冷食強化と五感
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
ある情報によると、冷凍庫の需要は昨年同期比で約2倍になったという。
更には冷凍庫の需要は2027年まで年5%前後で伸張し続けるという。
いずれもコロナ禍による買い溜めと連動した買い回りの変化に由来しているのであろう。
とは言っても、昨今の冷凍技術の向上による冷凍食品の味の向上もあろうし、冷凍による品質劣化の削減、食品ロスの削減という未来へ向かう持続可能な生活習慣への意識の変化にも由来しているのは間違いない。
そして我々食品スーパーの売場構成における冷凍食品の拡大は留まるところを知らないという現実である。
冷凍食品品数の増加。
冷凍食品売場の拡大。
これはコロナ禍という一つのきっかけが引き起こした時代のスピード化である。
いずれこのような環境になることは見えていた。
が、コロナ禍という環境の変化が、時代のスピード化を速めた結果の冷凍化への流れであろう。
冷凍化の技術の進化。
確かに、昨今の冷凍食品の味の進化は目覚ましいものがある。
が、全てが全て冷凍化に進むかと言えばそれは否であろう。
それは、冷凍化してよい商品とそうでない商品がはっきりと区分けされる時代になっていくことを示していると思われるからである。
現時点では、レタス、ジャガイモ、キャベツ、きゅうり、茄子、ごぼう、筍、玉子、豆腐、白菜、こんにゃく、すいか等は冷凍が不可な素材である。
しかしこれもいずれ冷凍可能となるかもしれない。
冷凍食材のメリットとは?。
鮮度の安定。
品質の安定。
日付の長さ。
買い溜め可。
美味の進化。
冷凍品にすることで、例えばアボカド等は実際に調理して初めてその内部の劣化がわかるのであるが、冷凍品化されることで全てが調理済にての冷凍化になることによって、製品化された段階である程度は品質の安定化が為されている為、調理の段階で使えないという不安定さがなくなるのは有難いことであろう。
また、最近では料理の途中まではメニューのセットになった冷凍食材を使用し、最後の味付けや冷凍素材しにくい野菜等を加えてメニューを完成させるような冷凍のミールキットも冷凍食品にラインナップされてきており、更に働く主婦や単身者独身者に便利が冷凍食品が登場してきているのである。
冷食売場が拡大されてくわけである。
そしてその流れはコロナ禍というきっかけで加速し、その加速は今後も止まることはないであろう。
更に、そのことで食品ロスという世界的な課題も改善されることになる。
日付管理が長くなるというメリット。
これは販売者側からみると、大きなメリットとなる。
ロス削減は利益安定へ繋がるからである。
いずれにしても、販売側も購入側にもメリットの多い冷凍食品。
しかし・・・ 。
だからと言って、食品スーパーから生が消滅するかと言えばそうではない。
お客様が感じる五感は健在である。
その五感から、購入店舗を決定するという行為は継続されるであろう。
それは人間が古来から有する感度であり、その五感を働かせることで決定される、視覚、聴覚、味覚、聴覚、触覚は普遍だからである。
そこで顧客は店舗を決定するという事実。
こればかりは、やはり店舗運営の原理原則であるといえるであろう。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
素材を近くの八百屋、魚屋から購入して調理するから鮮度が必須だった食品スーパーの使われ方も変遷し、買い溜めという買い物志向と冷凍庫という文化の発達。そして冷凍技術の向上がここ数年で大きく暮らしを変えたといえますね。そしてコロナがそれを加速させた。
ただ、今後拡大していく分野とお客様がお店を選択する基準にはまだまだズレもあるのも事実。そのグレーゾーンをどう毎年更新していくのか。次年度のMDやコンセプトを立案しなければならない年明け早々でしょうか。
投稿: てっちゃん | 2021年12月28日 (火) 11時39分
以前にアメリカのスーパーをMRした時に冷食のリーチインケースが立ち並ぶ姿に圧倒されましたね。アメリカに行くと外食と言えばマックかチップの必要なレストランが多く意外と外食はしないので冷凍食品メニューもレディツーイート的な品揃えが凄かったですね。日本はまだ特売の目玉的ニーズの高い冷凍食品ですがこれからは単価が高く美味しさ本意の冷凍食品が色々と出てくると思います。生鮮も味付肉や焼き鳥串、コロッケ等生肉以上の平ケース拡大が続いていますね。アボカド等冷凍野菜を青果コーナーに配置する店舗もチラホラありますが冷凍野菜の売上がどこの部門に属するかのお家事情はあるようで(笑)。
投稿: dadama | 2021年12月28日 (火) 09時49分