売り抜く
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
我々の仕事は小売業。
売ってナンボの仕事である。
特に生鮮食品は鮮度落ちが早い。
鮮度落ちと売り切りとの駆け引きの連続である。
しかし、最後は売ってナンボ。
売ってナンボとは、お客様に購買されて初めて売上になり利益になる。
最後は利益との駆け引きとなる。
最近は、商売も分業化され、利益発想という意識よりも本部情報に忠実に売価設定をして作業として陳列をするという役割に重点が置かれてきているが、最後は現場の売場で金に変えてナンボの商売となる。
だから単品の利益額の発想が一人一人に意識づけられていた。
例えば、生あじ。
10ケース仕入れたら原価はいくらか。
10ケースをどんな形態でそれぞれの売価をどうするか。
そんな計画をもとに売り場を作る。
その後、売れ方をチェックして最後はどう売り抜けるか。
この時に、一つのチェックポイントがある。
原価の分岐点に到達したかどうか。
要は、仕入れ原価金額分を売上げたかどうか。
原価分を売り上げた後は、売った分が利益になるという発想。
それが荒利率ではなく、荒利額の発想である。
単純明快だ(笑)。
鮮度落ちの早い鮮魚ならではの発想。
だから、原価意識は高かった。
原価まではどう工夫して商品化と売価設定をして、売場を作り陳列するか。
出し切ったら、後は売り切る。
以前は「売り抜く」とも表現していた。
だから、商品が売れることを、「抜けた」とも表現していた。
原価分までは必死に売る為の知恵を出した。
「店長、抜けました!。」
と表現する鮮魚担当者が多いのもその所以であろう。
しかし、原価分まで売上が達したら、後の売上は全て利益となる。
だから、売方もイケイケになる(笑)。
いつの間にか、グロサリー部門や売価管理部門に合わせて、売り切るという表現に変わっていたのだが、売り抜くという意味をもう一度考察しなければならない時代に戻ってきたのではないか。
単品で利益をどう獲得していくか。
その分岐点が原価管理である。
その為に必要な発想が、荒利額の発想。
その荒利額を獲得する為に必要な獲得手段が売り抜くという発想。
売り切るは身銭を切って売り切ること。
売り抜くとは原価分をどう獲得するか。
売り抜くという発想。
もう一度我々が獲得すべき販売技術であろう。
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コメント
かわらいさん、コメントありがとうございます。
先日の夜のミーティングでも出た話題ですね(笑)。
やはり「粗利額」の発想を持つと商売もより積極的に一つの区切りが持てるのではないでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2016年12月24日 (土) 06時51分
この「売り抜く」という事を出来なくなって久しいですね。それが生鮮部門の販売力が下がる原因でしょうか。同時に粗利額ではなく率での考え方。思い切った販売の妨げになってます。売ってなんぼの考えにしたいですね?
投稿: かわらい | 2016年12月23日 (金) 21時31分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
現場の担当者が、バイヤーの仕入れを自分の仕事として置き換えられるかが大きなポイントでしょうか。ということは、バイヤーと現場との信頼関係の裏返しでもありますね。その距離感が問われているのでしょうね。
投稿: てっちゃん | 2016年12月12日 (月) 23時56分
売り切ると売り抜くの違いを明確に答えられる担当者が少なくなってしまいましたね。効率や労働時間の壁で担当者が市場に出向いて買うことが難しくなり本部の投入が増えた。商売は仕入→加工陳列→販売の流れがあるのですが、仕入と販売が分断されてしまう中、作と演の信頼関係、他人が仕入れた商品を売り抜く現場力が利益管理的にも求められますね。
投稿: dadama | 2016年12月12日 (月) 20時59分