練り物のトップランナー
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
先日のカンブリア宮殿。
練り物のトップランナーがテーマだった。
練り物。
かまぼこ、揚げ物、はんぺん、ちくわ等々。
カテゴリーとしては和日配や鮮魚部門に属するであろうか。
昔はほとんどが鮮魚部門だった。
だからこの時期からの鮮魚部門は店舗内でもおせち商材や年末の数の子、新巻き鮭他で在庫の山となり、部門チーフはその在庫整理と売場作りで残業続きとなるのが当たり前の時代もあった。
ある時期から練り製品が和日配に移管されていく。
そこから鮮魚部門は年末商戦では数の子、たこ、刺身類に集中することが出来るようになったが、相変わらず鮮魚部門で練り製品を扱う企業もあるであろう。
私は鮮魚部門で練り製品を扱う経験をして良かったと思っている。
その経験が店長になって、年末のおせちというカテゴリーでの業務に活かされることになるからである。
年末のおせちに日配担当者はなかなか手が回らない。
それに加えてXmas~年末の売場変更や定番の棚替え、そして年越しそば、日配と食品を合わせて受け持つグロサリーチーフともなれば、とてもとてもおせちに関わる時間は減少する。
とはいってもおせちは日別の売場調整が重要な商材だ。
当初予定数量と異なる売れ行きと売場とのギャップが、29日から日別に発生し、そこから売場の棚替えの微調整をしながら、平台と定番でスペース変更等を行い、30日の夜には在庫を完璧に売場に出し切り翌日を迎えなければならない。
グロサリーの人員だけではかなり厳しいものがある。
よって、おせち商材に関しては、私は店長時代に私の仕事として受け持ってきた。おせちが予定通りに売り切ることが出来るかどうかは、店舗としての利益に大きく関わってくるからである。
際物とは本来そういう商材である。
12月商戦の利益頭が際物であり、そこで売上を高め、そこで利益を3か月分たたき出すのである。
それが読めない時代になってきているのが昨今。
そんなおせち商材であるが、ある年に今回のカンブリア宮殿のテーマである練り物のトップランナーである紀文さんからおせちに対する考え方と姿勢を教えてもらったことを思い出した。
日本人の食生活に対する「謂れ」(いわれ)。
当時から、年末の食生活に対する「謂れ」を強調していた紀文さんは、28日頃から取引先の店舗を巡回していたのである。その時のその巡回してきた紀文の担当者の方と話す機会があった。
私は現場の人間としてある不満を漏らした。
「本部が提案する基本台帳に基づいて売場を作るが、毎年売れない商材が平台の目立つところに位置付けられ、売れるかまぼこや伊達巻が定番に配置される台帳なんです。私としては作業性からも売れる商材を平台でダイナミックに展開する方がより効率よく売上を作れると思うのですが。」
私は同意を得られるのかと期待したが・・・ 。
「確かに店長さんのおっしゃる通りかとは思います。但しおせちとはかまぼこや伊達巻だけではなく、古来からいろいろな謂れによって蓄積されてきた日本の食文化なのです。よってかまぼこ以外にも、佃煮や昆布巻き等の食材全てがおせちとして一年間の無病息災を願い、年神様と共に食する行為なのです。だから逆に売れないカテゴリーの商材ほど、より目立つ場所にてお客様にも謂れをご提案することがより重要なのではないでしょうか。」
なんと、紀文の担当者の方は、自分の主力カテゴリーであるかまぼこや伊達巻よりも、なかなかお客様に支持されにくいカテゴリーを売場で優先して提案するような見解を示したのである。
私は返す言葉が無かった。
その通りである。そして自らの企業の利益優先以上に、おせちの謂れを優先して売場指導に回るその姿勢に大いに学んだのである。
それからこの企業の方との交流が蜜に始まったのである。
PS
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
いよいよ歳神様の謂れの時が来ましたね。そんな現場に入れない寂しさ。皆さんとそんな気持ちの高揚が共有できない孤独感を感じております。
紀文さんも当時の方々は現役を引退され、新たな歴史が作られていく。私が歩んできた企業も同様に新たな歴史を刻んでいく。そんな想いを抱く年末になりそうです(笑)。
投稿: てっちゃん | 2022年12月22日 (木) 09時57分
懐かしいですね!あちらの会創設メンバーですから。今年は久々の帰省に家族団欒の正月を祝う方が多い事でしょう。まだまだ先の見えない世の中だからこそ「歳神様」を始め謂れを理解した上で良き新年を願い迎えたいですね。
投稿: dadama | 2022年12月22日 (木) 07時36分