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2023年4月20日 (木)

関連のDNA化

皆さん、こんにちは。
 小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。



関連販売。

  これも企業毎に認識が大きく違うものである。

関連販売という意識の全くない企業は、単に部門別に縦割りとしての単品を量販する事のみに重点的に視点を持つ企業もあろう。かと言ってこれも私は否定はしない。余計なことを考えずに、ひたすら自部門の単品を効率よく欠品無く売場を維持し続けられることは、基本中の基本でもある。

しかし縦割りの部門という意識と、顧客の食事という意識にはギャップがある。スーパーとは元々は八百屋、魚屋、肉屋等の個人商店の集まりからスタートし、その集合体として利便性を発揮しながら発展してきた。そして部門別に一つの企業として運営されていく中で、店舗内での部門別商品の組み合わせ販売が可能となった。

  これが関連販売の始まりである。

野菜、魚、肉など概ねの素材は調理を必要とする。キャベツを売場で展開されている素材をそのまま丸かじるする方はいないだろう。必ず何かしらの調味料であり、ドレッシングであり、加工食品と共に料理をして食卓に上るものだ。

  キャベツと浅漬けの素。

そのような組み合わせで購入される方もいるであろうし、それ以外にも、回鍋肉にしたり野菜炒めにしたりと多彩である。

  そうやって部門間の関連販売の意識が高まってきた。

その延長線として、キャベツの量販時に部門合同展開として、キャベツに関わる料理に必要なある程度頻度の高いメニュー提案として、各部から関連性の高い素材を一つの売場に集めて提案する売場が登場してくることになる。

  それをチラシ上で提案したりもする。

そうやって、素材の価格での打ち出しだけではなく、お客様の用途をこちらが逆に提案するというスタイルに切り換えて来店動機を誘う販売手法を取り入れている企業も多い。

  しかし逆に複雑な売場となるデメリットも生じてきた。

食品スーパーの担当者は、店長や副店長以外は部門に属している。よってまずは自部門の売場と商品に精通する必要はあるが、ある程度その基本が出来てきた段階では、青果担当者がキャベツを販売する場合に、キャベツをどのように調理をしてメニューとして食するかという知識を持つことが重要となろう。

  要は自分が販売する商品がどのように食卓に上がるかを知ること。

その上で、企業としてまたは店舗として、せめて一単品の関連商品がどの従業員からも同じ回答が挙がってくるようなDNAが構築されていることが理想ではないだろうか。

  キャベツに浅漬けの素。
  きゅうりにもろみ味噌。
  新たまねぎに青じそドレッシング。

等々、一単品に対して、絶対的に効果のある一単品が従業員の体にDNAとして刻まれていることが大切なのではないかと思うのである。

  それは主力野菜に対して一単品の関連が基本。

しかし野菜に限らず、生鮮の各カテゴリーの主力商品に対しても、同様の発想で、一単品の関連商品がDNA的に体に刻まれていることも重要かと思う。

  まぐろには〇〇。
  塩サケには〇〇。
  豚バラには〇〇。
  鶏ももには〇〇。

等のように、自分の部門の主力カテゴリーに対して、せめて一単品の関連が組織内で共有され、常に即答できることが、その企業の組織としての力の源泉になっていくのではないかと考えるのである。

  そこから自分を飛び越えた店舗力へと昇華していくのである。





食品商業5月号が発売されました。
20235
当方の執筆は以下の通りです。

1.「てっちゃん流 勝てる!店長塾」
    一時限目 ~ ファイブマネジメント
    二時限目 ~ 52週MDマネジメント

今回は上記の項目を執筆致しております。お楽しみください。




PS
部門別顧客の五感のダイジェストをYouTubeにアップ致しました。

  「部門別顧客の五感」概略編の視聴はこちらから



AJS(オール日本スーパーマーケット協会)主催の店長研修会(2023年2月7日~8日)にて講演を行いました。

40名近い参加者により、6つのグループワークにて活発な意見交換が交わされる
  講演テーマ「競合対策の視点」
各社の現役店長が数名ずつ参加し、大阪堺地区の店舗を視察後、自分が店長だったらという仮定の基に「自分だったらこう対策を打つ」を、グループ討議を経て発表



