「造る」から「育てる」
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日のNHK「仕事の流儀」。
秋田の酒蔵の杜氏の話。
秋田は由利本荘市にある酒蔵の杜氏を務める「高橋藤一氏」が今回の主人公。
その信条は「造る」のではなく「育てる」。
酒を造るのではなく、育てるという発想。
“酒って生き物?”
しかし、この番組をみていると、お酒造りは麹菌を育てるという発想を持たねばならないと感じたのである。
麹菌に余計な手を加えない。
よりストレスなく麹菌を発酵させ、よりストレスなくその工程を育ませる。
それによって、素材が本来持つ力をストレスなく発揮させ、酒本来の味を引き立てる。
それが育てるという発想。
よって、従来は酒造りの基本とされてきた「櫂入れ」をしない製造法に辿り着いたという。
均一化のための櫂入れ。
しかし、人間の手によって均一化されたものは風味を失う。
酒造りは人間が主張して造れるものではない。
その年に授かった米と水とその状況を、人間の技や思いよりも、酵母に任せてただ自然体で醸していく。
人間が立ち入ることができない世界には立ち入らない。
それが、造るという発想から育てるという発想への転換となったという。
育てる。
それは、どの世界にも言えることではないだろうか。
お酒を育てる。
人材を育てる。
商品を育てる。
子供を育てる。
等々。
育てるというキーワードは色々な場面で使われている。
お酒を育てるという言い回しは初めて聞いた。
いや、その分野に関わっていなかった為に伝わってこなかったのかもしれない。
お酒は造るもの。
商品も造るもの。
メーカーの発想は、ものつくり。
どちらかと言えば、育てるという発想は我々小売側の発想かもしれなかった。
我々人間の手で商品を育てる。
それは、定番の売場に品揃えしている商品一品一品をインプロ価格にてお客様に周知させ、その価値を認識してもらってからまた定番に戻す。
その繰り返しで自店の定番が強くなっていく。
そんな発想で定番商品を強化していけば、その場しのぎの特売に頼らずとも、黙っていても定番が自然に強化されていく。
そんな発想は小売側だけの課題では無かったのだ。
それがお酒造りにおいても実践されている杜氏がいるということ。
そう考えると、お酒も生き物。
特に日本酒は日本各地で酒蔵があり、米も違えば製法も杜氏一人一人で微妙に異なる原始的な製法により味の全く異なる商品を製造し提供している。
だから今改めて日本酒は脚光を浴びてきているのであろう。
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コメント
ナリアキさん、コメントありがとうございます。
全ては人生の縮図でしょうか。
であれば、正しく人生を歩む姿勢がお客様から評価されるという裏返し。
勇気が湧いてきますね(笑)。
投稿: てっちゃん | 2019年3月13日 (水) 11時43分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
やはり商売とは商品に惚れるところから始まるものですよね。
惚れた商品をお客様に届ける努力がお客様に伝わった時に最高の評価を頂ける。
そんな真摯な姿勢で仕事に取り組むことで、自分自身が育てられていく。
そんな因果関係を紐解いていくと、どっちが育てられているのかわからなくなりますね。
投稿: てっちゃん | 2019年3月13日 (水) 11時37分
神出鬼没さん、コメントありがとうございます。
お客様から学び、お客様から評価され通信簿を頂き、自分の不足を自ら努力して補っていく。
まさに我々はお客様から育てられているのだと思います。
ぜひ、そんな素晴らしいコメントを日々頂ければ幸いです(笑)。
投稿: てっちゃん | 2019年3月13日 (水) 11時29分
造り育てるまでが一連の流れ
商品も人間同じ
人格
権利
義務
役割があります。
短命もあれば長寿もある。
そんな風に商品達を見ると面白いですね。
投稿: ナリアキ | 2019年3月13日 (水) 06時28分
日本酒も奥は深いですよ(笑)。麹菌を生かす「生酒」と加熱して菌を殺し熟成を止めて味を安定させる「火入れ酒」でも味は大きく変わりますね。造ると育てる・・・メーカーや生産者が造った商品を育てるのが私達の役目ではないでしょうか。「商品に惚れ育てる」事に働き甲斐いを感じたいですね。価格だけの商売は切ないです(笑)。
投稿: dadama | 2019年3月12日 (火) 20時18分
おっしゃる通りですね。
売場も生き物と同じようにお客様の嗜好と共に変化、進化し続けなければいけませんね。
前年もたれではなく、いま、この瞬間の流れを汲み取り反映しなければと思います。
そう思うと私はお客様から育てられているとつくづく思います。
投稿: 神出鬼没 | 2019年3月12日 (火) 12時08分