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2018年11月 3日 (土)

りんごの話

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


青果の果実。

  りんごは今が最盛期であろうか。

とは言っても、りんごの王様である「サンふじ」は未だ市場に登場はしていない。

  サンふじが登場した段階で市場はそれ一色になる。

よって、それ以前に生産者の方はいろいろな品種を生産し収穫し投入してくる。

  そこにはいろいろな生産者の思惑もあるだろう。

一品種によるリスク回避もあろうし、販売者側の要求から特定の品種にこだわる方もいるだろうし、品種改良の為の多品種化を目論む方もいるかもしれない。

  Facebook仲間にりんごの生産者の方がいる。

りんご好きの私は、各種りんごを食べた折に、その品種と食感の感想を添えて品種紹介兼ねてアップするのだが、先日「おいらせ」という品種のりんごを食した時の写真と感想をアップした。

  その時のりんごが偶然にも「芯カビ」状態であった。

無知な私は、蜜の入ったりんごの蜜が科学変化でも起こしてこんな状態になったのだろうと思ってアップしたのだが、その後にFacebook仲間の生産者の方からコメントが入った。

芯カビ病と言います。
開花期に雌しべから雑菌が侵入し、種部分に潜伏。
果実の糖度が増し、それを栄養として菌が増殖します。
北斗、シナノスイート、おいらせ等に非常に多い病気です。
糖度がのらないと発見できず、収穫間際にしか解らないので生産者は大変です。
年にもよりますが栽培中に5~10%ほどが、これが原因で廃棄されます。
ゆえに上記品種の栽培量が増えません😥」。

  上記のような内容のコメントであった。

「おいらせ」というりんごの品種。

  たっぷりと蜜の入った美味しいりんごであった。

こんなりんごを大量に販売したい。
そう思っていた。

  よってバイヤーに約8万分(売価)の注文を入れた商品。

それほど蜜と味に惚れて、店長自らバイヤーと交渉して仕入れた品種。

  しかし生産者泣かせの側面も持つりんご。

その裏には、生産者の方の苦労であり、市場や販売小売からくるクレームにも悩まされている現実を知った。

  食べれば美味しい。

しかし、クレームも人一倍多い。

  そこの間に立って、苦悩する生産者。

よって、その生産者の方は、「おいらせ」や「北斗」は全体の3%程度の作付けに留めておくという。

  “こんなにも美味しいりんごが生産調整されている”

生産者の方も、この種のリンゴが美味しいことは百も承知。
しかし、後々のことを考えると、作りたくても作れない。

  それだけのリスクを負えないのである。

逆に言うと、我々販売する方にもリスクは伴う。

  しかし、・・・。

リスクはあれど、こんなにも美味しいリンゴはリスクを負ってでも販売すべきである。

  私はそう思う。

だから、多少のリスクを伴ど、競合他社に先駆けて、美味しい蜜入りの「おいらせ」を徹底的に販売したいと思うのである。

  その想いが通ずれば生産者の方も心強いであろう。

それはいつしか、お客様にも通じていくはずである。










  

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コメント

dadamaさん、コメントありがとうございます。
「おいらせ」「北紅」そして昨日から量販している「北斗」。いずれも蜜の入った甘くて美味しいりんごですが、人気に反比例して入荷量は少ない。よって、一回投入されたら2度どお目にかかれない商品になってしまったようですね。
このような商品を継続して仕入れて販売していく、ここの競争力に勝ち、売場で単品量販という競争に勝ってこそ、お店の品格が上がっていくのだろうと思います。

投稿: てっちゃん | 2018年11月 3日 (土) 23時51分

ナリアキさん、コメントありがとうございます。
本来、このようなエピソードは買い付けるバイヤーがそこに惚れ込んで導入するというスタンスが必要なのかもしれませんが、生産者の苦労という商品の裏側に存在するエピソードは販売側からすれば、販売する苦労、お客様の裏側を知る者達の方がより共感するのもかもしれませんね。販売側の苦労と生産側の苦労。同じ商品を前に、前後の苦労が対極的に存在する。そう思うとたった一つの商品でも奥の深さを感じますね。

投稿: てっちゃん | 2018年11月 3日 (土) 23時46分

dadama様

はじめまして。ナリアキと申します。よろしくお願いします。

マインドシェアを一つの商品を持って行う。それが2個3個そして部門に広がりを見せる。継続性の重要性とターゲットアイテムの設定後の扱い方。

あそこの店がこんなPOPをつけてたからやろう!ってなるのですが、継続できない。それはきっかけに自発性がないからだといつも反省しております。

真似は真似であって、熱は伝わらないのだと思います(見透かされているのかな)。

業界雑誌や新聞などで取り組みの成功例を見て、よしやろう!ってなるのですが続かないのは、きっかけが何か?だと思います。

生産者の思いであったりするある一人のお客様の声であったり、人の思いや声を感じて動く、行動に出るといことでないといけないなと思っています。

マインドシェアはお店全体とお客様、本社、物流、問屋、生産者に広がればいいですね。

商売は商品を売るだけでなく、ヒトと言葉の交わる場所。コミュニティだと思います。

dadamaさんのコメントで、悶々としていたものが少し整理されたような気がします。「いや違うんだよって」あれば教えて頂きたいです。

よろしければ、言葉の交流で新しい気付きが出てくればいいなと思いますので、気持ち悪がらずにお付き合い願いたいと思います。

投稿: ナリアキ | 2018年11月 3日 (土) 17時09分

こんな時こそ「鉄筆POP」の登場ですね(笑)。
生産者や販売者が売りにくい「負」を逆手にとってお客様に明示し芯カビ病に当たってしまった方にはきっちりと交換をする。美味しいこそ多少のリスクを覚悟で販売する意気込み、万一外れリンゴを購入されてしまったお客様に誠意ある処理をすればりんごに限らず商品全体のお店のマインドシェアにつながるのではないでしょうか。

投稿: dadama | 2018年11月 3日 (土) 15時49分

てっちゃん様
おいらせですか。勉強不足で初めて聞く品種です。

こういった特徴のある商品は訴え方で大きく売りの取れる商品であり、お店の差別化につながりますよね。

歩留まりの良い品種を作りがちですが、買い手が買い支える事で生産者は手前のかかる品種を作るための励みになります。

多少傷や形が悪くても美味しい。品種の個性なのだとしたら、大きな訴求ポイントになります。価格も堂々としたものをつけても良い。

とっても良い仕事のする商品だと思います。

惚れ込んだ商品をいかに特徴を理解し、お客様にアピールし買ってもらい商品の良さを実感してもらえるか。

量販量販で忘れてしまった事。
我々が本来大事にしなければならない事を気付かせる良いエピソードですね。

投稿: ナリアキ | 2018年11月 3日 (土) 14時54分

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