« 提携の落とし穴 | トップページ | 鮮魚部門の回復 »

2017年12月 1日 (金)

商売と仕組み

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


今日から12月。

  一年の総決算の月。

年間でどんなに好業績であろうとも、12月の業績と31日の業績に勝るものはない。

  それほど我々に取っての12月は特別な月。

そして、今日は商売と仕組みについて。

  我々小売業の原風景が商売という言葉の中にある。

個店で固定客に対して、対面販売により商品知識のやり取りを通して、お店とお客様との信頼関係が生まれ、そこにお互いの商売の楽しさと買い物の楽しさが生まれて商売が繁盛していく。

そこから姉妹店が誕生し、その部下や子息による多店舗展開が始まっていく。

  チェーンストア化が始まる。

個店の個人のお客様との接客商売から、チェーンオペレーションとしての万人向けのマニュアル化と画一化。

  しかし商売という側面に魅力を感じる従業員も多い。

チェーンストア化を図れば図るほど、商売を愛する従業員が離れていく。

  コトPOPを通して商売の楽しさを得る。

しかしそうやって作った過去の業績に左右される企業業績から、企業が画一化させたマニュアルや仕組みを通して作られた企業業績の方がはるかにコントロールしやすいチェーンストアの本質に移行しようとする企業。

  この二つの相反する要素は両立できるのか。

いくらチェーンストアとは言え、店長や部門責任者によって業績が大きく変化するのは周知の通り。

  なぜか?。

そこに商売の醍醐味があり、そこに客商売というお客様心理からの販売技術の有無が業績を大きく左右させる何かがあるのだろう。

Facebookのてっちゃん会でもチェーンストア化に向かう企業との軋轢を感じているメンバーも多い。

元来、この会は各企業のアウトロー的存在のメンバーが自社内では仕事の達成感に満足がいかずにそこから飛び出して参加したメンバーがほとんどであるから、尚更チェーンストア化によるマニュアル化に反発を覚える方達が多いのかもしれない。

しかし、それでもどんどんチェーンストア化に向かう企業が増えているように思える。

  一つは人材難。

従来のオペレーションが完結できない現場の現状。

  少ない人員でも売場を維持するオペレーションの構築が必須項目。

それを構築しない限りは、企業として新規出店も出来ないし、現状の既存店も立ち行かなくなっていく。

  現にそれが現実に起こり始めている。

そこに着手しない限りは、自然淘汰されていく企業が急増していくだろう。
しかしそれとは逆に、従来の現場での商売に重点を置いていた時代からの仕事の楽しさを知っている従業員からすると、自分の創意工夫の領域をどんどん奪われていく感覚が増しているのも事実。

  誰でもできるレベルにシフトダウンされた販売手法。

そして、それ以上を求められない寂しさも手伝って、仕事の楽しさや商売の楽しさを失っていく従業員。

  それらの声も最近は急増しているように思える。

私も、商売の楽しさは販売であり、それはオペレーションの構築とはまた別に「いくつ売るという計画から、いくつ売れたという実績につながる達成感」だと思っている。

企業としてのチェーンオペレーションの構築と現場の店舗での商売としての販売技術のレベルアップと現場で働く従業員の達成感というモチベーションの両立の鍵を握るのも店長というリーダーの存在であろう。

  楽しくなくちゃ「スーパーじゃない」。

この命題をどう現場で実現させていくか。
リーダーの使命はどんどん高くなるばかりである。




|

« 提携の落とし穴 | トップページ | 鮮魚部門の回復 »

商売」カテゴリの記事

コメント

dondon-kiさん、コメントありがとうございます。
仕事に楽しさを追求したら、必ず自店の動向を察して商売をするようになって行く。
そこに、生産性も何もなく、結果的にもー列なスピードで仕事をこなしてしまうモチベーションという副産物を生むことになってしまう。しかしその副産物の自店の特性を踏まえた商売が最終的には売り上げを拡大させ従業員が仕事へのリピートを繰り返しながら店舗という得体の知れない物体自体に息を吹き込もうと集まってくるもの。それがいつしかお店自体を明るくさせ、また来てみたいとい思うお客様の来店にて売上が拡大して行くことになろうと思います。

投稿: てっちゃん | 2017年12月 1日 (金) 23時49分

スーパーの店員さん、コメントありがとうございます。
勇気を出しての初めての投稿。
本当に勇気がいるものですよね。
でも、自分で一歩を踏み出した結果、そこから色々な出会いが生まれ、今までにない人生が開かれて行くのではないでしょうか。それが人生だと思います。
教育と生産性の追求。
相反する二つの側面をどう理解して同時に開発して行くか。
ちなみに私は生産性をあまり重要視はしていないのです。
なぜなら生産性は従業員の成長次第でいかようにも改善できるもの。よって、部下育成と生産性の改善とは同じレールに乗って改善していける要素なのだと思います。
是非、そんなスタンスで店長業に取り組んでほしいと思います。
今後とも、よろしくお願いいたします。 

投稿: てっちゃん | 2017年12月 1日 (金) 23時36分

dadamaさん、コメントありがとうございます。
部下や従業員を輝かせるのも店長の仕事。
それもお店を一つの生命体と認識しなければ生まれない発想ですね。
どうしても店長自らが輝こうとする姿勢は、自分が太陽となってしまうから部下が照らされない関係になってしまうもの。影から自分が部下を照らすという発想の転換が必要なのではないでしょうか。

