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2019年10月 4日 (金)

心を研ぐ

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


先日のNHKの仕事の流儀。

  「命を削り、心を研ぐ」。

包丁研ぎの名人、坂下勝美さんを取り上げていた。

  包丁。

料理や調理には欠かすことの出来ない、プロの道具。
であると同時に、家庭でも材料を調理する上での必需品でもある。

  包丁の切れ味。

これはどの世界でも必須であり、特に料理人たちにとっては絶対に譲れない重要なポイントであろう。

  包丁が切れるということは素材を痛めないことにつながる。

それはその素材の本来の味を食べるまで保たれるということであるから、当然に食べた時の味にも直結するのだ。

  特にそのまま食する刺身類には直結するであろう。

そして切れる包丁で捌いた素材は、その切り口の綺麗さからも、盛り付け時の見栄えにも影響してくるというもの。

  更に切れるということは作業効率にも直結するものである。

スーパーでも各部門で包丁を使用して素材を調理する過程が多いが、鮮魚や生肉には包丁研ぎがあり自分たちで常に包丁を研いで使っているが、成果や惣菜となるとそうもいかない。

  切れない包丁でひたすらキャベツの半切りをするパートさん。

これでは作業効率も低下するし、切り口も汚くなり見栄えも良く無い。

  全ての人にとって包丁は切れるべきなのである。

そんな包丁の世界で、包丁研ぎの名人とは如何に。

そんな気持ちで見ていたのだが、まず驚いたのが砥石の形であった。

  通常の砥石は長方形の水平な表面である。

しかし、彼が使用する砥石は上に湾曲しているのである。

  “これは研ぎずらそう”

そう思ったが、その砥石から生み出される包丁は、正に芸術的に綺麗な形と艶を誇っていた。

  更にしのぎ全般にくぼみを持たせる。

これも切れ味の追求であるという。

そして最後は自分の指で磨いていく。
経験上、自分の指で最後の磨きを入れるのが一番綺麗に仕上がるという。

  正に芸術品を見ているような包丁がそこから生まれるのである。

また、こんな場面もあった。
研ぎ直しを依頼された場面のこと。

  歯がボロボロになった包丁。

その包丁を見て、使用者の特性を見抜き、その使用者が欠点をフォローするように包丁の形を微妙に変えてその欠点が現れないように研いでやるのだ。

  まさに使用者のことを想っての仕事。

そこに依頼者との信頼関係が築かれるのである。

  そこまでして包丁を研ぐ人を見たことがない。

仕事とはそういうものなのだと思わざるを得ない番組であった。







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心のあるべき姿」カテゴリの記事

コメント

ただのバイトさん、コメントありがとうございます。
商売とは常に同じ環境に無い状況に置いて、変化対応業として自らを常に変えながら時代に対応していくことだと思っております。
その為には自らその状況を把握し自らの頭で変化に応じて行動するスタンスが必要になってきているのだろうと思います。
ただし、その環境を与えられているか否かも大きな問題。
そして今からその客数に応じ個々にの対応を行っていく。
よって、それぞれにその環境に合わせた解決策を実行していくのであり、同じマニュアルや同じ答えが無いという前提で自分頭を一から構築していきたいですね。

投稿: てっちゃん | 2019年10月 6日 (日) 23時57分

コメントありがとうございます。

ちょっと補足しますと、僕がここで「道具」という言葉を用いて例えているのは意味がありまして、笑
あまり哲学的なことは言いたくないのですが、この「道具」という概念には対峙する言葉がありまして、それを「機械」と言います。

「道具」と「機械」というのは似て非なるものです。一番の違いは動力源。「使用者」が自らの体力で動かすのが「道具」であり、燃料や電力のようなエネルギーによって動かされるのが「機械」です。
「機械」という言葉から受ける何となく無機質なイメージがあるのですが、人が道具を用いていた時代は人は本来の人であり続けた。しかしより高度で正確な「機械」が登場したことで、心を持つ生身の人間自体、機械化されてしまっていないかという問いは近現代の哲学の大きなテーマなのです。

>最近は男子社員の切身の調理技術の低下が著しいのですが
>強制的に上司から仕事に仕方を詰め込まれる時代から、自主的に自らの意欲で目の前の仕事を追求しようとする

例えばこの話なんかまさにそうです、笑
単なる無機質な商品化マシーンとか、陳列マシーンと化した例ですね、笑
小売の現場で必要なのは「機械」ではなく「道具」なのです。

「道具」が行う見切りと、「機械」が行う見切りは全く違いますね。
「機械」は何時に何を何割見切ると予め「使用者」からインプットされたデータ通りにしか動きません。客足がどうであろうと天候がどうであろうと冬時間も夏時間もお構いなく毎日同じ時間に同じように見切るだけです。
上記のような日々刻々と変化する売り場の状況を見定めながら見切りのできる素晴らしい「道具」はなかなかいません。大半はそうなる前に辞めてしまいます。

