切れないロープ
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日のNHK「仕事の流儀」。
精肉店主「新保吉伸」さんの特集。
新保さんは、ドライエージングによって、経産牛などの赤身肉を味わい深い旨みのある肉に熟成させて取引先に卸す精肉店の店主である。
当初はブランド牛を購入して自慢げにトロフィーや賞状を飾っていたが、その時代に狂牛病が発生し、今までの取引先を全て失ったと言う。
そのどん底からある一通のメールが届いた。
それは、北海道で酪農を営む女性。
彼女の農場は広大な敷地に、牛を自由に放牧する農場であり、牛にストレスを与えずに飼育するため、餌は自然の草のみ。
よって筋肉質であり赤みの硬い肉質であると言う。
その為、市場では評価が低く、安く買い叩かれる場合が多いという。
その牧場と現状を見て、新保さんは心に決めたという。
“この様な牧場主の牛肉を取り扱いたい”
飼い主は、サシの多いA5ランクの牛肉の方が高額で取引される為、皆がそんな牛を飼育して高値で売ろうとする。
しかし牛からするとストレスの多い飼育方法になるという。
よって、牛のストレスを考慮して赤身肉を飼育する牧場主もいるという。
新保さんはそんな牛を扱いたいと思う様になったという。
そこから、赤身肉を如何に美味しい牛肉として料理人に提供できるかを模索し始めた。
結果として、欧米で盛んに取り組まれていのドライエージング(熟成牛)に行き着いたという。
そんな新保氏は業界でも異端児扱いされているという。
それは、通常の精肉商であれば、ほとんどの方はA5ランクを始めサシの多い牛を扱いたがるもの。
しかし、新保氏は敢えて赤身肉にスポットを当てて、その牛が持つ最高のポテンシャルを引き出そうとする姿勢は、この番組に登場するだけのプロフェッショナルであると思った。
彼は番組内でこう言った。
「狂牛病事件当時の私と取引先を繋ぐロープは簡単に切れたが、今私と繋がる取引先はどんなナイフでも切れない強さがある。ブランドの確立なんかよりももっと大切なものを得ることができた。」
それを「正しい肉屋」と呼んだ。
正しい肉、そして正しい肉屋。
そしてそれを繋ぐ正しいロープ。
そのロープで繋がれる限り、人間は強くなれるのであろう。
この番組を見ていて、ふと思った。
「てっちゃん会」の繋がりに似ているなぁ〜。
この繋がりも、企業の壁を超えて仕事への志を持つもの同士が繋がった集まり。
それぞれの企業では異端児かもしれない(笑)。
それは、自らの意志でお客様を最優先に店舗運営をし、それに関わる業界の繋がりを活用して自らの業績を改善していこうとする人間の繋がりである。
個人の利益追及の意志はそこには入り込まない。
そして何の営業目的もなく、自らの意思でこの繋がりに参加し、自らの課題に対して自己完結させようと、同じ意志を持つ連中が集まって活動する組織。
よって全ては自腹で活動するものである。
そこに、繋がりの強さがの要因があるのであろう。
そしてそんな仲間達との出会いに感謝するのである。
つい先日もそんな集まりが北関東であったのだ。
一つの道を追及していくと必ず仲間という絆が生まれていくもの。
そんなことを想いながら、この番組を見ていたのである。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
いつまでも夢を持って生きていけるのは素晴らしいことだと思います。
そしてそれを後押ししてくれる会のメンバーのありがたみ。感謝ですね(笑)。
投稿: てっちゃん | 2019年5月11日 (土) 21時47分
私も皆さんがいてこそここまで走る事が出来ました。お陰様で会社も「安住の地」を用意してくれましたが個人的には有難迷惑(笑)。ひとまずは一線を退きますが今からが仕事を趣味でこなせる領域・・・いつの日かまた現場で暴れますよ(笑)。
投稿: dadama | 2019年5月11日 (土) 09時38分
sakaeさん、コメントありがとうございます。
社内の繋がり、そして社外の繋がり、また取引上の繋がり。
仕事においても様々な繋がりが存在しますが、とりわけ業務上の繋がりとは無関係(営業上)な繋がりというのは、己の意志でその繋がりを維持しようとする意味で、あくまでも自主的なものであり、自分の意志の力で繋がろうとするわけですから、思いも一入だろうと思います。
そして、お互いの利益とは無縁の関係ですから、そこにはお互いの立場も損得もないボランティアの世界。そこには企業の壁というものは全く存在しないものですので、本当の意味での学びができるのでは無いでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2019年5月11日 (土) 06時28分
私は録画していたので、今日視聴しました。
肉屋の仕事を若者に人気のある職業にしたいという新保さんの言葉が印象に残りました。スーパーでも肉屋や魚屋は敬遠されがちですが、自分の腕次第の仕事なので本来はとても面白く追求しがいのある職業だと思っています。そのへんが上手く伝わらないのが肉屋や魚屋が敬遠される理由でしょうか。
私はまだてっちゃん会に入って日は浅いですが、日を追うごとにてっちゃん会の深みにはまっています。その理由は間違いなくてっちゃん会の皆様が切れないロープで繋がる懐の深い方ばかりだからだと思っています。この会に招き入れてもらえたことに感謝しております。
投稿: sakae | 2019年5月10日 (金) 20時18分