安くすれば売れるのか?
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
私は、結構値段を安くして売る傾向が強い。
これに対して良く言われる言葉がある。
「安くすれば、誰だった売れるよ」。
果たして、本当にそうなのか?。
結論から言えば、安くしたって売れない人間には、売れない。
もっと具体的に言えば、
安くして売れる担当者もいれば、
安くしても売れない担当者もいる。
もっと言うと、
高くても売れる担当者もいれば、
高くなれば売れない担当者もいる。
この差は何か?。
売れる仕組みを熟知しているかどうかだろう。
特に、安くすれば、売れるハズだと思い込んでいる人間に言いたい事は、
“だったら、安くしてでも売ってみろ!”
という事だ(笑)。
安ければ売れるという方程式を振りかざそうとするのであれば、安くしてどれだけ売れるのか実証してほしいものだ。
そう言う人間ほど、安くしても売れない。
安さの訴求。
このことが絶対条件だからだ。
安いという事実とその安さの価値を、どれだけお客様に伝えられるかどうか。
この事が出来ない限りは、安くしても絶対に売れない。
安さを伝えなければ売れない。
安い。
この表現は、相対価値だからだ。
何を以て、安いのか。
それをお客様に伝えなければ、お客様の購買意欲は湧かない。
商品の価値に対しての価格の優位性。
これをお客様が感じてくれれば売れるし、感じなければ、いくら安くたって売れはしない。
この事実を知るか、知らないか。
ここが大きな分岐点である。
更にもっと大事な売れる要因が存在する。
売るタイミングだ。
タイミングが悪ければ、いくら安くしたって売れないものは売れない。
例えば、秋刀魚。
8月前半にまだまだ高値。
1尾500円ぐらいから出始める。
お盆前後でようやく300円台。
お盆過ぎで200円台だろうか。
それが8月後半の大型船の出航、水揚げで一気に値が下がってくる。
9月に入り、一気に100円台の突入し、販売数量も倍増してくる。
そして、今年は9月8日が十五夜。
北関東では、十五夜に秋刀魚の塩焼きをお供えして食する風習がある。
秋刀魚の需要が高まるタイミング。
秋刀魚の相場が下がるタイミングと秋刀魚の需要が高まるタイミングの軌道が重なるタイミング。
これが重なった時が一年で一番のタイミング。
そのタイミングで、どこよりもお買い得な価格を打ち出す。
そのタイミングを逸した次の瞬間には、いくら安くしても売れないという事だ。
売れるタイミングに売れる人間が売り込む。
そこに価格が加わるから爆発的に売れるのだ。
何れにしても、安くするタイミングと安さの訴求。
いずれも、それは販売する人間の行為のみ。
「安くすれば売れる」
しかし、安くしても、売れない人間には売れない。
悔しかったら、まずは貪欲に売ってみてほしいものだ。
そして、その経験から、安さを演出する売場作りと安さを押し出すタイミングを摑み取っていくものだ。
経験もしないで安くすれば売れると思い込む。
それが出来て初めて、価値訴求が出来るのではないだろうか。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
今日の皆さんのコメントは、妙に熱が入っているのでかなり長め。
私のコメント返しも熱っぽく長くなっていますのがご了承ください(笑)。
生産者がいて、そこから買い付けする市場担当者がいて、その担当者から更に買い付けするバイヤーがいて、そのバイヤーが企画した商品を店舗で発注して、仕入れた商品を担当者が売価設定して陳列して、お客様が購入する。
その全ての流れを把握したなかで、お客様に一番近い我々が、今何を選択して単品集中して売り込むのか。
絞れる技術も必要かと思います。
何れにしても、全て人が関わる事であり、最後も人が決める事。
全ては人に掛っているという事実を知るという事が、まずは大切なのではないでしょうか。
投稿: てっちゃん | 2014年9月11日 (木) 21時56分
かわらいさん、コメントありがとうございます。
商品の良さを伝える技術。
それが、言葉だけではなく、陳列、商品化、媒体、演出、そしてコトpop。
いろいろな伝え方があるが、それを凝縮して「価格」と「タイミング」で括ってみました。そして、若手ほどこの売り込むという神髄に触れなければならないし追求しなければならない基本だと思うのです。
投稿: てっちゃん | 2014年9月11日 (木) 21時47分
かおるさん、コメントありがとうございます。
価格にタイミング、そして原価交渉力。
単品量販にはいろいろな要素が必要だと言う事でしょうね。
そして、一つ一つの要因が積み重なって歯車がしっかり噛み合った時に、大きな爆発力が生まれる。
その一つ一つを大切にする人間だけが単品量販という爆発点を極めていく。
それに妥協しないあるべき心を習得したいですね(笑)。
投稿: てっちゃん | 2014年9月11日 (木) 21時43分
商売は生物なんでしょうねぇ。生きてるからこそ仕掛けのタイミングがある。安さと値頃の違いを判らない担当者も多いのかな?商売はお客様との心理戦であり、お客様との葛藤、探り合いが醍醐味・楽しみだと思うのですがサラリーマン的?机上の計算を重んじる組織の風潮に戸惑いを感じるこの頃です。利益は売上げに付いてくると思うのですが、利益を確定しての売上シュミレーションを求めるので上振れする確率より下振れする確率のが高い現実。組織の大小に関わらず商売、特に価格優位性を打ち出せない企業は、現場の売上に対するハングリー精神を抑圧してはならないと思います。
投稿: dadama | 2014年9月11日 (木) 21時26分
安くしてでも売ってみろ。確かに。(笑)特に最近は安くしたって売れない。安さも価値の一つにしか過ぎないとするとやはり伝える力が必要になりますよね。若手社員には是非経験してもらいたいですね。※自分を棚に上げて言ってますが。(笑)
投稿: かわらい | 2014年9月11日 (木) 20時45分
かおるです。
昨日今日と一泊出張で会社の昔なじみと会っておりました。私より5~6才若く彼が新入社員のころからの青果仲間ですが、この男がとてつもなく量を売る。
他社も含めて彼くらい売る男は見たことがありません。
兎に角、発注の単位がトンだの万だの桁外れ。私も年長の意地で頑張りましたがどうやっても敵いません。
やがて、お互いにバイヤーになりましたが、ここでも相場の先行きを読みぬき早めの商談をまとめ異常値を作る術はとても及ぶところではありませんでした。
本投稿にあるような仕掛けのタイミングや価格の設定に加えて商談相手を説得する(落とす)スキルが凄かった。
彼に敵わないので、私は同じ農産でも別の方向性、商品知識を磨いたりカラコンに凝ってみたり色々あがいておりました。
今ではよい思い出ですが、量売る人が真の商売人だと今でも思います。
投稿: かおる | 2014年9月11日 (木) 19時20分