アニサキスの季節
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
いよいよ初夏本番。
今週末には30度近くまで気温が上がるという。
夏の味覚が本格的に需要を高めてくるだろう。
いよいよ、生カツオの季節到来。
そう言いたいところであるが、そう簡単にはいかないようだ。
昨年のアニサキス騒動は昨年の5月のこと。
そう、アニサキスの季節でもあるのだ。
本来であれば、生カツオをスペース拡大し、野菜の薬味とともに初夏の味覚として展開される時期である。
しかし昨年のアニサキス騒動で日本の食文化は大きく変化した。
特に東日本の初夏の風物詩である生カツオを食する日本の食文化は、昨年の5月のアニサキス騒動で大きく変わったと言わざるをえないだろう。
既に生カツオを生食で提供しないことを決めた企業もあるという。
要は刺身用柵売りやお造りでの品揃えをしない企業が出現してきたということだ。
“それはやりすぎだろう”
そう思われる方もいれば、
当然そういう流れになるだろう
と思った方もいるだろう。
「日本の初夏、生カツオの初夏」
生かつおが近海で漁獲される東日本の夏には欠かせないのが、生かつおの刺身であろう。
九州四国では「カツオのたたき」が主流。
しかしそれはまだ回遊されていない段階で、身に脂の乗りも悪く、かつおの臭みを取るためにも炙ってたたきにして食した方がより美味しいとの判断からであろう。
近海で獲れる生かつおは十分に脂の乗りも良く、生で食べるのが一番美味しい地域では、やはりそのまま生食で薬味を添えて食べる食べ方がメインであろうか。
その毎年恒例の初夏の風物詩が消えたのが昨年の5月。
その影響もあり、鮮魚部門の売上、特に刺身の売上が激減したのが5月の出来事。
よって、私は今年の5月からの鮮魚部門の売上は多少なりとも復活してくると思っている。
それは何事もなければの話。
しかし、世の中には揉め事を起こしたがる人間もいるもの。
だからあえてこのブログではそのことに触れるのである。
昨年のアニサキスの騒動を再び思い起こさせたくてこの話題を提供するのではない。
古来から伝わる日本の初夏の風物詩を捨てたくないのだ。
だから敢えて言わせて頂くと、アニサキスなんて昔から鮮度の良い魚にほど寄生していたのだ。
何も今に始まった事ではない。
しかし2012年にアニサキスが食中毒の病因物質の種別として,食中毒事件票に新たに追加されたことにより、アニサキスに対する世間の目は厳しさを増した。
そして、昨年5月の報道以来、お客様が生かつお以外の生食も極端に控える傾向になったのである。
当然、小売側もかつおやぶり、秋刀魚と言った旬の魚の刺身提案に神経を尖らせ、極端な企業では刺身提案までも控えるところも出てくるようになる。
いろいろな要因で魚離れが進行している現在の日本にとっても、昨年5月の報道は致命的とも思えるほどのダメージであった。
あれから一年。
既に初鰹から刺身提案を控えている企業もあると聞く。
「目には青葉、山ほととぎす、初鰹」
こんな歌もいつしか忘れ去られていくのだろうか。
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コメント
dondon-kiさん、コメントありがとうございます。
やはり、あたってみないとわからない苦しさがあるのでしょうね。
リアル店舗が強みとする生の流通を守る意味でも生での刺身提案を殺すわけにはいきませんからね。
投稿: てっちゃん | 2018年4月19日 (木) 07時35分
実は…私は生鮭の寿司でやられたことがあります(汗)
アニサキスではありませんが 回虫でやられました。
名古屋にある市大病院が全国的にも有名らしく紹介状まで出されて検体として私が出されました(笑)
※ちなみに教授は検体が取れてえらく喜んでましたが(怒)
奴らは皮と身の間にいる事が多く 炙れば大丈夫と教授に言われそれ以来 やはり生サーモンは敬遠し炙りサーモンを食べてます(涙)
安心安全な食生活を提供しなければいけない我々ですがリスク管理も限界があり 生食文化のあるこの国で最大限の努力をして行くしかないのではないか?そして過度な報道は控えて欲しいと願うのであります
投稿: dondon-ki | 2018年4月18日 (水) 22時55分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
スーパーマーケットという存在がない時代はおそらくカツオも捌かれない丸の状態で各家庭で刺身調理をしていた時代が長かったのでしょうね。そこで捌き方から食べ方、そして虫の存在も把握してきたのが、親子のコミュニケーションで伝承されてきた。
逆に言うと、それをスーパー側がより食べやすい皮引きやスライスで提供し始めてから家庭の商品知識なくとも食される時代となり圧倒的な物量の商品の時代となってきたのは事実。
だからk.kさんの言うとおり田舎では特別に問題視されないのだと思います。
当社もブラックライトを使用して除去していますが、それもライトを当てた段階で死滅するものではなく、あくまでも目視で発見すると言うもの。最後は人の目が発見するか否かの人間力ですから、量を捌く地域では半端ない労力となっていますね。
投稿: てっちゃん | 2018年4月18日 (水) 09時57分
アニサキスを含め昔は食べる方もある程度の自己責任とか不運(失礼な言い方ですが)も承知で生物を食べていた。私の小学生の頃は定期的に寄生虫検査をして相当数が虫下しを飲んでいましたよ(笑)。それが当たり前で騒がれもしなかったし健康の影響も認識していませんでした。確かに多く食べる地域の方のがリスクも高いですから寄生虫に対して目視や危ない部位の除去も無意識のうちに行っているのでしょうね。流通の向上により鮮度の良い商品が津々浦々で食せるようになった事は喜ばしい事ですが、生物だけにこのようなおまけ?まで鮮度が保たれるのは悩ましい事ですね。ちなみに当社は全店にブラックライトの検出器を導入してリスク回避を図っております。
投稿: dadama | 2018年4月18日 (水) 09時38分
k.kさん、コメントありがとうございます。
お気持ちはお察し致します。
今年は多少昨年の騒動から時間が経ってますからと期待しているのですが、そちらでは逆に今から自粛ムードですか。
地域的にある程度の対応の格差を持ってもいいと思うのですがね。
しかし、カツオの代替えの売り上げは無理でしょう。
投稿: てっちゃん | 2018年4月18日 (水) 09時08分
名前忘れました(笑)
投稿: k,k | 2018年4月18日 (水) 08時37分
約30年前にスーパー、専門店を含めた小売り業界に入社してずっとカツオと戯れてますがこんなに問題視されるのは初めてです。
騒ぎになってるのは当社でも都会な地区。扱い量は微々たるものです。田舎で販売金額が大きい地区はこのような事がありません。会社に捌き方マニュアルはありますが、それでやっては間に合わないので売れる地区は独自の方法で卸してます。でもアニサキスが発見され問題になるのは都会的な地区。あまり売っていない地区です。売れる地区の、田舎の人間は免疫があるのか、また独自の卸し方などで除去出来てるからか解りませんが特に問題になりません。不思議です。私も生で食べるのは大好きですが当たったことは一度もありません。皮つき銀皮造りをニンニク、生姜醤油で食べるのが最高です。!当たった方はひどい腹痛を起こすので痛々しくつらいと思います。一度その目にあってみないと辛さはわからないでしょ!って言われそうですが、そのリスクも理解しても食べたいお客様もいらっしゃいます。でも出せない、売れない、現場では魚はあるのに出せない、売れないの押し問答してます。扱い量も1/5になってます。 その金額を何で埋めるか。今、直面してる最重要課題です。
投稿: | 2018年4月18日 (水) 07時24分