ネーミング
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
ネーミング。
商品の名前。
我々は、その商品一品一品の呼び名(商品名)で、品揃えを決め、発注をし、チラシやPOPを作成する。
商品の姿と名前とJANコードで管理されている。
特に商品名は現物の無い中でもお互いの取引には必須のものとなる。
商品名で我々は色々なイメージを掻き立てられる。
使用場面や味、品質、特徴や違い。
それはお客様も同様であろう。
メーカーと小売とお客様の共通語が商品名となる。
だから、メーカーは品名を大切にする。
中身が多少変わっても品名は変えない。
それが、原則だと思っていた。
商品も成長していくもの。
商品も、人間や店舗や企業と同様に成長しながらお客様の心に染み込み、人と共に歩んでいく。
高齢者が昔から同じ化粧品を使い続ける。
それに表れているのだろう。
毎年、ワインのメーカーから「旬釀」というその年に収穫されたコンコード種を使用した新酒のワインを発売していた。
私はこのワインが大好きで、発売毎に購入し、さらにバイヤーに追加発注して大陳して売り込んだ。
少し甘めの口当たりは女性にも人気で、私が在籍した店舗ではこの時期にお客様もこのワインを待ち望んでいたものだ。
それが、なぜか昨年から名称を「完熟」と改めた。
従来から親しまれてきた名称を、なぜ変更したのか。
それも一年に一度しか登場しない新酒のワイン。
このワインは、これを機に定番に品揃えされることとなった。
旬釀 = その時だけのスポット品。
完熟 = 年間での品揃えの定番品。
そのような思惑なのだろうか。
確かに私は、この旬釀を大量に仕入れて、翌年の同じ時期まで販売した記憶がある(笑)。
そして、新酒の同じ旬釀が発売されると、昨年発売の完熟した旬釀を如何ですか、というpopにて売り込んだ記憶がある。
旬釀というネーミング。
その時に発売されて完了。
ニュアンスとしては、時期が外れると商品価値も下がるというイメージは付きまとう。
その辺の取引先の対応から、名称を変更して定番扱いに運ぼうとする意図なのであろうか。
しかし私の販売意欲も減退してしまった。
まずは名称変更により、従来のお客様に説明しづらくなった。
更に、この時期だけの限定商品という価値訴求もしづらくなった。
販売側が「この時期に集中して売り込む」という意欲が薄れる。
今年も2015年の完熟が送り込まれた。
毎年、同じ美味しさではある。
色々な思いをグラスに乗せて飲み干した。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
定番化の意図が高かったのでしょうね。
しかし、実際には定番化して売れる数量よりも、その旬の時に徹底して販売した方が販売数量が増加していたという現状だったということでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2015年10月22日 (木) 17時39分
アルプスワインの人気商品ですから定番化したかったのが本音でしょうか。メーカーのホームページを見てもそのいきさつまでは書いてありませんが、ジュースには「旬摘」のネーミングが残っているので原料供給の問題がひそんでいるのかも。
投稿: dadama | 2015年10月21日 (水) 22時24分
かわらいさん、コメントありがとうございます。
やはり販売数落ちましたか。
年間定番になったものの、その時期に売り込んで初めて数量が増大するといういい事例ですね。
投稿: てっちゃん | 2015年10月21日 (水) 17時04分
私もてっちゃんに感化され2年前から販売を始めました。ネーミングのせいなのか昨年は販売数を落としました。リニューアルはどんなロングセラー商品でも常ですが、品名変更はその中でも一番リスクが高いですね。別の商品になってしまうようで。
投稿: かわらい | 2015年10月21日 (水) 10時23分