恩送り
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日の「アンビリバボー 〜 ものは順繰り」。
感動した。
舞台は群馬県にある「下仁田納豆」。
ここで先代の後を継いだ二代目の出会いの物語。
先代が廃業を決意したのだが、サラリーマンだった二代目が後を継ぐと宣言したものの、家内工業のレベルを脱しなかった現状ではなかなか価格競争に付いていけず、スーパーとの取引にも後塵を拝していた。
そこで出会ったのが「もぎ豆腐店」。
そのもぎ豆腐店の二代目が茂木稔氏。
味にこだわる豆腐「三之助豆腐」が百貨店で引く手数多。
同じ大豆が原料という親近感もあったのだろう。
そこで下仁田納豆の二代目の隆道氏に、自分の使用している大豆を使用して「納得のいく美味しい納豆を作って持ってこい」と告げた。
そこから奇跡が始まっていく。
そこで製造した下仁田納豆を自分の販売所で毎日大量に仕入れて原価で販売してくれたのである。
しかし、一年後。
茂木氏は隆道氏に言った。
「もうこれきりだ。あとは自分で販路を開拓せよ。」
必死の隆道氏は高額な納豆を地元スーパーではなく百貨店に販路を求めて交渉にあたった。
百貨店ではすでにこの納豆の存在を熟知していたのである。
要は、茂木氏が仕入れていた下仁田納豆の多くは自腹で百貨店の仕入れ担当者にサンプルとして提供してくれていたのである。
なぜこのように下仁田納豆に恩を売ったのか?。
それは、恩送りという思想。
茂木氏は自分もかっては「恩を送られた」経験を持つ。
その思想に感銘し、その恩を受けた方から言われた言葉。
「俺にではなくいずれお前を頼ってきた若者に恩を送れ」
その相手が隆道氏であったのだ。
ものは順繰り。
恩は恩を受けた相手に返すことも大切だが、適切な返し方が無かったり相手がすでに他界していたり。
そんな宗教的な思想も恩送りには含まれている。
恩送りとは江戸時代から続いているらしい。
自分が受けた恩を返す相手がいない。
恩とは先輩や親から受けることが多い。
しかし、恩を返せる時にはすでに相手は他界している場合もある。
だから受けた恩を若い世代に返すという思想。
同様のことわざに、情けは人のためならず、という言葉がある。
他人を情けをかけるのは相手の為にならない。
そう勘違いしている方達が多いと思うが、実は大きな間違いである。
情けは巡り巡って自分に返ってくる。
だから、情けは相手の為にかけるのではなく、いずれ世の中の順繰りで自分に返ってくるものと思って目の前の相手に情けをかけるものだという意味である。
恩送りも同様なのかもしれない。
恩が色々な人を巡って、いずれ自分にも返ってくるものと信じて、先輩から受けた恩を時代を引き継ぐ若手に送る。
そうやって日本という国は繁栄をしてきたのであろう。
感動の番組であった。
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コメント
一期一会さん、コメントありがとうございます。
「恩送り」。
日本人が愛する思想として受け継がれていく言葉。
いい言葉ですね。
人生も後半に入り、そんな思想で若い世代に貢献していきたいものですね。
投稿: てっちゃん | 2019年2月 6日 (水) 10時13分
1度きりの人生…ご縁は必然だと思っています。
「恩送り」って言葉が新鮮でとても深い響きです。なんだか「鶴の恩返し」とかぶります(笑)
人は本当は喜びをわけ与えたいと思う素晴ら しい生き物なのです。
投稿: 一期一会 | 2019年2月 5日 (火) 23時13分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
自分の持てる知的財産を後世に残したいという気持ち。誰しもが持つものなのだろうと思いますが、どこでどう実行すればいいのか。逆に言うとそんな場があると言うことが幸せなのかもしれませんね。
投稿: てっちゃん | 2019年2月 4日 (月) 19時48分
1.2億人以上の日本人の中で人生で出逢う人々は奇跡的確立でしか無いですし、ご縁を頂く方々は更に絞られるのですからご縁を頂いた方々には恩を売るのでは無く恩を送れる人間になりたいですね。見返りを期待するようじゃまだまだ精進が足らないのでしょうがこの歳になると欲も段々と失せ、全うな人生を送りたいと思うようになってきましたかねー(笑)。
肩書きを外し定年を迎えた時、その気持ちがハッキリする様な気がします。遅かりしですが(笑)。
投稿: dadama | 2019年2月 4日 (月) 16時28分