年度は私も手伝って、レジからの応援ももらってある程度袋詰めして、在庫分だけ全て売場に出し尽くしてみた。
青果入口正面で展開したら全部売れてしまった。
そこから、生梅にハマり、更に追加して展開したが、最後は父の日以降はロスとなって利益が全て吹っ飛んだ。
52週MD反省から翌年の対応が始まったのである。
そして実践したのは、
生梅は「父の日」を最大ピークとして売り切ること。
その為には、周囲のピークよりも一週早い父の日に価格を出して最前列で展開して、競合他社より先手を打って仕掛けること。
そして先手を打って売り切る事。
結果として、地域で一番で生梅を独り占めすることが出来たのである。
そしてそれは他の果実にも効果があった。
やがてそれは野菜にも、他の旬の商材にも応用していったのである。
5年後からは52週MDに沿った旬の独り占めが可能となったのである。
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コメント
hataboさん、コメントありがとうございます。
エリア特性も多いにあると思います。
但し、どんな商品でも旬の独り占めをするという経験は大切かと。
この時期だとそんな商品が続々入荷しますので👍
投稿: てっちゃん | 2023年5月26日 (金) 08時06分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
流石は生梅をトラック一台仕入れ売っただけのことはありますね😱。
その時々の売り方。売り方と言うよりも使い方と価格の打ち出し方にマニュアルには無いヒントが隠されていますね。
マニュアルだと、そのタイミングでは仕入れるな、売るな、の指示なのでしょうね。
投稿: てっちゃん | 2023年5月26日 (金) 08時02分
梅の販売はほんとに難しいです。
家に梅の木があるから青梅はあまり売れませんし、南高梅もその年の当たり年や裏年で売れ方が全く違う。
ホワイトリカーと氷砂糖の売れているのに梅が売れないなど(泣)
利益をふっとばす最有力候補です(笑)
52週で見事に売り逃げ切れるようにしっかりとPDCAを回していきます。
投稿: hatabo | 2023年5月26日 (金) 07時28分
在庫を全て出し切り正面一等地で見せて売る。
単品量販の極みですね。
但し青梅は用途的にリピ買いは限られニ兎目を追うと痛い目に合うリスクはありますね。市場で価格が崩れるのも消費者の需要が無くなるからで相場が安いと仕入れて安く販売しても全く売れない(笑)。唯一の仕掛けは青梅、後半は熟度が進んでいるので冷凍して瓶に砂糖を入れ自然解凍すると梅ジュースが出来ますから冷凍して飲みたい時にどうぞ的な告知をすれば買われるお客様はいるかと思いますよ。今年は暑い夏になるので熱中症予防ドリンク提案にも宜しいかと。
投稿: dadama | 2023年5月26日 (金) 06時21分