空師
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
空師。
初めて聞いた。
先日のNHKの「目撃!にっぽん」。
空師とは、簡単にいうと「高い木に登って木を切る職人」のことだという。
大きく括れば「林業」という仕事の仲間であるが、その中でも周囲の木を痛めないように高いところに登って枝から少しずつ伐採をし、最後に大きな幹をその商品価値を落とさずに、そして周囲を傷つけずに伐採するという役割を果たすのが「空師」。
特に空師に仕事が依頼される場合というのは、その大木が腐ってきていずれ倒れる危険があり、その周囲に家などが立っていてその家を守るために朽ちて倒れる前に安全に伐採しようとするような場合に、仕事の依頼がある。
要は安全に伐採するという使命があるということだ。
通常の伐採であれば、空師でなくても依頼できるが、上記のように周囲に家があってその家を傷つけないような伐採をしなければならない場面や、大木の価値を落とさぬように枝割れしないように伐採しなければならない場面、または危険な斜面に斜めに張り出した大木なども空師の出番となるようだ。
まさに命がけの大仕事。
彼らは自分の体にロープを巻きつけて、まるでサーカスの空中ブランコのように木から木へ乗り移り枝を思い通りの場所へ切り落としていく。
大木の価値を落とさずに。
伐採で周囲を傷めぬように。
自分の体の安全を確保して。
それには、木の性質を知らなければならない。
外見から木の内部を見通す眼力。
内部のどの部分がどの程度、どのように痛んでいるのか。
それを察知できなければ、大木は思わぬ方向に倒れたり、枝割れして商品価値を落としたり、更には自分自身の身をも危険に晒す結果となってしまう。
それには伐採という数をこなして習得していく以外はないであろう。
更には、空師と言われるだけあって、空中での身のこなしも身につけなければならない。
そしてそんな状況でも重量のあるチェーンソーを自在に操作しなければならない。
ロープ捌きとバランス感覚。
そしてそんな状況で大木をより安全な斜面に伐採していく伐採能力。
どこにどの程度の亀裂を入れて、その方向に伐採し、大木をより傷つけずに商品価値を落とさずに、更には周囲の木々を傷めずに落とすか。
山という全体を如何に把握するか。
そんな空師を今回の「目撃!にっぽん」では取り上げていた。
空には直接関係ないけれど高所での木材を扱う「空師」。
アクロバティックで専門的な知識が必須であり、体力も必要。若いうちから弟子入りして技術を身につける職業のため、現代では後継者不足が問題となっているようだ。
そういう意味では我々の業界と同じ構図。
むしろ我々よりも人不足は深刻ではないだろうか。
我々業界は店内という室内での業務となるが、彼らの場合はより厳しい環境であろう山間部での仕事。
自然に赴いての業務となる。
特に山林においては風雪たなびく中での仕事であろうし、そこまで徒歩で向かう途中も数時間をかけての道中となろう。
それでもこの仕事に就くというやりがいとは?。
それは、彼が言っていたが「奈良吉野を守る」という使命感だという。
そして、それは代々受け継がれてきた歴史であり、後々の人間達へバトンを渡すという使命感。
「俺がやらないで誰がやる」
そんな気概であるという。
かっては親の背中を見て育った後継者達が大勢いた。
しかし昨今は親は親、自分は自分という風潮であり、親も子に継がせるという意識も薄くなってきたのであろう。
そんな風潮もあってか、この番組を見て思うところがあった。
世代間バトル。
世代間ギャップという言葉は聞くが、世代間バトルという言い回しは初めてであろう。
その世代でなければ理解出来ない価値観。
そしてその価値観のわかる人間同士でその職に付き、その職の伝統を守ろうとする意識。
例えば、 リアル店舗VSネット通販。
旧世代と新世代のバトル。
そう区分けするのは危険であることは承知しているが、そう区分けする方がわかり易いのではないだろうか。
そう区別することで、その世界のモノの良し悪しがより明確に理解できるのではないだろか。
この番組からそんな想いが込み上げてきた。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
昔、私に「仕事は辛いもの。そこに楽しさを求めてはいけないと俺は思う。」と言っていた先輩がいました。結局その先輩はその地位から転げ落ちることになったのですが、要は誰一人その先輩に部下がついて行こうとしなかったからだといことです。上司は部下にその仕事の楽しさを如何に身を以て伝えられるか、そこにその人間の真価が問われるのではないでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2020年12月12日 (土) 23時49分
k,kさん、コメントありがとうございます。
今の仕事がキツイのか、汚いのか、臭いのか、それを決めるのは自分自身。そしてそれをも乗り越えて「楽しい」と感じるのも自分自身。しかしなかなか昔のように楽しめるという環境から遠ざかっているのが現代の姿なのではないでしょうか。楽しいと辛いは背合わせの世界。そして世の中の「楽しい」は全て
「辛い」と背中合わせなのだろうと思います。辛いを乗り越えた向こう岸に楽しさが待っているのであろうし、それを乗り越えられなければ、どんな世界に行っても同じことだと思うのです。
投稿: てっちゃん | 2020年12月12日 (土) 23時44分
私達の仕事も捉え方で大きく変わるのかなと。どんな仕事にも対する対価は存在するし、多くの方は対価に対する価値観を自ら否定し仕事は辛いと感じていると思います。仕事に対する価値観を自ら高める事により次の道標とその対価が見えてくるのでしょうね。
なんか抽象的なコメントになり申し訳けありません(笑)。
投稿: dadama | 2020年12月12日 (土) 23時11分
私も違う番組で見ました。ちょっと憧れました。最近、今の仕事やっていなかったら何をやっていただろうと。空師凄いです、でも私は宮大工やスズメバチハンターなどにも興味があります。今後のスーパー。何故人気がないのか解りません。キツイ、安い、汚い、臭い等がイメージ先行してしまったからでしょうか?寂しいですね。やれば面白いのに。
投稿: k,k | 2020年12月12日 (土) 20時17分