マネジメントの概念
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
マネジメントという言葉。
よく使われる業界用語である。
マネジメントを「管理」と訳してきた時代が長かった。
管理という表現は「部下」や「組織」を縛り付ける印象が強い。
しかし管理者(店長や上司)にとって管理という表現で部下や組織を管理する方が管理しやすいということは間違いない。
要は「マニュアル」や「規定」通りに部下を管理すること。
それは、マニュアルを徹底して読み込み、そのマニュアル通りに普段の部下の仕事を管理して、規定通りの状態になっていることを仕事の最優先に据えることである。
よって管理者の仕事はマニュアルを強いてその状態を維持すること。
それは、何の人間的な魅力を発揮することでもなく、販売技術や陳列技術を習得することもなく、単に学力を以ってマニュアルをしっかり記憶してその通りに部下や組織、店舗をマニュアルの状態に部下を強いて維持することである。
そう考えると管理とは意外に簡単なことである。
それは組織上も管理しやすく、チェーンストアとしても管理しやすいからチェーン化の拡大にも効率的であった。
そしてその時代に管理を学んだ世代が今苦労しているのである。
管理者も管理される者も、同じ価値観で育ってきた時代であれば、その管理手法は上司も部下も同じ価値観に沿って非常に効率よく管理された状態を維持できたのである。
よってその成功体験が変化への対応を鈍らせているとも言える。
現代は「個」の時代である。
「個」とは感情を持った尊厳に値する人間のこと。
そして、「個」の尊厳から個性という要素が尊重される時代と変化してきた。
「個」の個性一つ一つを同じマニュアルで管理することの限界を迎える。
ここでもう一度振り返らなければならないのは、マニュアルの本来の意味であろう。
なぜ、マニュアルが存在するのか。
その原点に戻らなければ、このギャップはいつまでも埋めることはできない。
マニュアルの存在意義。
私は、マニュアルの存在意義には三つあると思っている。
一つは業績達成の為。
二つは作業改善の為
三つは不正防止の為。
この三つの目的を達成するために、一番効率よく階段を登るために、熟練者でなくても一歩一歩踏み間違えることなく階段を登れる決め事を記したのがマニュアルである。
マニュアル通りに実行することで上記三項目が熟練せずとも達成可能。
それがマニュアルの本来の意味。
それをかっての管理者は目的化してしまった。
それは私自身も初めての店長の時はそうだった。
“あるべき理想の店長になってやろう”
そんな想いがマニュアル厳守人間にさせたのだろうか。
しかし、現場では疎外された。
要は、全てにおいて本部側の人間に映ったのだろう。
大切なのはマニュアルの目的を振り返ること。
そしてそれを使いこなすのは現場の人間。
現場で最大限に効果のあるマニュアルの活用。
そのような発想に立ち返り、現場の感情を持った人間の「情」をどう引き出すか。
マニュアルは「知」。
現場の人間は「情」。
「知」と「情」をどうマネジメントするかが、リーダーの存在意義であろう。
特に現代人は「個」という個性の尊厳で育ってきた。
個性の尊厳で育つということは、同じ個性という存在を尊厳するものである。
よって「知」のリーダー以上に「情」のリーダーに惹かれるもの。
要はリーダーが何を言ったかではなく、その言葉を「誰」が言ったかによって「情」を動かされるものである。
「情」の無い人間がマニュアル通りの立派な一般論を言っても心に響かない。
逆に「情」のある自分の店長の言葉だから心が動かされて行動するのである。
「知」と「情」を組織において一致させるのが、マネジメントと言えるのであろう。
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コメント
sakaeさん、コメントありがとうございます。
マニュアル=あくまでも目安。
その程度の認識でいいかと思いますが、それでも目安という方針や指針がないと大きくブレた考えが蔓延し、非常に非効率な店舗運営になってしまいますから、やはりマニュアルは指針としても必須だと思います。人材育成という指導に関しては尚更必要不可欠な存在だと思います。
投稿: てっちゃん | 2019年4月25日 (木) 21時50分
当社は前時代的なためか、衛生管理などのマニュアルはありますが、業務遂行のためのマニュアルはありません。業務遂行のマニュアルがなくて困るのは、人によって業績達成や部下育成にばらつきがでてしまうことです。特に、部下育成については最低限のマニュアルがないと部下が役職に着いた時に辛いと思います。当社にはそのようなマニュアルがないためか、名ばかりの役職者が多いです。
投稿: sakae | 2019年4月25日 (木) 19時59分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
マニュアル改め、バイブル。
確かにバイブルでしょうか。
いつでも取り出して読み、そこで気持ちを引き締める。信者が聖書を読む心理に似ているのでしょうね(笑)。
そしてその絶対的な信仰心が御社の求心力であり業績の安定に繋がっているのだろうと思います。
さて、どこまでその新旧の信仰心を体に収められるかが楽しみ?ですね。
投稿: てっちゃん | 2019年4月25日 (木) 16時59分
当社にもマニュアルが存在しますがマニュアルよりバイブルと言いましょうか(笑)。技術、理論的内容は皆無で思想や理念を徹底的に叩き込む。それに基づき「個」の力を最大限に引き出し業績評価に連動していく。過去は環境も商品も天候も違う事は当たり前だからこそ、常に先を読む力が求められてます。ですから予算必達主義。予算必達の為なら法律やコンプライアンスでアウトでなければ何でもあり。商売に徹し結果を出す事が全て・・・強烈な現場主義だからこそ教科書的マニュアルは不要なのでしょうね。
投稿: dadama | 2019年4月25日 (木) 16時47分
k.kさん、コメントありがとうございます。
就業時間がきっちり8時間で収めるという逆算で仕事を考察する仕事観と、仕事の達成度で仕事を考察する仕事観のせめぎ合いが現代の葛藤だと言えるでしょう。
しかし仕事の達成感とそこから得られる有能感は圧倒的に後者に軍配があがると言えるでしょう。そこがこの業界の唯一の拠り所となるのでしょうね。
投稿: てっちゃん | 2019年4月25日 (木) 11時17分
マニュアルの存在。企業によって若干の違いはあるでしょうが絶対的な物ですね、しかしながらそれが強すぎて改善を遅らせている。考えをしなくなっているともいえます。そして時代錯誤。
マニュアルがつくられた時代は企業にもよりますが各社とも約半世紀前でしょうか。現代の人員不足だったり効率化だったり就業だったりの変化に対応していない。衛生管理含めてです。
当社に限ってですが不思議にマニュアルを絶対とする若手。変化、創意工夫は苦手。
チーフ連中は売り上げ、粗利をどうにかしたいとやってますが伝わらない。マニュアルを逸脱して悪いことをしてるような目で見てますね。やる気あるパートさん方のほうが話が通じるし自ら動いてくれてます。
マニュアルを順守、理解したうえでの個の表現。これに至ってないからでしょうか。私は中途なので現在の企業というよりスーパー、小売業、魚屋としての倫理、マニュアルによって動いてます。勉強不足は否めませんが。 そして情によって動くことばかりです。トップダウンで朝令暮改上等の当社。頭を柔らかくしていかないと出来ません(笑)
投稿: k,k | 2019年4月25日 (木) 08時13分