客動線という視点
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
昨日は不振部門への対策を記した。
来年2月からの業績対策。
特に上半期は相当に厳しい(2020年対比で見れば)業績が予想される。
逆に言うと、今年不振に喘ぐ「惣菜」「ベーカリー」は2020年対比で見れば戻るであろう。
とは言い切れないのがこの業界。
昨年落としたからと言って、今年は回復するとは言い切れない。
それは何の保証もないのである。
連続して落とす可能性すらあるであろう。
惣菜とベーカリー。
どちらも店内で商品を「製造」し「販売」する部門である。
よって製造力と販売力が問われる部門であると言える。
そのほかにも製造部門と言われるのは「鮮魚」と「精肉」であるが、どちらも入荷した段階でそのまま陳列する商品も持つ部門であるが、惣菜とベーカリーに関しては、そのほとんどの商品は店内で調理加工してから売場に陳列して販売すると言う特性を持つ。
店内でも加工度の高い部門である。
よって、店内での調理時間も多く、どちらかと言うと店内調理に対する技術が高く問われる部門であり、チーフや担当者も陳列や販売面以上に調理に対しての意識は高いが、逆に言うと調理された商品を如何に魅力ある売場に導けるかと言う陳列技術や販売技術という側面には疎い担当者の方が多いような気がする。
それだけ調理技術と販売技術の両立は難しい。
青果やグロサリーのように店内加工があまりない部門は、陳列や売り方、販売といったワードに集中することができるため、売れる陳列の仕方や逆にいうと相場に応じた仕入れという部分に注力しなければならないという特性もあろうか。
しかし惣菜やベーカリーは如何に魅力ある商品の製造力に注力しなければならない。
よって逆に「製造職人」化してしまう可能性を秘めるのである。
私は、ベーカリー部門とは、商品を購入するために必ずトングを手にする為にその場に立つところからベーカリーの買い物がスタートするという点と必ず精算する為にレジを通るという点において、食品スーパーの店内での客動線の縮小版だと思っている。
要はベーカリー売場は食品スーパーの小型版。
よって、入口がトングの場所であり出口がレジとなる
そしてその間の客動線を如何にコントロールするか。
商品とは全く関係の無いベーカリーのレイアウトとそこを通る動線を如何に学ぶかという点で買い上げ点数を高め、結果的にレジ精算時におけるトレイの上の商品の数をより多く乗せることで売上拡大に直結するのではないかと思っている。
以前にもこの仮説を検証したことがあった。
そして、ものの見事に点数拡大に至り、結果的に売上増に結びついたことがあった。
それは、ベーカリーの新任チーフとの連携で実現したのである。
要は、何のしがらみもないベーカリーの責任者であったから、製造から分離した販売という側面でも素直に実践できたのではないだろうかと思っている。
それ以外のチーフには話が通じない。
おそらく販売に対する思惑がなかなか建てられないのではないだろうかと思うのだ。
それよりも如何に効率よく綺麗な商品を焼けるかとい視点。
そこが強すぎるのではないだろうかと思うのである。
そして、以前にトライしたベーカリーでの客動線の件に関しては、要は如何にベーカリー内の客動線を長く設定するかによって、最終的にレジに至るまでにいろいろな売場に動線を通すことにより、より多くの商品をトレイに運んでもらうかというトライである。
その為にお買得をどこに陳列するか。
その為に見せ筋をどこに陳列するか。
その為に動線をどう仮説立てするか。
その結果、従来に比較してどの程度の点数アップにつながったかという仮説と検証であった。
結果として部門別売上で一番の伸びを示したのである。
製造化や製造技術は置いといて、販売面での工夫を如何に追求するかというトライである。
もちろん、製造に関しては部門トレーナーからしっかり入ってもらうことは必須であるが、どちらかというとベーカリーや惣菜のバイヤーやトレーナーも販売面での技術となると、意外に製造面には目が向くが販売面には注力されていないのではないかと思われる(人にもよるが)。
逆にそこが店長としての関与のし方なのかと思うのである。
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コメント
第01肉屋さん、コメントありがとうございます。
最近コメントが無かったのはお忙しいからでしたでしょうか。それはそれでいいことではありますよね。
ただし、目の前の仕事が忙しいことと自分なりの学びの場を自ら設けることはまた別物でしょうか。ぜひ外部にもどんどん飛び出してより多くの視点を身につけて欲しいものです。
*別にこのブログからは何も学べませんので悪しからず(笑)。
投稿: てっちゃん | 2020年12月 9日 (水) 00時14分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
客動線を意識したのはやはり副店長になってからでしょうか。それまでは鮮魚チーフとして製造がメインの視点でしかなかったような気がします。そういう意味では、青果とグロサリーは店内レイアウトからの陳列という視点をいち早く見ていたのだろうと思います。鮮魚部門はどうしても「気合」が掛け声となり、ゴリ押しで売り切るというスタンスになっていくようで、そういう意味では出身部門というのはその人間の考え方を形作る部分が大きいのではないでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2020年12月 9日 (水) 00時08分
私は、初めて荒利の高い部門がどこなのか知ったのは今自分が勤めているスーパーに入ってから今の店長の言葉で知りました。
荒利が高い、総菜とベーカリーは予算は届かなくても荒利がダントツに高いけど、人員もそれなりに多い。
精肉は薄利多売ではないけど、牛肉売ってりゃ予算は行きやすく、売場展開がしやすい。
グロサリは、薄利多売の大手で務めていたから今のグロサリ仕様は競合と合わせるかちょい高いから客減止まらない。
投稿: 第01肉屋 | 2020年12月 8日 (火) 17時50分
生鮮や惣菜を語らせたらぐうの音も出ませんね(笑)。帳票上の客数はレジ通過客数ですから売場を見て買われるお客様の数とは異なりますから。ですから、部門担当者には客数より買上点数に意識すべきだと思うのです。買上点数に視点を置くと客動線の大切さが分かってくる・・・見やすく、選びやすく、買いやすい売場についてPDCAが回り出しますよね。
売りたい商品は明確か、目立つ位置にあるか、サブの商品が主の商品の邪魔をしていないか、清潔感鮮度感はあるか等々。
担当者は自部門の売場を買い回るお客様と観察する癖がつくとただ商品を並べるのではなく如何に買って頂くか、私的には如何に買わせるか(笑)
の動線の重要性も見えて来ますし、商売の楽しさや醍醐味にも通じますよね。
投稿: dadama | 2020年12月 8日 (火) 14時04分