大戸屋の買収から
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日の「ガイアの夜明け」。
大戸屋を取り上げていた。
大戸屋のコロワイドからの企業買収。
そのドロドロした内実が6ヶ月の取材からのドキュメント。
この放映に関しては結構反響が大きかったようだ。
大戸屋。
結構私も利用していたが、そのメニューと味で満足の外食だと思っていた。
そしてそれは実質の創業者である三森久美氏の味へのこだわりと真心のこだわりが原点であり、極力店内調理にこだわり食事の原点である「味」や「美味しさ」へのあくなき追求という姿勢がここまでこの企業を拡大させてきたのであろう。
そこに大戸屋の強みと弱みが共存していたのも事実。
昨年のガイアの夜明けでは、こだわりの店内調理と相反する残業時間に対する課題で大戸屋を取り上げていた。
更に今回の買収劇を導いた三森氏の実子の存在。
更には、私も株式や買収のシステムはよく理解していないが、TOBが成立するには株の過半数を占める必要があるのだが、大戸屋の株式の多くは大戸はのファンである消費者が握っていたのであるが、そこに企業買収に長けたコロワイドの手腕が活かされ、株主が高い売却利益を得られるTOB価格を設定して株主からの株式取得を図っていったという経緯も見られる。
更にはこの機に投資目的の売買も増加したという。
従来からのファンで占められていた株主から投資目的の株主の増加によるTOB買付の成立。
それもコロワイド側からすると次なる一手であったという。
そんな経緯での今回の買収劇。
しかし顧客側からの視点はどうか。
大戸屋とコロワイド側の経営手法の一番の相違点は店内調理かセントラルキッチン活用かという部分であろうか。
店内加工とセントラルキッチンの違いは?。
それは我々業界人であろうば理解できるであろう。
店内加工とは店内で素材から調理加工して素材の良さを活かして料理。
セントラルキッチンはセンター加工済素材を店内で調理加工して料理。
この違いは食事を提供する者としては、絶対的な違いとして受け取るであろう。
それは我々生鮮食品を生業とする者においても同様である。
先日も「戦友との会話」で取り上げた内容を思い出す。
http://tetu-syoubai.cocolog-nifty.com/blog/2020/10/post-c66fd4.html
あくまでも生鮮主体にダウンサイズを図る食品スーパーと、チェーン化のノウハウを食品スーパーに当てはめ店舗数を増やしドミナンス化を図る外食チェーン。
全ての企業は効率的なチェーン化の波に呑み込まれていくのだろうか。
手作りの良さから企業は生まれていくのであるが、店舗数の拡大と共にチェーン化が図られ、更に規模の大きい企業に飲み込まれていく。
そしていずれは、手作りの味が外食から徐々に姿を消し、本当の手作りとは家庭内で料理される食事以外は外食には存在しなくなっていくのであろう。
逆に言えば素材の販売価値とは高まるのか下がるのか。
我々食品小売業のチャンスのありどころは、どこに見出すべきなのであろうか。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
大戸屋の新社長のコメントを見ましたが、店内調理は残す方向で経営を引き継ぐとのこと。今回の報道で大きな騒動になっていることは間違いないですね。
ただしおっしゃる通りインストアなのかアウトパックなのかはその前提であってあくまでもお客様がその味にどう答えを出すかだと思いますので、今後の大戸屋の動向を見ていきたいと思います。
投稿: てっちゃん | 2020年10月15日 (木) 08時18分
とあるスーパーでも売場で厨房を見えるようにして手作り感を演出されてますが弁当は丼物だけで他の弁当はアウトパック。お客様が裏面表記を理解されてるかは疑問ですが。私的にはお客様が納得出来れば良いと思うのです。
折角手間暇掛けて手作りに拘るならしっかりお客様にお伝えする事で先入観により味に対する満足感は大きく増す事でしょう。
食べる満足感は決して味だけでは無いと思うのです。その好事例が駅弁でしょうか。
インストアだろうがセントラルだろうが満足感を如何に追求するかでしょうか。
投稿: dadama | 2020年10月14日 (水) 19時21分
k,kさん、コメントありがとうございます。
大戸屋の人気の原点はその「味」。
そしてそれが店舗数増からの売上拡大へと繋がっていった。そして訪れるチェーン化の壁。同様に丸亀製麺も麺を粉から挽く手法でその「味」に人気が集中している。ここはその製法を徹底的に露出することで人気に拍車がかかったという。
手作りや店内調理をしている外食は昔は当たり前だったのかもしれませんが現在では稀な存在になりつつあるのであれば、徹底したアピールが必要なのではないでしょうか。そのことで人気が集中すれば売上拡大による人材採用も可能なような気がするのです。
それにしてもk,kさんも色々とご活躍だったのですね。そしてその料理好きがFacebookを賑わしているのも納得できました(笑)。
投稿: てっちゃん | 2020年10月14日 (水) 07時16分
昔、飲食店勤務時代の話ですが料理長になりたての頃、一般的な肉料理にこだわってました。なかでも豚の角煮が人気で私が肉臭いのが嫌なので下処理に時間をかけていました。あわせる煮卵も基準時間はレシピにないので半熟トロトロで提供したので人気が出ました。問題は仕込みに時間がかかるので17時開店でも9時にはいかねばなりません。魚も後から大量に来るので若い子達では間に合わない。帰宅は朝方2時。料理長には残業代は出ません。そのうち本部がセントラルキッチン稼働で真空での納品になりました。当然人気も落ちクレームも。悩ましいところです。当社も売上と人件費等が合わない赤字店に向けてセントラルキッチンが始まっております。地元の要請が強く撤退出来ない店舗向けです。やはり色々なボヤキが聞こえてきますね。チェーン化に向けて残すべきインストアの部分。そこの選択が肝でしょうか。最下段の現場での話です
投稿: k,k | 2020年10月14日 (水) 05時44分