評価基準を利益へ
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
アフターコロナの時。
単純にアフターコロナだけであれば大きな混乱はない。
そこに同時に「原価高」と「資材高」、そして「コスト高」とすべての価格が高騰している現在。
従来の「売上は全てを癒す」という環境ではなくなった。
売上と同時に、利益とは荒利率という基準がある程度固定化されていたため、売上が上昇すると自動的に荒利額も上昇し、結果的に儲けも拡大していくという設定となっていた。
よって売上が上がれば利益も上がるという同時進行。
そこから、売上は全てを癒す、という表現が、この業界を表すワードとして使われてきた。
が今年はその表現が通用しない年である。
商品の原価高に、トレイ等の容器をメインにした資材高、さらに電気代や運送費の上昇によるコスト高と、商売に絡んだすべてのコストが上昇しているのである。
よって売上が上がっても利益に繋がらない環境にあるのは確か。
まずは、単品ごとに値入が入っているのかどうかのチェックが重要となろう。
単に素材の原価だけではなく、包材の価格や運送費の価格、そして電気代も含めたコストを考慮した、最終的な営業利益という枠組みで数値計画が求められるのである。
従来のような売上志向では利益にまで到達しないのである。
従来は、それに対して「額」の発想という画期的な発想で、値入や荒利率という視点から、利益額の積み上げという発想で大幅に売上を拡大することで、荒利額を積み上げていく視点に切り替えた企業がお客様の支持を大幅に高めてきた経緯がある。
しかし今年はその発想もリスクが大きくなる。
額を生む条件が非常に厳しい環境になってきているからである。
売上-原価=利益
そのような単純な構図では収まり切れないほどの、コスト高が我々小売業を取り囲んでいるのである。
従来の利益獲得策では収まらない営業利益の創出が課題。
よって最終的に、どちらの手法が利益として残るのか。
今年に限っては、そのような視点が重要となろう。
それでは如何にして、その営業利益を獲得出来るのであろうか。
額の発想から率の発想への転換。
それが、今年に限っては目先の荒利率というコントロールしやすい目標設定によって、特に生鮮部門がコントロール可能な利益率の延長線上に目標値を置いて、結果的に営業利益額の獲得を目指すという実践手法が、確実な利益獲得策として有効に作用していくに違いないであろう。
荒利率を目標値とする。
今年の重点行為を荒利率の獲得として、生鮮部門を中心に実践していく。
実践力が発揮されなければならない一年間となる。
PS
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店舗運営責任者、店舗運営統括責任者の方に視聴して頂きたいものです。
6月22日開催「競合対策セミナー③」ダイジェスト版の視聴はこちら
5月18日開催「競合対策セミナー②」ダイジェスト版の視聴はこちら
6月8日(水)開催の「52週MDセミナー」(7月編)の一部を公開致します。
52週MDマネジメントセミナー(7月編)ダイジェストの視聴はこちら
以下のような内容で毎回翌月のMDセミナーを開催しております。
次回は8月編を7月5日(火)に開催予定。
是非、動画(YouTube)をご覧頂き、次回以降のセミナーから学んで頂ければと思います。
よろしくお願い致します。
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1.8月月間の52週MDの提案
・8月1週~お盆前哨戦
・8月2週~お盆商戦本番
・8月3週~秋の味覚
・8月4週~残暑対応
・8月5週~秋刀魚と葡萄
*年度前半戦のヤマ場、顧客の上半期の通信簿となる月
2.販売のポイント
・訴求ポイントや売場展開の仕方
3.売場事例
・売場写真で売り方の事例を紹介
4.質疑応答
5.フリートーク
・当日参加された方同士の情報交換会
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コメント
コジカ店長、コメントありがとうございます。
生鮮部門という原価管理の部門。原価を把握しているからこそ、原価100円の商品が調理加工して398円で売れる喜びを得られるのですが、原価がわからないということは、その喜びをも感じることが出来ないという現実。生鮮の担当者が一番喜びを感じる瞬間なのですが・・・ 。
そこからの指導なのですよ(笑)。
投稿: てっちゃん | 2022年7月 2日 (土) 08時50分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
特に今年は原価高という荒利額が低下する要因が甚大ですから、従来の荒利額指向でも結果的に最終荒利率の低下、売上低迷、結果としての荒利額絶不振の奈落の底に落ちることは見え見えですからね。そしてその数値を安定化できる販売計画が求められるのではないかと思います。
投稿: てっちゃん | 2022年7月 2日 (土) 08時46分
本日の朝礼にて
鮮魚部門の担当者に、いつも売っているこの商品、原価はいくら?と聞いてみたところ、???。なるほど、原価も分からず商売しているわけか、、、。
俺、担当の頃は、全部の原価頭に入っていたぞとイヤミの一つもいうところをじっとこらえて、なるほど、そこからの指導が必要なのだと気付かされた、良い一日でした。
投稿: コジカ店長 | 2022年7月 1日 (金) 22時10分
荒利率に拘る事は大切ですね。値入率と荒利率は別物。ムリ、ムラ、ムダを意識し、基本に立ち帰る事で利益も大きく変わるでしょうから。
お客様の欲しい物を愚直に揃える。酷暑特需で飲料、乾麺、アイス、フルーツ、漬物等のスコアは大きく跳ね上がりましたから。それも適正売価で。来週からは戻り梅雨+台風と目まぐるしい季節変動ですがお客様はどのような行動を起こすのかを推察し売場に反映、提案する事が利益確保の鍵だと思うのです。
投稿: dadama | 2022年7月 1日 (金) 21時59分
かおるさん、コメントありがとうございます。
自分の給与という視点で見れば、どんな担当者でも営業利益という視点は自分の位置付けを客観的に把握する上では有効な目標かと思います。ただそれに縛られることなく、自ら受け持つ商品や部門で最大値を創造できる販売力を追求してほしいとは思いますが。
投稿: てっちゃん | 2022年7月 1日 (金) 16時31分
かおるです。
うちの会社も部門主任までは評価項目が売上高と荒利益(高、率)までですが、僕は評価項目は全社員営業利益にすればいいと思います。
最近、バイヤーや店舗の担当者と話していてつくづく思います。
投稿: かおる | 2022年7月 1日 (金) 13時31分