既存店の途中から加わるパートさんは特に難しいと思います。
車の合流地点のようなものですね。流れがゆっくりなら入りやすいですが、凄く速いとどうしようかなとなります。自分で流れを作ったり変えたりすることはもちろんできませんからね。
野球の中継ぎ投手と一緒です。先発投手がマウンドを降りる前に試合の流れをよく見ておかないと、先発が降りた後のマウンドは守れません。

投稿: ただのバイト | 2019年10月 6日 (日) 10時00分

ただのバイトさん、コメントありがとうございます。
アルバイトやパートを「道具」に例えるところが今日も奥深いですね(笑)。
そして「人材」という道具のメンテナンスの仕方も時代と共に変遷してきているのでしょうか。
店舗が少なく若年世代が多かった時代には人員は豊富にいたから、その時代には道具は徹底して鍛えに鍛えられながら使用されていたものですが、今後はその道具が「心」を持った人間として如何に自分の人生においてそこで働くことがプラスになり働きがいを感じることができるかという環境作りをしていかないと、自企業に未来は無いという時代に突入してしまったようです。
要は強制的に上司から仕事に仕方を詰め込まれる時代から、自主的に自らの意欲で目の前の仕事を追求しようとする環境がより重要であり、その環境が自社を救うという発想でしょうか。そしてそれだけ危機感を持ってこの問題に取り組まないと自社の未来は無いと認識することだと思います。そしてこの環境を経験しながらより良い自企業の未来を創造できるのは今この環境に身を置く「道具」の方達ではないでしょうか。

投稿: てっちゃん | 2019年10月 6日 (日) 06時15分

>その包丁を見て、使用者の特性を見抜き、その使用者が欠点をフォローするように包丁の形を微妙に変えてその欠点が現れないように研いでやるのだ。


僕らバイトも日々売り場を維持していくための、ある意味「道具」です。
「道具」は「道具」としての能力をいかんなく発揮していけばいいのです。そうできないなら別の「使用者」に使ってもらうしかない。
しかし「道具」はしばしば壊れる。そんな壊れた「道具」を直してやるのが「使用者」の仕事でしょうか?
しかし何度直してもまた壊れるとしたら、そもそも「道具」が壊れやすい環境ということ。それなら、それをどうにかするのはその「使用者」のさらに上にいる「使用者」の仕事でしょうか。
しかし包丁のようなものは使い方を間違えると大けがをしたり痛い思いを身をもってします。ですからこうして刃こぼれを気にしたり、日々研いだり、最善の注意を払います。
しかし売り場の「道具」は使い方を知らず知らずのうちに間違えていても、血を流したり直接的に痛い思いをしないので、なかなか気がつかないもの。
そこが難しいのです。気がついた時にはもう手遅れという事が多いです。

投稿: ただのバイト | 2019年10月 6日 (日) 02時39分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
自らを研ぐ環境。
逆に、今が砥石なのかもしれませんね。
しっかりと自分を棚卸して、来るべき環境に備えるということなのでしょうか。

投稿: てっちゃん | 2019年10月 5日 (土) 06時14分

k.kさん、コメントありがとうございます。
包丁の研ぎ方で性格がわかる。
それは凄いですね。後日教えてください。
最近は男子社員の切身の調理技術の低下が著しいのですが、包丁の切れ味によるものだと思っています。よって包丁を毎日研いで管理しているかどうか、そこに至る道具への執着心があるかどうかだと思っています。
私は包丁の切っ先を一番初めにしっかり研いでから最後は根元を角度キツめに研いで終了です。

投稿: てっちゃん | 2019年10月 5日 (土) 06時12分

てつろうさん、コメントありがとうございます。
色々な部門で色々な道具を使用して原料を加工して商品化しますが、特に包丁は商品化に直結する道具。日々の手入れは大切ですし、何か一つを極めるという意識も大切でしょうか。結局はそれが売れる商品化であり売れる売場に繋がるということですからね。

投稿: てっちゃん | 2019年10月 5日 (土) 06時07分

私も毎日研いでいますが湾曲の砥石では出来ません。凄い技があるのですね。最近ベテランの人の包丁を見て性格がわかるようになりました。研ぎ癖や刃先、刃元のつけ方で判断できます。優柔不断、一人親方、バランスの人等です。だからといって何の得にもなりませんが(笑)職人と言われるからにはキッチリと手入れした道具も下に教えていきたいですね

投稿: k,k | 2019年10月 4日 (金) 21時07分

切れ味の悪い包丁ほど無理な力がかかり刃が滑って怪我の元となりますね・・・私も錆びだらけだなぁ(笑)。もう一度自らを研ぐ環境に戻りたいですね。

投稿: dadama | 2019年10月 4日 (金) 20時39分

昔話になりますが私も鮮魚部門で魚を捌いていたころは毎日包丁を手入れしました。切れない包丁でキャベツを切るのはとても危険です。あとアスパラを切るときも気を付けないといけません。道具を大切にするのも仕事ですからね。

投稿: てつろう | 2019年10月 4日 (金) 20時14分

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