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2023年3月14日 (火)

3.11から12年

皆さん、こんにちは。
 小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。



毎年、3.11が近づくと放映される東日本大震災に関する報道。

  2011年3月11日午後2時46分。

たまたま休日でテレビ報道を見ていたが、午後2時以降からは続々と3.11の報道をするテレビ各局が増え、いよいよ午後2時46分となると、全ての局で3.11によって亡くなられた方々への黙祷(もくとう)と、当時の映像が流れ始めた。

  “こんな穏やかな日だったなぁ~”

最近では、3.11を経験していない従業員も相当数存在し始めている。そうやって徐々に震災によって改めて、我々食品小売業に従事する者としての使命であり、この業界の存在意義を思い知らされた業界関係者が多かったのではないだろうか。

  ここ数年のコロナ禍によるエッセンシャルワーカーの存在。

この業界は、事が起こる度にその存在意義と業界の全体の使命を、従事するもの全てに振り返させるものなのであろう。

  震災直後。
  震災当日。
  震災数日。

震災からの一週間は、毎日が激変の連続であった。

  地震直後の自分の行動。
  そこから数時間の行動。
  発生後から閉店の行動。
  閉店以降の自宅の状況。
  翌日以降の店舗と自宅。

いままで経験したことのない日常が、時間の推移とともに新たな環境の変化として襲ってきた。

  たまたま自店は大きな被害の遭遇が無かった。

しかし、周囲の自社店舗は甚大な被害を被った。自社以外にも周囲の競合店も被害を被ったお店がほとんどだった。

夜遅く来店されてお客様から言われた。

  「遠くから光が見えて買い物に来たのよ」
  「国道を走り続けてここだけ開いていた」

等々の言葉。全てはお客様の話から聞こえてきた周囲の状況である。後に知ったのだが、周囲は地震直後からの停電で営業も出来ず、また信号等も機能しない状況だったらしく、ようやくこのお店に辿り着いたらしいのである。そしてこのお店だけは大きな被害を被らずに通常営業をしていたらしい。

  自店の状況しか知らない自分にとっては大きな情報であった。

それだけ、外部からの情報が遮断された震災後の状況がそこにあったのである。

  普段の営業ができるという日常。

それが、震災後からは日常ではなくなるという環境。そしてそこで初めて知るのは、食品を販売する小売業としての存在であった。

  それは人間が生きる為に必要不可欠な商品であったということ。

そして、その生産や流通が、そして販売という場が失われた段階から、人間の暮らしにとって重要な存在となるという存在意義を教えられたのである。

  当時50歳の私の初めての経験であった。

それだけ、長い年月をこの業界で過ごしてきたのであるが、そこまで認識させられたのは初めてであった。そして同時に多くの業界関係者、とりわけ店舗に従事する人間にとっては重大な経験であったのである。

  “俺の仕事とはこれだったのか!”

そして、多くの店舗従事者は、その使命感に驚き、それ以降の自分の使命感を強く持てるようになったのである。

  あの強烈な経験があるから今がある。

そう振り返る業界関係者は多いのではないだろうか。

  今コロナ禍という環境。

しかし、あの時の使命感がコロナ禍に直面した3年前にも大きな心の支えになったことは間違いない。

  ピンチはチャンス。

決して自分は、あの震災で大きなダメージを負ったわけではないが、それでもピンチをチャンスに変える視点を持てるようになったのかもしれない。






食品商業4月号が発売されました。
20234
当方の執筆は以下の通りです。

1.「ヤオコー宇都宮初出店」
    ヤオコーとヨークベニマルの戦い

2.「てっちゃん流 勝てる!店長塾」
    一時限目 ~ ファイブマネジメント
    二時限目 ~ 52週MDマネジメント

今回は上記の項目を執筆致しております。お楽しみください。




PS
AJS(オール日本スーパーマーケット協会)主催の店長研修会(2023年2月7日~8日)にて講演を行いました。

40名近い参加者により、6つのグループワークにて活発な意見交換が交わされる
  講演テーマ「競合対策の視点」
各社の現役店長が数名ずつ参加し、大阪堺地区の店舗を視察後、自分が店長だったらという仮定の基に「自分だったらこう対策を打つ」を、グループ討議を経て発表


農協流通研究所主催「全国店長サミット」(2023年1月26日~27日)にて基調講演を行いました。

第13回を迎える全国店長サミット。コロナ禍で順延していたが今回3年ぶりのリアル開催
   一時限目 ~ ファイブマネジメントの概略
   二時限目 ~ 52週MDマネジメントの継続
   三時限目 ~ 果実での52週MDの継続効果
   四時限目 ~ お客様の五感による競合対策
参加された店長が、42勝3敗の具体的実践手法を現場で即実践できる内容をメインに講義



競合対策セミナーのダイジェスト版をご視聴頂けます。

  「競合対策セミナー④」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー③」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー②」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー①」ダイジェスト版の視聴はこちら
 


52週MDマネジメント(3月編)のダイジェスト版をアップ致しました。

  52週MDマネジメント(3月編)ダイジェストの視聴はこちら
  52週MDマネジメント(2月編)ダイジェストの視聴はこちら



イプロス「都市まちづくり」にも、てっちゃん塾が載りましたのでご覧ください。


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店長の仕事」カテゴリの記事

コメント

k,kさん、コメントありがとうございます。
いろいろな方が、あの場面でいろいろな状況に遭遇しているものですね。
宮城県の海沿いの大手GMSの店長だった知り合いの方は、一晩屋上の駐車場でお客様数百人と過ごした方もおりました。そんな経験をこの業界の使命の重要性を思い知ったと言っていました。いつあのような、という経験が違う場面でも活かせるのかと思います。

投稿: てっちゃん | 2023年3月15日 (水) 07時40分

あれから12年経ってんですね。自宅もやられましたが実家の裏の崖が一部崩れて家が真っ二つ(^_^;) 命があるだけ助かったと思ってます。スーパーも進化してますね。追い付くのが精一杯ですが魚屋の原点を忘れずやっていきます。若手を育てたいな~

投稿: k,k | 2023年3月15日 (水) 07時06分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
思えば、毎日何気ない日常ですが、確実に世の環境に応じて商売は変化しているもの。

  “変化したなぁ~”

から

  “予定通りだなぁ”

に変えていきたいものですね。
しかし、そこから先は個々人の先見の優劣が明確に現れるのも事実。だからこそ、最先端の現場力を育成していきたいですね。

投稿: てっちゃん | 2023年3月14日 (火) 07時15分

私のお店の近くには自衛隊の師団がありまして連日援助物資の買出しにこられ、私達も本部と協力しながら水やカップ麺の提供をしましたね。
日頃意識されなくても災害かコロナ等有事になると存在価値が高まる・・・
然しながら値上げ、マスク解禁、花見等細やかな日常の出来事を店舗が有事と気がつくか気が付かないか。細やかな有事は日常茶飯事に起きている。例えば桜の開花は統計以来最も早いらしいですがいつに焦点を合わすのか。本日も花見の出費は昨年の2倍とテレビで報道されてました。
月末の週末は大きな販売チャンスであり、天候予測をしながら細やかな発注に心掛ければ宝の山となるのでしょう。有事の大小に関わらず普段からお客様に信頼される店に心掛けアンテナをはり予測して動く事は大切ですね。

投稿: dadama | 2023年3月14日 (火) 06時53分

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