鮮魚のパラダイム
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
鮮魚部門。
各社とも瀕死の状態ではないだろうか。
この業界は、なんだかんだと言いながら、小刻みに色々な改革を進めながらも売場を維持して勢力を拡大して来た。
特に、基本をどこまでも大切にしながら。
それは生鮮3部門からグロサリーや惣菜、ベーカリーに至るまでいわゆる「基本」と言われる「鮮度」「品揃」「接客」「清掃」の4Sを企業や個店ごとに充実させて来た結果の勢力拡大であり売上拡大であった。
競合状況の過密化により一時は売上も低迷する。
しかし、競合という環境の変化がなければある一定の伸び率に守られて売上が拡大して来た経緯がある。
一部を除けば。
その一部とは、鮮魚部門である。
この部門だけは、もはや世の中の変化(進化)によって、家庭で魚を調理しない、食べない環境になってしまっているのである。
そこに相場高が後押しをしている状況。
だから、相場高という環境を差し引いても、鮮魚部門の低迷は時間の問題であると言える。
家庭環境の変化。
家のLDK(リビングダイニングキッチン)化により、キッチンで魚料理をしたがらない構造になってしまっているという事実。
そんな構造がますます増加している現実。
調理時の匂い、アラ処理の問題から、家庭のキッチンから魚料理が消えてしまった。
魚の出現頻度が低下すると、魚自体の食べ方も知らなくなってしまった。
料理過程の複雑さと骨の多い魚の敬遠。
ますます、家庭から魚料理が敬遠されていく。
そこの唯一伸びていた刺身への需要もアニサキス問題で遠のいてしまった。
鮮魚だけはパラダイムを変えないと無理だ。
最近、とみにそう思うようになった。
そこに、先日の鮮魚研修会である。
徹底して、食べ方を我々が研究しない限り、鮮魚部門に明日は無い。
それに売り方や品揃えも検討する余地はある。
それは人材採用の問題。
人手をかけるのが鮮魚部門の特性であるが、採用難。
従来の生中心のMDから、トータルの売上を考慮して鮮魚を考えるMDに再構築しなければならない。
逆にいうと、デイリーに移管するカテゴリを作るべき。
そんなカテゴリーも作っていかなければ、より効率の良い鮮魚の作業と品揃えと差別化はできないだろう。
かって、練り製品が鮮魚からデイリーに移管したように。
メーカーパック品は、別に鮮魚部門でなくても、デイリー部門でも十分に運営できるだろう。
鮮魚が出すよりグロサリーの仕組みで出した方がより効率的。
そう割り切った中で、鮮魚で扱う商品を思い切り絞り込み、そこを差別化として少ない人員でも突っ込んだ展開を目指すことも必要であろう。
絞った商品群で徹底した差別化を図る。
食べ方の提案、手作りの提案、作りたての提案。
将来的にスーパーに商品が並ばない時代が来るかもしれない(笑)。
アマゾンが配送を主体としたスーパーでは、お客様の特注にだけ応じた鮮魚部門が存在する時代が来るかもしれない。
品揃えする負担がなくなれば、ロスは出ない。
だからますます安く売れる構図が出来、ビジネスモデルが大きく変化する時代が来るだろう。
まぁ〜、それは少し遠い未来としても、鮮魚部門だけは品揃えや提案の仕方を、従来の「鮮度」「品揃」に重点を置いて、基本をしっかり立て直せばなんとかなる部門ではなくなってしまったということである。
そのヒントを模索する時代が当面は続くのでは無いだろうか。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
やはり潜在的な需要は隠されていると思うのですが、従来の発想からの売場作りが指示されていない以上、どう需要を喚起出来るかが知恵の出しどころでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2017年7月12日 (水) 00時34分
少子化・単身世帯の増加を鑑みても生魚の売上げ、特に丸魚のニーズは減っていくのでしょう。しかしながら健康軸や日本人のDNAを考えれば魚は縁は切れないのも事実。個食対応・ハーフデリ・惣菜と形は変われど魚は不滅であるど思います。土用丑の伸びにもヒントはありそうですね。やはりニーズをどのように捉え商品提案出来るのかだと思います。
投稿: dadama | 2017年7月11日 (火) 17時03分