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2020年8月27日 (木)

秋刀魚の不漁2020

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


今年もサンマが不漁らしい。

  初競りで昨年の5倍の高値。

昨年も一昨年も、そしてここ数年は秋刀魚の不漁の話題が続いてきたので何も今更とも思うが、流石に今年は更に深刻な不漁らしい。

  どだいお盆には多少姿を見せていた秋刀魚。

そして1尾500円とかの価格でもお盆での売場に鮮魚コーナーの話題にはなっていたのであるが、流石に今年は全く姿を見せていなかった。

  “やはり話題通り今年は深刻なんだなぁ〜”

そんな予感はしていたが、やはり本当に秋刀魚がいないらしい。

  関東以北において秋刀魚とは秋の風物詩である。

そして、私が鮮魚のチーフとして最初に生魚の単品量販を覚えたのが秋刀魚である。

  どのタイミングで最大ボリュームで仕掛けるか。

当時、量販店でチーフをやっていたときは、それこそ100ケースという単位で商品を仕入れ、6尺平台にブルーシートを敷いて入荷した秋刀魚を最初の展開時から20ケースほど投入し、そこから売れていく毎にどんどん追加投入し、最終的には100ケースを売り切るという時代でもあった。

  あの時のワクワク感とドキドキ感は「売る楽しさ」「売れる喜び」の極致であった。

そして毎年秋刀魚の季節になると、このワクワクドキドキを求めて単品量販がエスカレートしていくのである(笑)。
そしてそれを機に、他の生や刺身類、塩干物等、いろいろな単品で上記のような仕掛けによっての単品量販の楽しさとダイナミズムに目覚めていくのである。

  そのきっかけを作ってくれたのが秋刀魚だ。

その手法は店長になっても、秋刀魚から果実に移り、果実の52週の単品量販へと進化しながら今に至っているのである。

  秋刀魚も果実も必ず52週の中で巡ってくるもの。

それが当然だと思っていた。

  しかし秋刀魚の52週MDは私の中ではここ数年崩壊している。

それだけ、ここぞのタイミングで売り込むという相場感も数量感も消滅してしまった。
それと同時に秋刀魚の規格も小サイズに移行してきたように思う。

  以前は8k入れが主流であった。

それがいつの間にか4k入れが主となり、最近では2k入れまで登場している。
それだけ、秋刀魚が大衆魚から高級魚となってきている証拠であろうか。

  更に入れ数も4k 22尾から4k 30尾へ。

要は1尾の価格を如何に低単価に抑えるかという規格になっていき、結果的に98円の価格は変わらずに昔よりも秋刀魚が細くなっていているという現状。

  それだけ最近の秋刀魚はサイズダウンしているということ。

それでも、やはり一年で一番旬を感じさせ、そのタイミングで一番単品量販出来るのは秋刀魚であった(関東以北では)。
だから、鮮魚部門にとっての秋刀魚とはある意味商売観を養う最高の単品であることは間違いなかった。

そしてマスメディアもここぞと秋刀魚を取り上げてくれたものだ。

  全て過去形である。

秋刀魚と聞いて血が騒がない鮮魚担当者は誰一人居なかったのであるが、現代はどうなのであろうか。

  鮮魚にとっての旬という特性。

それは鮮魚部門が他部門よりも強みを発揮できる分野であり、秋刀魚意外にも本来はたくさんの魚種に旬があり、一年で一番安価で美味しい時を迎えるのであるが、その代表格が秋刀魚であることも事実であろう。

他の魚種の旬が徐々に世間から忘れ去られているのであるが、秋刀魚だけは世を総動員して盛り上げてくれる。

  この相場高でも相変わらずの賑わいではある。

しかし1尾298円で、しかも細い秋刀魚がチラシに入らざるを得ない今年の相場。

  生いかもべらぼうな高値で高級魚になってしまった。

秋刀魚、お前もか!。

  寂しい秋の始まりである。






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コメント

第01肉屋さん、コメントありがとうございます。
秋刀魚の登場で一番影響を受けるのは精肉部門全般ですから、秋刀魚が無いということは精肉一強が安定するでしょうね。
秋刀魚が登場すると、意外に精肉だけではなくお店全般に秋刀魚に取られてしまいますから、店長としては逆に嬉しい部分もあることは確かですね(笑)。

投稿: てっちゃん | 2020年8月28日 (金) 08時43分

うちは、去年は高すぎたので入れていません。
今年は、入れても解凍しかないので、鮮魚バイヤーの意見では、今年も入れないとのこと。高すぎるから。
なので、また肉一強が強まります。

投稿: 第01肉屋 | 2020年8月27日 (木) 21時46分

k,kさん、コメントありがとうございます。
季節的には青魚を食べたい季節であり、日本人としてはその欲求がしっかりDNAとして宿っているものですから、秋刀魚がなければその代替えという発想は必須だと思います。それが同じ青魚の「さば」なのか「いわし」なのか、更には塩干の「さんま」なのか「ほっけ」なのか、はたまた鰻なのかは仕掛け次第ではないでしょうか。それも普段からそれらの商材に手をかけ育成認知してきたかが大きなポイントなるでしょう。
しかし、ますます日本人から旬という概念が消えていくような気がしますね。

投稿: てっちゃん | 2020年8月27日 (木) 07時29分

そろそろこの記事が出る頃だと思ってました。いやはや参りました。今の現場も調べたら秋刀魚特売時はトップクラスで売れたようです(笑)近隣の大型店より売った。あくまで過去形です。対策の打ちようがないので普段の日はサバ等を拡販、週末は鰻の売り込みで何とかなってます。解凍秋刀魚売るのは余り楽しくありません。メインがないから定番がやたら動く。粗利は取りやすいと思いますが何か物足りない秋になりそうです。バイヤーの話では9月後半になれば少しは出回るとの話。何か鮮魚担当者としてはつまらない残暑期間です(笑)

投稿: k,k | 2020年8月27日 (木) 05時09分

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