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2018年5月26日 (土)

利益管理表

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


原価管理部門が日々記入する利益管理表。

  この管理手法は昔から変わらない。

おそらく、どの企業も生鮮3部門及び惣菜・ベーカリー部門は日々の利益管理表を記入し、売上と仕入れの差額から、現状どのような利益状況になっているかをチェックしていると思われる。

  システムが進化した現代でもなぜ日々のチェックが必要か。

そこに原価管理部門と売価管理部門の大きな違いがある。

  原価管理部門は売上金額と仕入れ金額のみ。

よって、仕入れた商品を値入れを換算して売価を設定して販売し、売上金額との差額が利益となり荒利率が確定する。

  売価は仕入れ値を勘案して設定される。

よって、売価ありきではないため、あくまでも原価を元にした商売となる。

  そこで重要になるのは、在庫金額。

期首在庫と期末在庫の差額がなければ、利益管理表通りの荒利率が確定するが、期首在庫と期末在庫が全く同じ金額になることはまず無い。

  在庫を持てば持つほどリスクが高まるのが原価管理部門。

それは鮮度落ちの早い商品群を扱うのが生鮮部門だから。
だから、鮮度を落とさない早めの段階で高値入れで売り切ることが荒利額確保の前提条件となる。

  そこにはロス管理という発想は意外に少ない。

利益管理表にもロスは登場しない。
あくまでも、仕入れと売上の差額が荒利として計上されるのみ。
よって、売価管理部門のように荒利額確保に際して、ロス管理から入るということは無い。

  あくまでも、値入れの高低と在庫管理が利益管理の根源。

そこに、販売技術を駆使して高値入れで売り切る技術が要求されるのだ。

ここに、売価管理を主たるマネジメントとしてきた方が食品スーパーの業績改善に当たると、必ずロス管理から入る。

グロサリー部門ならまだしも生鮮部門にロス管理を筆頭に持ってきたら、必ずお客様が離れていく。

  そこには原価から積み上げていくという発想がないから。

「この商品価値はいくらか」

  これが商品価値である。

原価から如何に商品価値を積み上げていき、値入れを高めていけるか。

  要は、商品価値を如何にして高めていけるか。

商品価値が高ければ、原価に左右されずに売価設定でき、結果として高荒利商品として売り切ることができる。

しかし、商品価値が低ければ、これも原価に関係なく低値入れででも売り切ってしまわなければならない。

  時間が経過すればするほど鮮度劣化で更に商品価値が低くなるから。

生鮮部門で商品価値を高めるには、調理技術や陳列技術、更には仕入れ技術も関与してくるだろう。

  非常に幅広い技術を要する。

そこに担当者の腕がものをいうのである。

担当者にも色々なタイプがいる。

  荒利は取れるが売上が上げられない担当者。
  荒利も売上も上げられず在庫過剰の担当者。
  売上も荒利も伸ばして在庫が少ない担当者。

得てして、売上を伸ばして荒利を稼ぐ担当者は、在庫管理が素晴らしい。

要は、商品価値を高めて仕入れた商品をすべて売り切る販売技術に優れているのである。

  これが生鮮部門担当者の理想の姿。

そして、その基本は利益管理表に現れるのである。



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商売」カテゴリの記事

コメント

dondon-kiさん、コメントありがとうざいます。
相当青果部門に入れ込んでいるようですね。非常にいいことだと思います。
私も果実にハマって早10年。
一番エキサイティングな部門だと思っております。

投稿: てっちゃん | 2018年5月26日 (土) 23時11分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
本部のパソコンが全てをやってくれる今の時代では、不正もままならなくなりましたがね。
それだけシステマティックになってしまったようで、どうやっても荒利コントロールという内部調整は不可のようですね。
よって、現在の生鮮担当者が荒利ミックスを自らダイナミックに荒利コントロールするのは至難の技だろうと思うのです。

投稿: てっちゃん | 2018年5月26日 (土) 23時02分

かおるさん、コメントありがとうございます。
手書きの利益管理表をコツコツ書いていた時代の方が荒利がブレない。
それは、その手作業のおかげで荒利ミックスが体に染み込んでしまったからでは無いでしょうか(笑)。
一度体に染み込むと、二度と忘れないものだと思いますよ。
それだけ、何度も何度も手作業を繰り返してきたのだと思います。
最終段階では、販売計画無しでも粗利がブレなくなりましたね。

