« プラグ交換 | トップページ | 接客業万歳 »

2019年5月13日 (月)

仕入れと在庫

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


商売はまず仕入れから始まる。

  「何をいくつ売るか?。」

仕入れ計画があり、どこから仕入れるかという選択になり、実際に商品が入荷する。

  以前であれば各々が市場に出向いて仕入れていた。

更には、仲卸からも各々の相場情報が各店舗毎にファックスされていたので、その相場情報から各担当者がどの仲卸からどの単品を仕入れるかまで選択の余地が高かったが、最近ではバイヤーが仕入れルートを絞り込んでくれているため、現場の仕入れ担当者はあまり深く考えずに発注行為を行うことができる環境になった。

  原則、商品の入荷は全て自ら発注したが故に入荷するのである。

要は、送り込みを除けば、入荷商品の全ては自らの計画で「いくつ売る」という意思なのである。
その入荷数量の根拠は、「どこで、何を、いくつ売る」という自らの計画に則ったものであるから、入荷した時点で即陳列となるべきなのだ。

  特に入荷量の多いグロサリーの商品群はそれが理想であろう。

入荷し、陳列し、陳列し切れないものはバックヤードに保管することになる。

  売場やバックヤードを問わずに、まだ売れていない商品は全て在庫として括られる。

売場の在庫、バックヤードの在庫と区分けされるが、バックヤードの在庫は売場には無いから売上にはならない。

  要はバックヤードの在庫は未だ価値が無いということだ。

売場に陳列されて、お客様の目に触れてこその商品価値である。

  商品価値とはお客様が主体的に決める価値。

よって、お客様の目に触れないバックヤードの商品には価値は無い。

  だから、バックヤードの在庫はゼロが理想。

そして、生鮮部門の商品は入荷した時点から鮮度劣化が始まる。

  入荷した時点で売場に陳列されることが一番の価値とも言える。

そして、鮮度の良い、一番価値が高い段階で少額の値下げで売り切り、翌日にまた価値ある商品を仕入れる。

部門の特性上、必ずしも上記のような流れにならない部門やカテゴリーもあろうが、基本的には仕入れから販売までの流れは上記の通りであろう。

よって、優れた担当者は概ね、大量に仕入れはするが、最終的的には在庫は持たないものである。

  スピードを持って入荷商品を調理加工、または即売場に陳列する。

大量に入荷した商品をスピーディに売場に陳列するとい原理原則を忠実に実行することが、まずは優れた担当者の姿である。

  結果的にその日の閉店時の在庫は少ないかゼロ。

それは理想だが、その日々の繰り返しが、結果的には日々の売場の鮮度を保ち、売場の変化をもたらし、お客様の評価に繋がる。

  「あのお店はいつ行っても鮮度が良いね、季節感があるね。」

そう評価され、地域一番店へ登りつめていくのであろう。
しかし、中々この理想の姿を理解はしても、現実にはそうならない。

  なぜか?。

仕入れが増えれば在庫も増えるというリスクとの背中合わせにあるからだ。

売上を立てるには、まず仕入れをしなければならない。
しかし、仕入れをすれば在庫になるというリスクも負わなければならない。
よって、身の丈の売上に合う仕入れをすれば、品切れのリスクにもなる。

  そこの狭間で担当者は悩む。

結果として、仕入れが少なく欠品したり、仕入れが多く在庫が増えたり。

  その繰り返し。

しかし、やはり優秀な担当者はどんな時でも入荷した商品を予定通りにスピーディに売場に陳列することを緩めない。

  そして、売場で悩むのである。

どう陳列するか、どんなPOPを付けるか、どんなSKUでメニュー提案するか、どんな売価を付けるか、どこで値引いて売り切るか。
もっとも、それと同時に、今日のスタッフの誰がどんな役割で陳列するかの作業割り当てから実際の作業工程を考案することも同時並行で進めていくのであるが。

  商売勘とマネジメント。

この両面を駆使して日々の業務をこなすわけだ。

  しかし、基本はスピード感であろうか。








|

« プラグ交換 | トップページ | 接客業万歳 »

