再販売の壁
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日のガイアの夜明け。
食品ロスを取り上げていた。
年々課題となっている食品ロス。
「まだ食べられるのに廃棄される」食品の量は、年間600万トン以上。
600万トンと言われても、その多さにピンとこない部分はあるが、相当な量なのであろう。
我々業界に身を置く人間としては、業界内のいろいろな規制や決め事。安心安全に小売業としてお客様の健康を守ると言う視点で、消費期限や賞味期限、温度管理や表示義務等から、売場で販売する商品が売れ残った時のその処理において、廃棄と言う選択をしてきたのである。
今後は廃棄という選択が悪になる時代になっていくのであろう。
とは言いながら、多くの家庭では多少の賞味期限切れや温度管理されていない状態でも、自己責任で食することはままあることである。
従来からのガイアの夜明けでも食品ロスを取り上げてきた。
敢えて賞味期限切れの商品を格安で販売する店舗も現れ、お客様の納得の下に無駄な食品ロスの改善に取り組む各企業の姿を紹介してきた。
そして、今回もその流れでの放映であった。
今回のテーマは食品ロスに立ちはだかる壁。
思えば、食材の販売においてはいろいろな規制が設けられてきたという経緯がある。
それは、当然に消費者の安全面や健康面を考慮する目的での規制が時代と共に強化され、その流れで現在のような小売側への要請も高まってきているのであろう。
そしていつの間にかの現在の食品ロス。
従来はどちらかと言えば、消費者の健康第一としてロスや無題という概念を除外された形で規制が強化されてきた経緯があり、更にそこに輪を掛けて我々もその規制や期限を更に短縮した形で消費期限や販売期限、更には表示においての販売形式を変えながら売れ残りにおいては格安に、そして廃棄という洗濯をしてきたのである。
まずは消費者の安全と過失防止を優先した結果である。
そして、その規制は今後とも普遍であったり強化されていくのは間違い無いであろう。
購入者の自己責任という逃げ道は無い。
どこまでも消費者優先で法規制が強化されていくのは世の常である。
しかし、それと逆行するように食品ロスというもう一つの側面である課題も浮き彫りになっていく。
その間で活躍すようと立ち上がる人たちや企業に焦点を当てたこの番組。
やはり同じ食品販売に身を置く者としては関心を寄せざるを得ない問題である。
我々業界は一途にお客様の為に品揃えを優先してきた。
しかしそれと同時に今後は「廃棄」という問題にも焦点を当ててクローズアップしていく必要があろう。
如何に廃棄をゼロに近づけるか。
最後まで品揃えをして来店されたお客様に期待を裏切らない売場の維持という課題と、最終的には売り切りが図られ、廃棄の無い売場の維持。
相反する課題を同時に同じ日に時間帯毎に繰り返し実践していかねばならないこの課題。
方や欠品させれば廃棄はゼロに近づく。
方や欠品させなければ廃棄は生まれる。
この相反する課題にどう対応するか。
そこに、ここで登場するのは、レスキューデリなる売れ残り食品の買取業者。
それを従業員食堂にて袋詰めにて再販売。
しかしそこに添加物表示の壁が立ち塞がる。
パンの詰め合わせ毎に添加物の表示義務。
それを購入者にどう説明するべきか。
パン屋で製造した商品については、製品の袋にしっかりと事前に設定された添加物が別途貼り付けられているが、それらを組みわせて袋詰めした商品にはそのラベルが無い。
その法律上の不手際をどう解消し食品ロスを解消していくか。
この法律の壁は想像以上に高いものである。
表示法や温度管理、そして賞味期限という表示と実販売、そして万が一の法律上の責任をどう捉えていくか。
その葛藤が現在の法律上の壁になっているのであるから。
この問題は、小売業が積極的に回答を求めて動いていくべき問題なのかどうかも、わからないのが現場であろうか。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
そこに従業員へのサービス的なものを仕組みとして取り入れるとこの業界への雇用も拡大していくのではないかと思っているのですが(笑)。
投稿: てっちゃん | 2020年10月31日 (土) 00時31分
社会的にはこの様な考えは大切ですし、賛同すべき事だと思います。然しながら自らの残された時間を考えるとその部分に立ち入る余裕も無いのが本音ですね。トップの判断が必要な事案だと思います。ご指摘の通りコンプライアンスや法的対応も必要ですから、企業指針としての判断を仰ぐべきなのでしょうね。企業の取組として明確な発信をする事はこれからの顧客支持を得るには必須ではないでしょうか。
投稿: dadama | 2020年10月30日 (金) 19時58分