人の命と人生に関わりたい
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
「私は、人の命と人生に関わりたいのです。」
私は、その言葉を聞いて、腰を抜かしそうになった。
採用面接の第二弾。
当店の会議室で実施されている、来季の採用面接での一コマ。
そう言って、当社への入社動機を語った彼は、昨年の震災時に他県から開店している店舗を探して来店されたお客様との対応を、今でも忘れないと言った。
昨年の3月11日。
その日、彼はあるスーパーでアルバイトをしていたという。
幸いに大きなダメージもなく、そのまま開店を続けた店舗で品出しのアルバイトをしていた彼のそばに、ある男性が近づいてきたという。
「すみません、おもちはありますか?。」
「はい、こちらにございます。」
「いろいろ揃っているね。これとこれ、どう違うの?。」
「これは新潟産、こちらは〇〇産です。」
「開いてて良かったよ、隣の件から国道沿いを来たんだけど、このお店の明かりが見えて入ったら開いていた。本当に助かったよ。」
そう言って、そのアルバイトに感謝をして「おもち」を購入していったのだと言う。
その時に、その子は強く思ったらしい。
“スーパーって、人の命を預かる仕事だったんだ!”
それから、単なるアルバイトとしての金稼ぎという認識から、しっかりバイトをして金と共に、人の仕事を預かるという認識を持ち続け、自分のアルバイトに誇りも持ち続けてきたのだと言う。
“俺の入社動機とは雲泥の差だ!”
私は、とにかく働き口を探していた。
大学4年の12月でさえ、自分の就職が決まっていなかったのだから。
それに比べれば、そこまでこの業界の深層を掘り下げて、自分の未来像を描いているとは思わなかった。
それに対して、人事部長が彼を問いただした。
「そうは言っても君、それは一生に一度あるかどうかの状況だろう。普段の我々の仕事は毎日コツコツと当たり前の売場を持続させる為に、おもしろくも無い品出しや手直しをやり続ける事が日課なんだよ。それを続けられるのかい?。」
そういって、彼の意識を引きずり落とそうとして質問した。
「それは、アルバイト先のチーフの方の姿を見て覚えました。私もその後ろ姿に学んで、日々のコツコツという仕事継続しようと思い、今までアルバイトを続けてきました。」
彼は、人事部長のいじわるな質問にも、動じなかった。
彼が退室した後、人事部長が私に言った。
「一歩も引かなかったな。」
「静かそうに見えても、芯が強いんですね。」
「俺は、あんなのが好きだなぁ~。」
前回も、ストイックな学生の話しをしたが、今回もそんな学生が混じって存在していたのである。
来年度卒業予定の学生から、いわゆる「ゆとり教育」世代なのだという。
私は採用面接を通して、そのデメリットだけでは無く、そのメリットを活かして奥深い精神を持った学生も以外に多いのだと言う認識を持つようになってきた。
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コメント
dadamaさん、コメントありがとうございます。
いずれにせよ、アルバイトの時代にこの仕事の究極の目的を知るということは、彼の今後に大きな影響を与えるだろうと思います。
そして、もしこの業界に入社してくるのであれば、その事を組織の論理の中で追求していってほしいものです。
投稿: てっちゃん | 2012年3月19日 (月) 07時08分
子供の純粋な心が大人になるにつれ良くも悪くも現実に適応力を持つのと同じ事が新入社員にも言えるのでしょう。彼も成長していく過程で会社の利害関係等、現実と向き合う事にはなるのでしょうが、お客様に支持(感謝)されなければ私達の仕事は成り立たない事、支持(感謝)されると言う事は店の存在を認められ、お客様に買って頂いた商品の売上利益から私達は給料を頂戴している事実を私も肝に念じていきたいと思っています。
お客様に感謝される商品の提案がどれだけ出来るのか?私の現場主義の考え方もここが基本になっています。社長や会社が給料を払っている訳ではないのですよね。
投稿: dadama | 2012年3月18日 (日) 22時12分