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2015年12月 4日 (金)

親の躾(しつけ)

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


先日、こんな電話が入った。

  「子供が万引きしたようです。」

彼が言うには、自分の息子が当店の菓子売場で、妖怪ウォッチのゼリーの商品の封を切って中のメダルを万引きしたという。
そして、これから奥さんと子供で謝罪にお店に行くという。

  事を理解した私は、彼に言った。

「内容は分かりました。私はお子さんにどんな事を話せばいいでしょうか?。」

万引きした息子に対して、親としてのケジメをつける目的で来店されるのだから、お店としても子供さんに何らかの社会的な倫理を話さなくてはいけないだろう。
そして、この親御さんもそれを望んでいるのかどうかを確認した。

  「まだ5歳の子供なので。」

5歳であれば、コトの善悪もまだよく理解できない年であろう。
それでもこの親御さんは、敢えて自分のしたことに対して謝罪させようとしているのだ。

  立派だと思った。

「分かりました。であれば、それ相応にお子さんに対応します。

その後約30分ほどしてから、私はサービスカウンターから呼ばれた。

  “来たな”

行ってみると、親御さんはまだ30歳前後であろうか。若かった。
そして、お子さんも5歳のまだまだ善悪もわからないようなお子さんである。
そして、その子の父親が子供に言った。

  「ほら、○ー君謝りなさい。」 

事前に謝罪の練習をしてきたのであろうか。お父さんもお母さんも必死になって家で練習してきた謝罪の言葉「ごめんなさい」を言わせようと必死だった。
しかし、子供はなかなかその言葉が出せない。

  お店という環境と私を目の前にして真っ白になってしまったのだろう。

無理も無いことだ。
本人は妖怪ウォッチのメダル欲しさに、お店の商品の封を切って中からメダルを取りだしたことに対しての罪の意識は無かったのだろうと思う。

  “自分がやったことは悪いことなのか?”

そんな疑問もあったのだろう。なかなか家で練習してきた「ごめんなさい」が言えないでいた。

  親御さんも必死に言わせようとしていた。

私もジッと待っていたが、このままでは子供も親御さんも可哀想だと思った。

  「ねぇ◯ー君、今度お店に来た時に言ってよ。」

今度買い物に来た時に、そして罪の意識が持てるようになった時に「ごめんなさい」を言ってもらえれば良いと思った。

そして父親は封が切られた妖怪メダルの個数分を支払った。

  「本当に申し訳ありませんでした。」

私は、言った。

  「正直、こちらが感動しました(笑)。」

子供のしたことだから、と知ってもそのままにしているご両親もいるかもしれない。
しかしこの親御さんはしっかりモノの善悪を子供に教えようと行動した。

  そして、子供の前で頭を下げて見せた。

素晴らしい、子供への躾である。
そんなことが他人の面前でできることに、同じ人として共感したのである。

  「店長さんはいつお休みなのですか?。」

父親が私に尋ねた。

  “本当に、次回来た時に謝らせるつもりなんだ”

「基本的には○曜日と○曜日が休みです。」

  「分かりました。その時にまた子供を連れてきます。」
  「今日は本当にすみませんでした。」

自分の子供だったら、ここまで出来るだろうか。

  若いご夫婦から感動を頂いた1日であった。







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コメント

dadamaさん、コメントありがとうございます。
一番大切なのは、一番身近な人間と直に対話をすること。そこから人間としての関わりが持てる様になり、組織の真実が見えてくる。
その大切なものが時代と共に失われていくのは残念ですね。

投稿: てっちゃん | 2015年12月 5日 (土) 21時21分

昔は当たり前だった礼儀や道徳観が失われてしまい新鮮に映ったのでしょうね。先日もあるセミナーで最近の子供の教育は人生に勝つだけの教育しか行われないし親も子供を勝つだけの事しか考えず子供が挫折すると叱ることしか出来ない親が多いと聞きました。親が子供を教育できない・・・その子供が親になっていく。物質が豊かになっていく中で失われる物も多いのでしょうね。

投稿: dadama | 2015年12月 5日 (土) 11時12分

かわらいさん、コメントありがとうございます。
いまどき、本当に立派なご両親だと思います。
お店に居ると、たくさんのお客様から学ぶ部分が多いですね(笑)。

投稿: てっちゃん | 2015年12月 5日 (土) 07時00分

こういった事例を聞くとホッとしますね。子供をほったらかしにする親御さん、たくさんいますからね。

投稿: かわらい | 2015年12月 4日 (金) 23時11分

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