農協流通研究所主催「全国店長サミット」(2023年1月26日~27日)にて基調講演を行いました。

第13回を迎える全国店長サミット。コロナ禍で順延していたが今回3年ぶりのリアル開催
   一時限目 ~ ファイブマネジメントの概略
   二時限目 ~ 52週MDマネジメントの継続
   三時限目 ~ 果実での52週MDの継続効果
   四時限目 ~ お客様の五感による競合対策
参加された店長が、42勝3敗の具体的実践手法を現場で即実践できる内容をメインに講義



競合対策セミナーのダイジェスト版をご視聴頂けます。

  「競合対策セミナー④」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー③」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー②」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー①」ダイジェスト版の視聴はこちら
 


52週MDマネジメント(4月編)のダイジェスト版をアップ致しました。

  52週MDマネジメント(4月編)ダイジェストの視聴はこちら
  52週MDマネジメント(3月編)ダイジェストの視聴はこちら
  



イプロス「都市まちづくり」にも、てっちゃん塾が載りましたのでご覧ください。






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コメント

dadamaさん、コメントありがとうございます。
「暴」店長。
その某店長が私の仲間に大勢いるので、誰を指しているのか時に分からなくなることがあります(笑)。
しかし重要なのは実践する本人のやる気度でしょうね。言われてやる、いやいややる、しょうがないからやる、というレベルでは何も変わらない。多少の違いはあるにしても、実践する本人のやる気で成功率はほぼ100%になってしまうのも不思議が現象でしょうか。これも量子力学?😎

投稿: てっちゃん | 2023年4月20日 (木) 07時28分

hataboさん、コメントありがとうございます。
部門担当からチーフへ、そしてバイヤー、店長と職位と視点、そして業績責任によって人は大いに変わっていくものです。私も一番尖っていたのはチーフ時代。怖いものなしでした(笑)。そして店長になって関連販売という視点に至った。そして成功事例を作ると、鮮魚チーフが翌年から関連を要望するようになる。そうやってこの業界で成長していくのでしょうね。

投稿: てっちゃん | 2023年4月20日 (木) 07時24分

やらされ感(笑)。で、売場に気合いが感じられずお客様の琴線に響かない(笑)。
関連販売こそ五感に訴えてナンボですから担当者の売る気で販売力は変わるでしょうね。
コロナも落ち着いてきたので試食による味覚、嗅覚、視覚に訴えるのは有効で有ると思いますし、
その様な提案をメンバーが自発的に考え行動する様なモチベーション誘導が店長の醍醐味でもあるでしょうか。暴店長のように自らが前向きに楽しみながら仕事をする姿を見れば必ずメンバーも秘めた力を解放し期待値以上の実力を発揮しますね。

投稿: dadama | 2023年4月20日 (木) 07時21分

関連陳列は重要だと思いますが、やりっぱなしになることが多く課題です(笑)
弊社では店長からの提案ではやらされてる感が出てしまい、責任という部分が欠落します。
以前、よく言っていたのは「店長はいらない」と(笑)
厳密に言うと絶対にいなくてはいけませんが、横のつながりがちゃんとできれば部門を飛び越えて話し合い、自然と関連陳列を出すのでは?との考え方からでした。
現在は11時に各部門からパートさん社員を出し、店の中を回ります。
そこと売り場を指摘するという取り組みをやりだしてからは多少、自分たちで考えて動くようになりました。
私が青果の頃は、なんでうちの売り場に他の商品出さなきゃいけねーんだよ、うちの商品出せねーだろ💢と(笑)
人って変わるものですね(笑)

投稿: hatabo | 2023年4月20日 (木) 06時59分

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