背中で教える?
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
部下の教育。
現代はマニュアルに沿って手取り足取りの時代。
だから、現代の20代世代は「教えられて当たり前」という感覚が染み付いているのだろう。
“先輩が教えてくれない”
“チーフがなんか冷たい”
“俺の背中から学ぶんだ”
そんなクレームが人事に上がる時代である。
上司や先輩から手取り足取り教えてもらうのが当たり前。
今までの生活から、そんな感覚が体や脳に染み付いているのであろう。
それは否定しない。
それが現代の若者の感度なのであるから。
上記のクレームで“俺の背中から学べ”というものがある。
背中で教える。
手取り足取りではなく上司の行動を見続けろという教育法。
これが一番効率的な教育法だと私は思っている。
先輩社員の行動を見続けること。
それが、最短距離で仕事を学ぶ方法だと私はいまでもそう思う。
しかし、私がこの業界に入社した当時はどのような世界だったか。
背中でも教えてくれない時代。
先輩社員やチーフの背中から、包丁さばきを見ようのもなら、職人のチーフはその視線を感じてか包丁さばきを見せまいと背中でそれを遮ってしまうのである。
それでも忍耐強くその背中を追うと、怒鳴られた。
「この野郎!、見てんじゃねぇー!」
背中で教えるどころか、背中で隠されてしまう時代。
そんな環境の中でも仕事を盗まねばならなかった。
だから、その瞬間を見逃さずに目に焼き付けるという技はいまでも健在かもしれない(笑)。
そんな経験から生まれたのが、マニュアルである。
それはそのような時代を経て、次世代へこの技術を容易に伝え伝承していくには、作業マニュアルを自らの世代で作成していくしかないと感じ、上司から言われて作成した時代。
現存するマニュアルは概ね当時に作られたものが多いだろう。
誰だけ、背中でも教えてもらえない時代を経験した世代が、このままではこの業界の未来はないと案じて、なんとか見よう見まねでマニュアルを作成し、次の世代への教科書として姿かたちを残そうという気風が生まれて行ったのであろう。
我々が言う「背中で教える」と言う言葉の意味。
それは、背中でも教えてもらえなかった世代としては、本当に譲歩した言い回しで、これ以上ない親切心で部下達を育てようと言う意図の現れなのである。
それが今や職人の言い回しとして伝えられているのである。
時代は本当に進化しているのだろうか。
本当の部下教育とはなんぞや?。
そこまで先回りをして、手取り足取りの教育が本当に彼らのことを考えての教育法なのかと、自らに問うのである。
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コメント
dondon-kiさん、コメントありがとうございます。
お客様のお店を選択する視点も若干変化してきているとは思います。
ただし個店としての強さの発揮なのか、地域でドミナンスを組む企業としての強みなのかではまた別の視点を持つ必要がありましょうか。ドミナンスを組んで強みを発揮しようとしたら必然的にマニュあるに沿ったチェーンオペレーションが徹底され、基本レベルが同様に高い企業が安心感の高さとして評価され、日々の安定したお客様の確保には有利に働くでしょうが、それでもいずれ限界が来るもの。基本の土台をベースに常に変化するお客様の暮らしに先手を打った対応力が競争の時代には不可欠なのだと思います。そこの情報交換がFacebookでは頻繁に行われているようですね。
投稿: てっちゃん | 2018年5月12日 (土) 06時01分
基本的な作業や技術、日々のルーチンは確かにマニュアルがある方がメンバーの早期育成には大いに役に立つと思います 問題はそこからのアレンジであったり変化であり自ら考え動く 考動ができるメンバーになれるか?だと思います
教えられた事をとりあえずやっていれば 可もなく不可もなく日々は過ごす事はできますが 師匠の言うとおりお客様に伝わる事もなく他社への差別化や尖もできず下がる一方でしょう
今の時代 メンバーにいかにそこから発展させる事が楽しく面白く仕事がワクワクドキドキするように導けるか?時に褒め、時には叱咤激励しヤル気を起こさせらるか?
上司たる部門長、課長、副店長、店長の 教える と言うスキルレベルも上げていかなくてはいけないと思います
投稿: dondon-ki | 2018年5月11日 (金) 23時29分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
もともとこの企業は鮮魚、精肉はPC供給を受けていた企業。ある時競争力をつける目的でPC供給を廃止してインストア化に踏み切った時から、自らの製造販売の技術を磨いて競合他社との差別化を図る決心をしたのだと思います。
だから、今更人材不足を理由にセンター供給に戻す気はさらさら無いのでしょう。おそらく経営陣が銀行系に変わらない限りは、商売の王道を歩む覚悟があるのだろうと思います。
投稿: てっちゃん | 2018年5月11日 (金) 22時16分
昨日の続きですが・・・ある企業は今の時代だからこそインストアに拘る。他社がPCだのマニュアルだのと標準化に向かうからこそ差別化のチャンスと捉える。
マニュアルは一定水準にはなれどそれ以上の尖りは出せない。地域の一番店として尖る為には上司や先輩の背中を見て育つべきですし部下に見られるからこそ上司や先輩は常にスキルを上げねばならず自ずから店舗力も上がっていくのではないでしょうか。
投稿: dadama | 2018年5月11日 (金) 22時02分
k.kさん、コメントありがとうございます。
この業界に入った人には、是非店長という職位で仕事をしてもらいたいと私は願っています。
それは、人生の集大成としての職位だからと思うからです。
その人の人としての生き方が店長という職位では店長の存在感として個性が際立つと思っています。
是非挑戦してその個性を発揮して欲しいと思います。
頑張ってください。
投稿: てっちゃん | 2018年5月11日 (金) 07時29分
思わず頷いてしまいます。
よく現場をご存じですね、そうなんです、まったくもってその通りです。
会社によって違うと思いますが当社は入社してから魚の学校に何か月か入ります。
私のスーパー入社時は半年間はハンドラップでの包装、品出し、二次加工、つま仕込み(今やってるところはないでしょう)しかやらせてもらえませんでした。
だから先輩を凝視して体で覚えてイメトレ。
いつかやらせてもらえる日に何となくでも出来るようにしてました。
今の子は恵まれてますが、考える力、想像力がついてない。恵まれ過ぎて魚を大事にもしません。
又、我々のような会社のマニュアルは出来るが違うやり方の方が早く綺麗にできるから普段はやらない。(技術試験のときしか使いません)
これに戸惑ってます、応用もききません。
人事に中途社員に新人預けない方がいいですよと遠回しに意見はしてますが最近は入れてきます。
そんなだからパワハラ予備軍で何度も警告されています(笑)
昔に比べたら何の問題もない優しい先輩?なのですが駄目らしいです。
段階の世代が続々と退職、また職位を落として65歳まで続行。
私にも副店長候補の研修があり先日何度か行ってきました。
そんな道はないと思ってましたが人材不足の折、そんなことも言ってられないのでしょう
いざという時のために副店長の行動を凝視する日がきました。
っとはいっても候補はだいぶいたので、どうなるかわかりませんが、辞令が下りてしまったときにポンコツ呼ばわりされないように背中を追っかけてみます(笑)
投稿: k,k | 2018年5月11日 (金) 05時19分