家政婦を極める
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日のNHKプロフェッショナル「仕事の流儀」。
今回は家政婦の「タサン志麻」さん。
家政婦として家事代行サービス「タスカジ」に登録し、あまりに人気に予約が取れずに「伝説の家政婦」と呼ばれているらしい。
そして2018年にも取り上げられたタサン志麻さんが再び登場。
志麻さんは家政婦の中でも、料理専門の家政婦である。
小さい頃から料理が好きでその道の専門学校に通った。
そしてフランス料理に興味を持ち、本場フランスまで修行に行ったというから本格的にフランス料理を習得していったのだろう。
そこで料理以外のあることに心を動かされる体験をする。
友人のホームパーティに招待された時のこと。
日本で料理を味わうというと、どうしても硬い雰囲気の中で出されてきた料理を一品、また一品と無言で味わい、プロの料理人と対峙した関係として味わうということに専念するようなイメージがある。
しかし本場フランスの家庭料理とは全く違っていた。
家族同士の会話、友人同士の会話がメインであり、それはそれは賑やかで料理はその会話を盛り上げる一つのツールのようなものであったという。
料理を中心に食卓で繰り広げられる人間の笑顔。
そこにある意味フランス料理の本筋を見たような気がしたのであるが、そこでの修行の後にはまた日本に戻ってあるフランス料理の名門の下で働き始めるのである。
ここではやはり日本流の職人気質の文化に染められていく。
この当時の彼女を知る友人は、近寄りがたい存在だったという。
要は、自分と同様に料理に対しての前向きな姿勢を相手にも求め、それを感じられなかった相手には口も利かないという態度。
全てに対しての自分の価値観の強要。
これが徐々に周囲から孤立していく原因となっていった。
結局は10年も務めたフランス料理店を退職。
そこから家政婦の道を進むことになる。
その間に結婚、出産を経ての家政婦の仕事。
自分も同様の経歴を持つため依頼者の主婦の痛みがわかるようになった。
依頼者本人の視点で冷蔵庫の中の食材と調味料、そして家族構成から推察する作り置きメニューの数々。
それを瞬間的に見抜いて母の想いで料理を作る。
それはひとえに、その家族を料理を通して食卓に集って笑顔になってほしいという願いからくる自分の役割だと思えるようになったという。
そして私は思った。
その想いは我々食品スーパーにも言えること。
それは、我々も食品の素材を販売しているが、その理念は単に食材を売ることでは無く、その食材から生まれるメニューであり、それを取り囲む食卓であり、そこを舞台にした家族の笑顔であり生活シーンなのである。
食を通した豊かな暮らし。
これが我々食品小売業の本来の役割。
それを代行するという家政婦の存在。
同じ想いが彼女には流れていた。
その彼女が、二人目のお子さんを育てながら、忙しい主婦の為のレシピの開発をしているという。
どこにでもある食材を使用して
どこにでもある機材を使用して
どこにでもある調味料を使用して
そして、簡単に美味しくできる料理のバラエティー。
それは普通の家庭の普通の主婦を対象にしたレシピ本。
そしてそのようなレシピに支えられて、我々はリアルな店舗でリアルな食材を揃えてお客様の目利きで購入される食材を販売するのである。
そこにあるのは手作りという母の愛なのであろう。
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コメント
k.kさん、コメントありがとうございます。
k.kさんの創作料理は専業主婦の方でも新たな発見であり、我々同業者から見れば是非そんな提案を店舗で日々繰り返し継続していただければ来店客数も増加していくように思うのです。あちらの会では別の形で来店客数に貢献しようと企画運営されている方達もいます。そんな方達が連携したときの知恵であり創造は可能性を高めてくれるような気がしますね。
投稿: てっちゃん | 2019年10月23日 (水) 06時01分
私も老後はそれを目指してます。ただフランス料理は、どう転んでも出来ませんが。 飲食業時代の賄い料理は創造、創作力が必要です。その甲斐あって何度か料理コンテスト等に入賞できました。それをどうスーパーの中で提案できるか。男料理がいいのか、悪いのか。 ちなみに魚屋が肉、野菜の提案した時には嫌な顔されました。やはり副店長にならないと受け入れてもらえないようです。他に発信してますが気にして見てくれる方々にいれば嬉しいです。
投稿: k,k | 2019年10月22日 (火) 21時42分