投稿: てっちゃん | 2018年5月26日 (土) 22時55分

k.kさん、コメントありがとうございます。
最近鮮魚ネタが多くなってしまいましたね。k.kさんにとっては嬉しい話題でしょうか(笑)。
かっての鮮魚や青果は本部の指示売価というものがなかったから、お店で自分で売価設定をしなければならなかった。それもあって自ら価格を決めるのが当然であり、その経験から商品価値という視点での評価基準を養うことができたのだろうと思います。最近は本部指示売価に首が回らずに店舗での売価決定権が無いために、現場が値入れや荒利を考えなくなってしまったのが、最大の要因かもしれませんね。

投稿: てっちゃん | 2018年5月26日 (土) 22時51分

私は生鮮担当者は買ってきた商品がその品質に対しいくらに設定すれば高回転で売り逃げできるか?つまり商品の良し悪しを見極める目を養う事も大切だと思います この商品は鮮度も味もいいから少し高めでも大切に売ろう しかしこの商品は鮮度が良くないから特売で飛ばしてしまおうなど目利きと競合売価との駆け引きと粗利ミックスができるか?なのだと思います
そして閉店時には冷蔵庫の中は空っぽが理想的です
残念ながら弊社は生鮮と言えど本部投入の嵐 どうしてこの時期に霜降りヒラタケが8ケースもあるのか?(怒)
また人員不足、働き方改革も相まって翌日の商品を前日に買込む担当者 特売日の翌日は人員不足なので前日の夕方に積み込む
なので冷蔵庫は空にならない(怒)
仕事の仕組み段取り工程を変えなきゃダメなのに(涙)
指導の日々は続きます(涙)

投稿: dondon-ki | 2018年5月26日 (土) 22時15分

私の現役時代はパソコンが普及前で日々の伝票原価合計と売上げから利益を手計算して手書き帳票で集計しておりましたがこの作業過程でいかに儲けるかを試行錯誤してましたね。この繰り返しが商売感を養ったと感じています。
予算以上の利益が出た場合如何に隠して次月度の商売を楽にするかとか悪い知識も身につきましたが(笑)。

投稿: dadama | 2018年5月26日 (土) 18時47分

かおるです。
 私は、売場経験は青果(ちょっとだけ鮮魚)の経験しかなくもっぱら原価管理でした。
ひところ青果の加工品を売価管理にしていた時期があって売価管理の理屈がなかなか腹に落ちない私のような人間は大変混乱しました。
幸い同様な輩は私だけではなかったようで程なく原価管理に戻され今に至っています。
青果担当だった頃は、集計用紙にボールペンで線を引いた用紙を自作し、日々の売上と仕入を記入し、差益から荒利高と率を推定するという利益管理ともよべない粗末な代物でコントロールしていましたが、不思議とあまりブレなかったような気がします。
今は色々な指標やツールで管理していかないといけないので大変でしょうね。

投稿: かおる | 2018年5月26日 (土) 18時11分

連チャンコメントお許しください。鮮魚部門はまさにそれです。100円原価の鯵をいかに商品価値を高めて売りぬくか。刺身にして298円もらい、バラは150円、残りそうなら夕市特価で120円で。値引き含めて考えて1尾180円程度にあがれば大成功ですね。相場と送り込みとにらめっこして適正な価格をつけて売りぬく毎日です。ベテランだからそういう考え方が出来ますが、これには練習が必要ですよね、若手に教えてもイマイチ納得してもらえません。本部主導の参考売価ばかり気にして価値があってもなくてもその売価しかつけようとしません。時化で相場高の時は原価トントンでつけて相場安になって売り切れる数量なら値入たっぷり入れる等のテクニックが解らないというか考えるのが面倒なようです。一番楽しい部分だと思うのですが。それには他企業の売り場。スーパー、専門店、個人商店、市場場外など見て勉強していかないとピンとこないと思います。指示待ち族といえばそれまでですが、じっくり教えるしかないでしょうね。

投稿: k,k | 2018年5月26日 (土) 16時27分

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