ベテラン社員を活かす
皆さん、こんにちは。
小売業界でコンサルをしている「てっちゃん」です。
ベテラン社員。
企業によっては「職人」と称するところもあろうか。
そして、地方の小売業ほどそのような職人と称されるベテラン社員が未だに包丁を持ち、市場に出向き、そして現場で吠えながら?活躍している企業や店舗は多いであろう。
そんなかってのエース社員も定年を迎えると急におとなしくなる。
なぜなのだろうか。
要は地位を奪われ役割を奪われたからである。
地位が備わり役割を与えられていた時は、どんな人間もその使命感に燃え、自ら有する商売の知恵を駆使して自らの領域でその知恵を発揮して業績を達成しようと昔気質な生き方にて能力を発揮してきた経緯がある。
その使命感を失うとどうなるか。
まさにそれに直面している企業が多いのではないだろうか。
“職人はいらない”
かってチェーン化を図る前提としてそのような発想から、現場から職人を一掃しようとした時代があった。
それによって一応の標準化を図ることは出来た。
しかし標準化が図られた反面、企業から競争力も失われた。
技術者が調理技術のみの役割となったから。
要は、現場から職人やベテラン社員の長年の商売の知恵が失われたからである。
“どうせ俺は包丁だけ握る社員”
そんな諦め感が、貴重な商売の知恵を周囲に伝えるという従来の知恵の連鎖が消えてしまったのである。
しかし、その職人が有する商売の知恵はそれ相応の経験を積まなければ手に入れることが出来ない貴重な知恵なのである。
それが企業として伝承されなくなった。
このことによって、どれほどの企業や現場が従来の商売の知恵を失い、現場力を失い、生鮮の販売力や利益獲得術を失ったか。
そこにチェーンストアの今があるのである。
その商売の知恵を如何に職人から引き出すことが出来るのか。
それが、今後のチェーンストアの大きな課題であり、このことを真剣に考えた企業ほど、特に生鮮の販売力と利益獲得術を継承して競争力のある企業運営、店舗運営が可能となろう。
ベテラン社員による勉強会。
そんな取り組みをしている企業がある。
従来のエース従業員を先生にしての勉強会。
青果、鮮魚、精肉等の生鮮3部門をはじめ、グロサリーや惣菜、ベーカリーで活躍したかってのエース従業員の商売の知恵を如何に伝承していくか。
確かにマネジメント層になれなかったかもしれない。
しかし、マネジメント層になるかなれないかもやらせていないからその能力が無いとは言い切れない部分も多い、若手のマネジメント層からすればそれらのベテラン社員の扱いは苦労する部分が多いかもしれない。
自分の言うことを聞かない。
自分に対しての敬意がない。
自分勝手に売場作りをする。
等々の事実はあろうが、それとて何故そうなるのかを考慮することは大切である。
“もっといい方法があるのに”
“もっと売る方法があるのに”
“もっと儲かる方法あるのに”
そういう商売の知恵があるからこそ、若手の指示に従わない部分は大いにあるのである。
そんな、百戦錬磨の暗黙知を如何に、その頭の中から引き出すか。
その使命を与えれれば職人は全てを捧げるであろう。
その使命感を引き出させる「講師」という役割。
是非、真似たいマネジメントである。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
標準化。
確かに統一された作業は重要だとは思いますが、鮮魚経験者からすれば作業の標準化以上に利益獲得技術の標準化のほうがよほど競争力が強化されると思うのですがねぇ~。逆に角上魚類の販売力が突出しているのも数多の食品スーパーの鮮魚部門が弱体化してしまった裏側ではないでしょうか、と思うのです。
投稿: てっちゃん | 2021年12月15日 (水) 17時14分
今日は多くを語りますまい(笑)。
私も標準化理論の元、個人のスキルは会社のリスクと「出る杭は打たれる」処遇を受けてきましたが、会社がひっくり返り今度は「打たれた杭が引っこ抜かれる」ようになり(笑)。
標準化や生産性はディスカウンターやドラッグが1枚上手の今日、生鮮特化に舵を切るスーパーが加速度的に増える中、埋もれた宝に気が付くトップが増えて欲しいですね。人材は人財ですよ!!
投稿: dadama | 2021年12月15日 (水) 16時29分
k,kさん、コメントありがとうございます。
今日の記事はk,kさんの為に書き下ろしました(笑)。そして前回のzoomてっちゃん塾にてこの話題がのぼり、技術者の処遇に関して素晴らしい取り組みだったのでそれを今日の記事に載せました。このような取り組みがどんどん増えていくと、食品スーパーの強みは更に磨かれていくと思いますし、ドラッグ等の脅威からも少しは逃れられるかと思うのです。
そしてより多くの技術者の方々のコメントも見てみたいし、逆の立場からのコメントも大歓迎ですね。
投稿: てっちゃん | 2021年12月15日 (水) 16時03分
ささる記事です。コメントしたいことが多すぎて出てきません💦 世間で俗にいう職人像。それは一つの事を極めて誰にもそう簡単には真似できない人物像でしょう。それがスーパー業界では意味合いが違ってきます。一つの仕事以外はできない。否、しようとしない偏屈親父。自身の意思を曲げない、曲げられない面倒くさい人。決して仕事が早いとか融通が利くとか同じg数で魚を均一に切れる、極端に歩留まりがよい。そういう人のことは言わないのです。その原因?となったのは伊丹十三監督作品のスーパーの女からではないでしょうか。あんな極端な親方は過去にはいませんでした。演出の中の話ですが、使えない、一つの事しかやらない人はみな職人と命名されてますね。私はそれに近い先輩方を何人も見てきました。だから俺は違うと思っても周りから見たらベテランの青果、鮮魚、精肉、デリカのうだつの上がらない万年チーフ、責任者は職人と呼ばれるんでしょう。上げてもらいたくても声が掛からない、懇願しても考えとくよ、空きが出たらな。世間的には大学4年間の学歴を大事にする企業がほとんでしょう。中途入社は関係ない?いやそんなことはないです。やはり後輩がいたりすると可愛がってどうにか次のポジションにと推します。じゃあ専門店や、割烹も経験、料理で何度も賞とってるよ、それも10年以上だよ!っといっても上司の知らない知識、経験はお呼びではないのです。若い部下が下に付けば自社以外の考え方、やり方を教えますがたらいまわしのベテランさんが下になればそれも封印。相手のミスを繕ってオオゴトにならないように確認し日々時間内で作業を終えるしかないのです。愚痴交じりになりましたが、自分の経験したスーパー以外の知識。それをアレンジして業務に生かせる。講習する。そんな企業があるとは知りませんでした。 ※このコメントに共感してくださる現役ベテラン主任さん方からのコメントも聞いてみたいです。
投稿: k.k | 2021年12月15日 (水) 14時16分