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2023年2月11日 (土)

職人を活かす

皆さん、こんにちは。
 小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。


先日のカンブリア宮殿。

  相模屋食料社長「鳥越淳司」氏を取り上げていた。

久しぶりに、経営者の対する感動を覚えたのである。

  豆腐屋を年商300億のメーカーへ。

冒頭で、相模屋の製造する豆腐が都内スーパーで販売されるシーンが映し出された。

  うに味の豆腐。

従来では考えられない商品化である。他にも「ナチュラルとうふ・チョコレート味」だ。

  デザート代わりに楽しめるチョコ味の豆腐。

どうだろうか(笑)。従来の豆腐の上に葱と生姜を乗せて頂く和の風情満載の豆腐ではない。

  まさにスィーツなのである。

今、洋日配での伸び率№1のスィーツという分野。そこに豆腐業界が飛び込んできたのである。

  まさに革命であろうか。

そんな大胆な発想が出来るのは、まるで異なる業界から飛び込んできた方なのだろうなぁ~と思った。

  この会社に入社当時は午前1時から工場で豆腐作りから入った。

以前は雪印で働き、そこで食中毒事件が発生し、そこでの後悔が彼を現場からのたたき上げへと変えさせた。

  現場を知らない営業マンにはなりたくない。

そこで、豆腐作りの本質を学び、そこから製造して販売することの喜びを学ぶのである。

  だから撮影時はいつも現場の作業服姿で登場する。

そうやって現場の技術に自信を持ち、各企業が持つ現場の職人技を絶やさないという方向で商品化を進め、他企業が絶対にマネの出来ない技術を擁した商品化を可能にさせたのである。

  そして現場からも絶大な信頼を得ることが出来た。

全国各地にある豆腐製造メーカーと協力し、そこの企業の製造技術を活かした商品で差別化を図り、現場の職人のモチベーションを落とさずに活気を取り戻させるのである。

彼は言った。
「業績悪化企業はどこも経営ベースの数値であり売上であり生産性の資料は豊富に提出するが、商品に関する資料を提出する企業は無い。」

  どの企業にも黄金時代が存在していた。

そしてそんな時代には、おそらく生産性とか営業利益とかの数値を現場の職人達は知らずに、その企業で豆腐職人として働き、満足のいく美味しい豆腐を精魂込めて製造することに仕事のやりがいを覚え、企業の盛隆に貢献してきたのである。

  しかしいつしか経営悪化してコスト意識が強くなった。

だから、勝てる商品=原価安の商品へと考え方が変遷し、そこから現場のモチベーションが低下して縮小均衡に陥っていく、というパターン。それが、彼が見てきた従来の豆腐メーカーの衰退の道程であったという。

  「安さは正義ではない」。

それが今、彼が辿り着いた心境であるという。

  従来は販売する小売業に寄り添った経営を目指していた。

しかし、現場の職人の豆腐にたいするこだわりや愛情を感じた時に、その考え方を変えたという。そして提携する豆腐工場の強みを活かした商品化に踏み切り、以前に一度退職していた職人を再び頭を下げて呼び寄せ、技術屋集団として新たな手作りの商品化を行った。

  それが京都の老舗販売店で人気の商品に育成されていく。

豆腐職人の腕を途切れさせたくない。そんな想いと安さを正義とせず、美味しさを正義と捉え直し、豆腐という多様性を追求していくことにしたのである。

  年末に向けての焼き豆腐の製造場面。

鳥越社長が現場の作業服姿で、従業員に気合を入れる。そこに現場の職人達が手を挙げて応えて年末の恒例行事に入る。

  手作業での焼き豆腐の製造。

そこには、企業の役員も混じっての製品化である。我々は当たり前に「焼き豆腐」を売場で販売しているが、現実は、手作業による非効率な商品化から敬遠する企業が多いという。

  そこに相模屋は手作りのこだわりと企業挙げての団結心で応える。

現場の職人達が、どんどん現場から退任したり退職したりして、その後を受け継ぐ者たちが少なくなっていく。

  我々生鮮小売業も同様である。

なんとか、そんな技術や調理の腕を持つ職人の技を受け継ぐ従業員が、誇りをもってそして安定した生活が出来る基盤を作れないかと想うのである。
  




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20233    
当方の執筆は以下の通りです。

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  「競合対策セミナー④」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー③」ダイジェスト版の視聴はこちら
  「競合対策セミナー②」ダイジェスト版の視聴はこちら
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マネジメント」カテゴリの記事

コメント

k,kさん、コメントありがとうございます。
日本の文化である豆腐。
そこに思い入れのある方は多いようですね。
この番組から、一度はうに豆腐を食べてみたいと思い始めました。

投稿: てっちゃん | 2023年2月11日 (土) 09時28分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
豆腐、実はあまり食としては好まない食材なのですが、そこに惚れこみ、更に自由な発想で商品を開発していくスタンスは理解できますね。
豆乳から手作りで豆腐へ。
まったく予想のつかないストーリーですが、dadamaさんにとっては至福の時間なのでしょうね(笑)。

投稿: てっちゃん | 2023年2月11日 (土) 09時27分

豆腐屋さんの販売元には飲食店時代にお世話になってました。やはり値段が張る豆腐は美味しいですね、もちろん豆乳も湯葉も最高です。昔取った料理コンテスト入賞もそこの湯葉があったからです。話をそらしますが納豆もしかり。普段は安い特売品を食べてますが、こだわりのある納豆は一味も二味も違います。値段も高いです、私がファンの納豆は第三セクターが中に入ってますので職人方は味を極め続けられます。完全民間で健全経営出来ればいいですね。安さは正義ではありません、けれど普段は特売を買ってしまう(^_^;)

投稿: k,k | 2023年2月11日 (土) 08時27分

私も以前豆腐に関わった事が有りましたけどそこの社長も「安いのではなく美味い豆腐を作りたい」と言っておられました。物流面での課題で販売までには至りませんでしたが(てか私が鞍替えしてしまったので)信念の大切さを教えて頂きましたね。そこの豆乳を自宅でにがりと混ぜてレンジで作る豆腐は絶品ですよ(笑)。

投稿: dadama | 2023年2月11日 (土) 07時23分

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