商売」カテゴリの記事

コメント

sakaeさん、コメントありがとうございます。
仕入れはするが在庫にはしない。
生鮮部門の売り上げと荒利安定の定石ですね。
そのあるべき姿のために、如何に在庫を売場に商品化して売り切るか。
この日々の繰り返しが自らの販売力を磨き、自らの原理原則として構築できるのでしょうね。

投稿: てっちゃん | 2019年5月15日 (水) 09時10分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
数十年前の単品量販に向かう。
ということは、個の意欲の積み重ねが組織拡大の原理原則であったという結論なのでしょうか。
組織拡大の為のチェーンストア理論はどこかで行きづまるということであり、組織拡大と個の成長意欲を如何にマッチさせられるかが、今後のチェーンストアの方向性であることが見えますね。

投稿: てっちゃん | 2019年5月15日 (水) 09時08分

GW期間中の冷蔵庫は在庫の山で商品を移動しないと冷蔵庫に入れない状態でしたが、GWが終わった現在はすっきりしています。仕入れた以上は売り切るという意思があれば在庫は減っていくと思います。それが難しいのですが。
私は鮮度を維持したければ、在庫は持つなと教わりました。勝負時は在庫を持ちますが、普段は極力在庫は持たないようにしています。

投稿: sakae | 2019年5月14日 (火) 17時42分

コンプライアンスとかで担当者が市場に行く事が少ない中、旬を知らない担当者が増えた事。
仕入と販売が分業化してしまった事にも原因はあるのでしょうね。青果担当者だった私は今の時期はメロンを市場担当者と値決めして市場の残商品を送ってもらってましたが最大で1日1200ケース送られてきてバックヤードがとんでもない事になっていました(まあ、日常茶飯事でしたが・笑)。自らを追い込む事で売場も殺気が漂うものになる(笑)。パート・アルバイト総出で試食したり、箱売りやばら売りに変化させたり、店頭販売したりあらゆる技を屈指して売切りましたよ。メロンの後はさくらんぼ・・・こんなサイクルからフルーツは嗜好品的な商品と捉え単品量販で売上を作る技を磨いてきました。今では誰もやらないでしょうね・・・社長的には個の業績は来年のリスクとなるらしいですから(笑)。でもそこに今から向かうのも皮肉なものですね(笑)。

投稿: dadama | 2019年5月14日 (火) 08時07分

k.kさん、コメントありがとうございます。
私が入社当初、鮮魚部門に配属されて一番ばじめに教えられたのは、「魚は価値で売れ」でした。
だから、原価以前にモノを見て自分で価値を判断し価格を付けました。
その訓練が、モノを見る目が養われたのだと思います。
今回の記事はあくまでも理想論ですが、この理想に近ずけられれば荒利は黙っていても予算内に固定できるもの。
販売計画と在庫管理が全てであり、仕入れ計画はk.kさんの仰る通り7割に抑えて、あとは送り込みを待つ姿勢もベテランならではでしょうか。

投稿: てっちゃん | 2019年5月14日 (火) 06時36分

素敵なテーマです。目がキラキラしながら見てます(笑) 理想はてっちゃん店長さんのおっしゃる通りです。毎日それを考えながら仕事してますが中々思うとおりに出来ない。でもそれを目指してます。もっといえばその商品にどれだけの値打ちをつけるか、売り廻せるかだと思います。 当社はなぜか値入を30入れるしか考えておらず実物をみて値上げ値下げの判断ができない、っというか教わっってないからと考えもしないのです。黙ってても粗利をとれる商品をとらない。不思議ですよね、生鮮部門の楽しみが解ってないんですね。また私は販売計画は7割ぐらいにして余力残した不完全なものにしてます。これは急な送り込みが来ても対応できるようにです。 何度かスタッフと鮮魚の常識論話してますが会社のマニュアルだからと受け付けません💦 もう一人で突っ走るしかありません。色々浮いた存在にはなってますが商品回転をあげて鮮度維持しながら最後に規定粗利とれれば最高ですね。がんばります(*^^*)

投稿: k,k | 2019年5月13日 (月) 05時44分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




« プラグ交換 | トップページ | 接客業万歳 »