ダイニングコンビニ
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日の「カンブリア宮殿」。
福井県の「大津屋」。
地元ではオレボとして愛されるコンビニである。
“初めて聞くなぁ〜”
そう、誰もが初めて聞く名前ではないだろうか。
しかし、映像では福井の方々は皆知っているコンビニらしい。
更に、店内はお弁当やおにぎり、更には店内に張り出した調理場では回鍋肉の実演調理をしながらバラ販売をしていたり、まさにお惣菜屋さんの様相である。
それを経営者は「ダイニングコンビニ」と呼びたいと言う。
店内には少し大きめな食事スペースもあり、30人分ほどのテーブルと椅子はほぼ満席状態。
まさにダイニングキッチン風のコンビニではある。
今回、なぜこの大津屋の小川さんを取り上げたかというと、その徹底した大手コンビニチェーンとの差別化を図ろうとしている戦略と、そのユニークな思想にある。
大量生産できるものしか売場に並ばない大手チェーンの裏側にニーズがあるという発想。
コンビニで一番売れているものはお弁当。
そのお弁当で大量生産出来ない手作りで勝負しようと始めたダイニングコンビニ。
更には、量り売りの均一売価で提供するお弁当。
バラ売りでは売価の違う素材だが、お弁当として100g100円で同一売価で計算して販売する。
エビチリはg300円がお弁当に入れるとg100円。
その単品だけで見れば大赤字だが、それでもお弁当に入れると、分かりやすい100g100円で提供してしまう。
「エビチリだけ買っていくお客様だっているでしょう?。」
そんな質問に経営者の小川さんは言う。
「ビジネスを通して道徳の授業をする気持ちです(笑)。」
それはどういうことかというと、初めはそのようなお客様もいるだろう。
しかし、お客様も人の子、どこかで“悪いなぁ〜”と思いながら会計をする。
そこで我々が嫌な顔をすると、お客様も痛いところを突かれたと思い、二度と来てくれなくなる。だから絶対に嫌な顔をせずに「今度からは」を笑顔で答える。そうすることで、お客様にも倫理的に買って頂こうとする道徳教育のつもりでやろうという思想にこちらが切り替えたということだ。
その繰り返しがリピーターの増加につながった。
福井という田舎の気持ちの素直な方たちを相手にしたから成功したのかもしれないと経営者は言っているが、私は人間の本質を突いていると思った。
特に日本人の特性がそうさせるのだろう。
そして、そんな思想を中心にした経営感覚で商売をされているこの方に興味を覚えた。
大手が大手になっていく過程で失っていく本質。
そこを突くという発想。
そして、人間愛。
そこに立脚した経営方針でコンビニをしっかり地元に根ざした。
そこにはいろいろな商品開発の工夫も見られる。
一本で四つの味が楽しめる「四宝巻」など面白い。
通常の巻寿司は、中の具は一種類。
しかし、どこまで食べても同じ味では面白くない。
そこで大津屋では一本の中に食べる順番に具を変えた。
それが大ヒット(笑)。
七福巻のように、一本に中に同時に数種類の具が入る恵方巻きも多いが、この四宝巻はその部分には一つの具しか無いため味がしっかり伝わる。
そのような商品開発力が次から次へと出てくる。
これが、大津屋の強み。
我々中小スーパーが見習わねばならない商売の基本があるように思えた。
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コメント
かわらいさん、コメントありがとうございます。
本当に目の付け所が素晴らしいと思います。でもこれを地でいくと非常に非効率でもある部分をどう経営に乗せられるかも大きな課題となるでしょうね。
投稿: てっちゃん | 2016年3月20日 (日) 00時20分
見逃しました!当社こそ真似ていかなければいけないやり方のように思います。地域のお客様のニーズにお答えしつつ明確に大手との差別化を図る。すばらしいですね!
投稿: かわらい | 2016年3月19日 (土) 20時23分
dadamaさん、コメントありがとうございます。
時代対応業。
そして、半歩先をどう歩かも重要。
特に、主力品に特化するという発想は中や小になるほど大切にしなければならない軸ですね。
投稿: てっちゃん | 2016年3月16日 (水) 23時59分
スーパーの黎明期はどこでも同じレベルの商品が手に入る事が大きなメリットとなり成長した。今ではそれが当たり前となり個性が求められる時代となった。小売業は時代対応業。時代が何を求めているのかを常に見据えねばなりませんね。
投稿: dadama | 2016年3月16日 (水) 16時32分