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2018年12月12日 (水)

生鮮の特性を活かす

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


店舗内には多くの部門が存在する。

  それがスーパーマーケット。

元々は個人商店であった、「八百屋」「魚屋」「肉屋」「雑貨屋」「酒屋」等を一つ屋根の下に集めて、お客様が食事のメニューを一度の揃えられる利便性を追求して誕生したのである。

  しかしそれぞれが別々の特性をもつ。

よって、どの部門も同じマネジメントで管理すると大きな痛手を負う。

  それぞれに部門特性に応じたマネジメントが求められる。

しかしどうしても、同じ企業として組織として、同じマネジメントで同一的に管理した方が標準化しやすく従業員教育にも取り入れやすい。

  そして採用されるのがグロサリー的マネジメント。

別にグロサリーをバカにしているわけではない。

グロサリー的マネジメントは基本であり従業員教育の面でも軸になる管理手法であろう。

  しかし生鮮各部にはリスクが伴う。

生鮮部門は「足し算型」のマネジメントが主体であるからだ。

  生鮮部門は基本的に鮮度落ちがすこぶる早い。

鮮度が落ちる前に売り切らなければならない。
鮮度はまさに商品価値であり、仕入れた段階から刻一刻と鮮度が落ち、そして商品価値が落ちていく。

  いかに入荷当日に売り切るかが鍵。

だから、グロサリー的な在庫管理ではなく、入荷したら徹底して売場に陳列し、売れる売場を強引に作り込み、そしてその日に売り切るというマネジメント。

  当日に売り切れれば大きな利益を生む。

翌日になれば大幅に商品価値が低下し、その翌日には廃棄しなければならない商品群であるからだ。

  それはお客様にとっても同じこと。

購入したら消費しなければならない。

  それも当日から翌日にかけて。

特に鮮魚はその傾向が強く、消費できなければ廃棄となる。
そして購入した直後に調理し食するのが一番価値が高く、味が美味しいということだ。

  だから賢いお客様は即消費し、また購入する。

お客様も我々も終わることのない綱渡りを永遠に続けていくことになる。

  どんな時でも止まることを許されない。

売場の商品を売り切る知恵を働かせながら売り切る行動を起こし、同時に翌日の売場の計画と仕入れ計画を立案する。

  その永遠の繰り返しが生鮮部門。

どんな時でも立ち止まることは許されない。

  それが生鮮部門のマネジメントである。

常に、商品化と陳列、そして売り切り。
それと並行して、明日の売場計画を並行して実施していく。

  本来は生鮮部門にチラシは合わないのである。

売価は相場に左右され、商品化に左右される。
相場情報と市場との取引から仕入れ値が決まり、その仕入れ値から担当者が自らの目利きで単品量販を実施し、売り切って利益を上るのが本来の姿。

その本来の姿に戻った時に、生鮮部門は強化されていくのではないだろうか。



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コメント

ナリアキさん、コメントありがとうございます。
チラシというお客様との約束事がなくなれば、逆に思い切った価格も出せると思いますね。そして利益も大きく改善できる。
しかしそこまでの道のりは長く険しいものになるとも思いますが(笑)。

投稿: てっちゃん | 2018年12月13日 (木) 09時56分

sakaeさん、コメントありがとうございます。
まさに回遊魚。立ち止まることを許されない部門。だからこそ売り切るという行為が身についていくのかもしれませんね。逆に言うと、どこから先は半額で売り切っても儲かると言う見極めも身につく。鮮魚、青果の担当者は当初の売価付けから最終の売り切りまでのストーリーを描いていますので、意外に淡々とした部分もありますよ。

投稿: てっちゃん | 2018年12月13日 (木) 09時08分

チラシによる購買欲を刺激し来店させる商売の仕方から脱却しないといけません。
無駄やエネルギーの偏りが大きくなるだけです。
理想を言えば曜日指数が平準化すれば良いのですけど。
価格訴求やポイント販促は麻薬みたいなものです。

投稿: ナリアキ | 2018年12月12日 (水) 22時02分

生鮮部門は回遊魚みたいですね。
てっちゃんさんやk,kさんのコメントを読んでいると私も鮮魚部門に異動したくなります。
畜産部門は牛肉部門の管理は難しいですが、精肉部門は相場の変動があまりなく価格が安定しているので青果、鮮魚部門と比べると管理は易しいです。そんな精肉部門でも毎回高い荒利率を出す担当者と低い荒利率しか出せない担当者に分かれます。
その違いはやはり商品を仕入れて売り切る覚悟があるかないかの違いだと思います。

投稿: sakae | 2018年12月12日 (水) 20時22分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
まさに地方の中小スーパーが生き残れる道は生鮮の商品回転率にかかってきているのではないでしょうか。
そして、その部分に技術を持つものが重用される時代がきているのだと思います。

投稿: てっちゃん | 2018年12月12日 (水) 12時01分

k.kさん、コメントありがとうございます。
「さん」付けでないと差別用語?
知りませんでした(汗)。
表現の自由とは裏腹に、発言の自己責任という側面も現代では考慮しなければならない時代なのですね。
コミュニケーションとは、受け手が主導権を握るという前提を理解しなければ信頼関係には発展しないでしょうね。
そいう意味でも、現場時代に組織運営を正しく習得しなければなりませんね。

投稿: てっちゃん | 2018年12月12日 (水) 11時59分

当社もグロッサリーが生え抜きの部門ですから経営政策もグロッサリー的発想が主流ですね。52週MDも然り。生鮮は365日MDのはず。生鮮は回転させてナンボの世界ですから。しかしながら時代と環境が変化する中、回転日数の速さが武器となる日も近いと感じるのは私だけでしょうか?効率化、人材不足、冷凍の進化・・・これらを是として強みとする企業と回転、鮮度、美味しさに価値を求める企業。どちらも正しいと思いますが極める企業しか残れない時代だと思うのです。

投稿: dadama | 2018年12月12日 (水) 11時22分

最初に 

八百屋、魚屋といった○○屋というのは差別用語らしいです。あとに「さん」をつけるのが正解らしいです。

これさえもハラスメントですか(笑)

生鮮。鮮魚の生食材また果物はある意味で毎日際物を扱う感覚でしょうか。

前日まで好天で相場が一気に下がった→バイヤーが大量に送り込んだ→翌日天気予報が外れて大雨→原価販売+廃棄 

その反対で急にぽかぽか陽気だが前日まで時化で生が何もない。

想定したイメージにはまって構成比、予算、想定粗利までも達成できた日の帰り道は最高の余韻に浸れます。そして病みつきになります(^^)v

もちろん、その逆も。

 こういった事態も想定しながらいかに鮮度よく効率的に食材、商材を廻すか、もっといえば残業代が出ないように必要な人時、人員を張り付けるか。

たかがチーフでも考えることは山盛りあります。

木を見て森を見ず

店長等の管理職は林と森を見るのでしょうが、チーフは木とその状況、葉の状態。たまに遠巻きに林を観察といった仕事なのでしょうね。

バイヤーやアドバイザー、店の上司、パートのおばちゃん達とのコミュニケーション。 相手を知る、認める。ここをしないと先に進みませんね。

怒鳴られるのも、陰湿にくたくた説教されるのも慣れましたが先にこれをやられると心を閉じますね。

判ってない役員も沢山いる当社です。(笑)

投稿: k,k | 2018年12月12日 (水) 09時20分

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