投稿: てっちゃん | 2017年12月 1日 (金) 23時26分

ただのバイトさん、コメントありがとうございます。
私は今の会社で、「お店自体が一つの商品」と教わりました。
だから、店舗を単なる建物ではなく精神の宿った一個の生き物だと思っています。だからいかようにも変化していくし高ぶる時もあれば沈む時もある。それをコントロールするのが店長というリーダー。お店という実態の無い物体に生命を宿すのも店長の仕事。そこに店長が背負うものの大きさを楽しんでおります。

投稿: てっちゃん | 2017年12月 1日 (金) 23時21分

個店主義は全体最適があっての個店主義だと思います 要はバランスの問題ですよね 企業にしてみれば個店主義に走りすぎて店長力により売上や利益の格差があまりに生じれば業績が予測しづらいし 逆に全体最適のガチガチのチェーンストア理論だと店舗に魅力がなくなり価格だけになりお客様は離れてしまう ただ世の中のお客様の流れとして同一価値の物には徹底的に安さを追求し 価値のあるものには多少高くても購買する お客様の個性が強い時代になってますので やはり個店主義の強いお店が指示されてる気がしてます 師匠の言うとおりマスのメリットを活かしての商売と個のメリットを活かした商売 このバランスをどこでとるか?でお客様からの最大限の指示を得られるか?が変わると思います 競合環境にも左右されるバランス
それを日々悩みながら最大限のポイントを模索しています

投稿: dondon-ki | 2017年12月 1日 (金) 22時29分

はじめまして
スーパーの店員です。いつも楽しく拝見させていただいていましたが、勇気を出して書かさせていただきました。
てっちゃんさんのブログは本当に勉強になります。恐らくですが、店長の楽しみ?と言うのは二通りあると思います。1つは会社の方針。。。ここは抑えていかないといけないところ。
2つ目は部下育成。。。ここは何処のスーパーも同じ??っぽい悩みだと思います。ただし、スーパーの中でも生産性の高い低いで悩みも違うと思います。生産性を上げようと思うと、色んなことをカットしてしまったり、単純作業に走ったり。。。。しかしながら
、指導と言う名の投資をガンガンやりたい毎日です。。。。そうすると、何処か別の所で生産性を上げないと行けないなぁ〜〜と毎日悩んでます。。全ては店長次第ですね。😁

投稿: スーパーの店員 | 2017年12月 1日 (金) 20時56分

ただのバイトさんのコメントを読んでなるほどと納得してしまいました。●●店は建物・人・商品・・・の集合体、鮮度も商品だけでは語れない。その通りですね。
私は個人商店からチェーンストアに変遷する過程で変えてよい物いけない物があるのではないかと思うのです。チェーンストアによるマスメリットや合理性は企業にもお客様にも利益をもたらしますが商圏特性は個店ごとに異なり、ストアコンセプトに基づく店舗運営は個人商店の色合いを残しても良いと思うのです。規模は拡大すれども商売の原点は個店にあり。個店力=プライドが従業員・商品を輝かせていくのであり店長は従業員が如何に輝いて働けるよう動かねばなりませんね。

投稿: dadama | 2017年12月 1日 (金) 18時39分

例えば〇〇スーパーの✖✖店で不祥事が起こったとします。
それに対して
「あぁ、あの店ならやりかねないよねぇ~」
と言われるか、
「えっ、あの店でもこんなことあるんだ!」
と言われるか。
その違いはどこから来るのでしょうか?

ところでこの"〇〇スーパーの✖✖店"ですが、実はどこにもそんなものは存在していないのです。
存在しているのは✖✖店自体ではなく、✖✖店「の建物」であり、✖✖店「の従業員」であり、✖✖店「の商品」であり、✖✖店「の備品」であり、そうしたものを一つずつ取り除いていくと、じゃあみんなが漠然といい店だとか悪い店だとかイメージを抱いているこの「✖✖店」というのは実はどこにも存在していないのです。
確かに存在しているのはそこで働く人であり、置いてある物であり。人と言っても今日出勤しているメンバーと、昨日のメンバー、明日のメンバーは違う。昨日そこにあった商品が今日はない。そうすると✖✖店って、ますます定義できなくて何なの?となります。
(ちなみにこうした、よく考えてみると実体のないものに名前を与えて存在しているかのように扱うことを、哲学用語では「疎外」と言います。)

ふと、昔言われた言葉が浮かんできます。

「鮮度のある売り場とは、ただ新鮮な野菜や果物、活きのいい魚が置いてあればそれでいいと思ってる?
鮮度とは商品だけではなく、ビシッと決めたポップも、清潔で整理整頓された什器も、そして君の声や表情も含めて鮮度だからね。
君の顔や言葉が何か新鮮なものを売ってそうだな、ってお客さんに思わせるの」

ちょっと脱線してしましました。
しかし、ある程度の「型」は必要ですね。微分積分の問題を解くのに九九を知りません、ではお話になりません。九九を覚えるというのは、理屈も何もなく、ただとにかく口ずさんで頭に入れていくだけ。しかしそれなしでは先に進めない。いきなり自由にどうぞと言われても途方に暮れてしまうだけです。

剣道には守・破・離という言葉あるそうです。
僕らの作業に当て嵌めれば、まず言われたことを「守る」段階、レイアウト通りに品出しする。
次に言われたことを「破る」段階、その日の在庫によってレイアウトを少し崩して自分なりに工夫して品出ししてみる。
最後は言われたことから「離れる」段階。今度は自分で最初からレイアウトを考えてみる。

毎度色々脱線して長文になりまして、失礼しました。毎日たくさんの考える「きっかけ」を与えてくださり本当に感謝します。

投稿: ただのバイト | 2017年12月 1日 (金) 01時03分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: 商売と仕組み:

« 提携の落とし穴 | トップページ | 鮮魚部門の回復 »