攻めと守り
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
攻める時と守る時。
どちらも大切である。
しかし、意外に誤解されやすいのは、攻めと守りを完全に分断して考えようとすることである。
攻めと守りはあくまでも同時進行が原則である。
そう言うと、また誤解を生むと思われるので、今日はその辺の話をしようと思う。
我々の業界は競合店との関係を戦争に例えることが多い。
競合店との関係を「戦い」と読んで、戦いを挑むとか、戦いに勝つとか、現状は戦いに負けているとかいう表現を使う。そして、戦いと言うイメージで言うならば、スポーツでいう「野球」をイメージしてしまう。
攻める = 攻撃する
戦争なら、相手に対して前進して相手の領土を奪うような行為が攻めるであり、野球でいうなら攻撃と守備の立場が完全に逆転しているから分かりやすい。
同様に仕事でも攻めと守りを完全に分けて考える体質がある。
しかし、私は「攻め」と「守り」は同時進行だし、攻めながら守るという視点が非常に重要だと思っている。そしてそのような視点で現役時代は実践をしてきたからである。
攻める時は業績の良い時。
守備の時は業績の悪い時。
そのような区分けで、業績が良ければどんどん仕入れ金額を増額して、売場を拡大して来店されたお客様に更に多くの点数を購入して頂き、売上を拡大させようとする。
逆に守りの時は、利益をしっかり獲得しようとして、在庫を減らし売場を縮小し、そして仕入れ金額を削減して無駄なロスを削減して極力荒利額を守ろうとするのである。
結果として益々売上が落ちていく経験を何度も積んできた。
それが、以前にも話した「下降スパイラル」に陥る要因でもあるのだ。確かに無駄な仕入れと無駄な売場をせずに適正な身の丈の売場作りは重要であるが、同時に売場の魅力も無くなっていくのである。
お客様の来店動機とは売場の魅力そのものなのに。
その売場の魅力が削減されていくと、ロスも減るが、同時に来店客数も減少し、結果として買上点数も激減していくこととなる。
行きつくところは荒利額の激減である。
売場の魅力を落とさないということは、ある意味「攻め」の売場を維持するということである。ではどうして売上減少に伴う荒利額の獲得を図るのか。
そこに攻め続ける意味があるのである。
攻めなければ点数拡大には繋がらない。しかし逆に無駄なロスのリスクも拡大する。だから利益商品で攻めるという行為が必須となるのである。
利益商品の点数を拡大させる。
その為には、販売力が伴わなければならないし、その販売力は攻め続けるという売場からでしか獲得できないし、お客様の来店動機も高まらないのは、従来からの歴史が物語っているのである。
その販売力を全ての売場に当てはめて考えようとするから、実践しようとするから道を踏み外すのであって、最後まで拘る部分は限定されている。それは、
顧客の五感である。
競合店との顧客の感度で捉えた五感で負けない売場を維持することで来店動機は高められていく。売場のスペースでもなければ品揃えでもない。
鮮度感、季節感、安さ感、安定感、親近感
店舗として、この五つの五感で負けない売場を維持し、そして高い販売力を以って荒利ミックス商品で攻めて、トータル利益を獲得していく。
その継続がいずれ上昇スパイラルを生み始めるのである。
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コメント
hataboさん、コメントありがとうございます。
攻め=非効率な差別化
守り=作業等の平準化
そして効率のみを重視するスタンスが結果的には負のスパイラルを生んでいく土壌をつくってしまう。
興味あるコメントですね。
いつかじっくり聞きたいなぁ~😎
投稿: てっちゃん | 2023年5月28日 (日) 20時56分
バタバタしててコメント遅れました(笑)
うちで言うと攻めは差別化、非効率なこと、守りは作業の平準化などによる効率化。
この両輪を回さないとやっていけないです。
勉強会も攻めるためには欠かせないことと捉えなるべく集まる習慣を作っています。
以前これをやめたときに負のスパイラルに陥ったので。
投稿: hatabo | 2023年5月28日 (日) 19時30分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
五感。
当然、マニュアル化は無理ですね(笑)。
同じマニュアルで同じレイアウト、システムで仕事をしながらも、なぜこうも業績が異なるのか。そこにむしろマニュアル以外の要素があり、それが暗黙知となって担当者の知恵となっていく。その暗黙知はむしろ上司の後ろ姿から学ぶ部分が多いのかもしれませんね。
とは言ってもマニュアルを必要とする企業もあり、企業がチェーンかしていく上では企業毎に必須のアイテムでもある。
しかし最後は一人一人の「売る楽しさ」に行きつくのかなぁ~と思います。こればかりは全てのマニュアルを飛び越して全てを解決するキーワードかなと思うのです。
投稿: てっちゃん | 2023年5月27日 (土) 06時38分
5感ですか。マニュアルにどう記しましょうかね(笑)。完全PC化により売場を陳列作業のみに徹する企業は陳列のマニュアルが作れそれに基づく作業割当でスキルも必要せずに短時間パートによる効率的運営が可能ですし、生産性の高さから価格設定も低く出来お客様から熱烈の支持を得る。
スーパーの原点である「薄利多売」で成長出来る企業は強いですよ。特に消費の二極化に突き進む現代、お客様のメリハリ消費と店舗使い分けは益々進み客数以上に買上点数も下がると思います。お客様は今、どのような状態で何を望まれており、自店はどこでお客様に認めて戴くのか?
お客様がメリハリ消費をされるのですから店舗もメリハリ売場にせねばならない。攻める部門、カテゴリーと定番管理等基本の徹底で守る部門。
それに合わせた在庫管理が必要であり所謂有益な在庫と無益な在庫の見極め・・・担当者の口八丁を見抜ける知識も管理職は持たねばですね。
大手企業のサラリーマン化の弊害とも言える管理職の商品知識が薄い?興味がない?のも攻め所かも知れません・・・勿論例外店長も居ますが(笑)。
投稿: dadama | 2023年5月27日 (土) 06時25分
k,kさん、コメントありがとうございます。
鮮魚部門の特性。
原価管理、旬の存在、相場対応、52週の変化
これら全てが強みとして存在していたかっての花形部門。
しかし昨今はイベント性も失われ、調理の手間や食べる時の骨の存在等、マイナス面におけるデメリットによって、購買の縮小均衡が続いていますね。
それでも店舗においての鮮魚部門の存在価値は高く、「鮮度感」というお客様の五感に占める鮮魚部門の割合は圧倒的であり、その鮮度感で来店され店舗内でのワンストップショッピングによって店舗が潤うという存在感。
企業として鮮魚部門をどう位置づけるか、それがこれから問われていくのではないでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2023年5月27日 (土) 05時54分
店の昨年対比より自部門が落ちてると利益商品の人気商品を安売りしてしまいます💦 攻めようと思えば何でも安売り出来ますが守り。粗利を取るのが難しい現状です(((^^;) もちろん、生魚の相場が下がって売り時にはがっかり粗利取りますが最近は残念ながら月に何度もありません。するとロス管理の徹底を申し渡されます。なんとも歯がゆいですね~
投稿: k,k | 2023年5月27日 (土) 05時20分