夢を追いかけて
皆さん、こんにちは。 |
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。 |
ある、若手社員と面接した。 |
「以前から追い求めていた、“夢”を追いかけたいんです。」 |
彼からそう言われ、良く聞きなれた言葉だと思いながら問い返した。 |
「夢とは、何だ。」 |
「もの造り」をしたいんです。 |
「工場とかで、製造の仕事をしたいということか?。」 |
「否(いえ)、工芸とか陶芸とか、作品を作りたかったんです。」 |
「 ・ ・ ・ 」。 |
「辞めて、具体的に、どうするんだ?。」 |
「とりあえず専門学校とか研修所で学んで、その後は、どこかの工房で働き |
いずれ独立して作品造りに専念したいと。」 |
これに対して、私は彼を説得するだけの技量を持ち合わせていなかった。 |
要は、芸術の世界へ飛び込もうとしているのだから。 |
“向こうの世界はどんな世界なのだろうか。私の人生経験が通用するのか?” |
そう思いつつ、勝手な想像をしながら、語り始めた。 |
「我々は組織の中で仕事をしている。そして、人それぞれに評価があり、ピン |
からキリまでの組織人が、それなりに報酬を頂き生活している。しかし、芸術 |
の世界はゼロか100かだろう。認められればどんどん世に出て報酬もうなぎ |
上りだが、認められなければいつまでも下積みで報酬もゼロに等しい。」 |
「そして、認められるという割合は何割程度だ。ほとんど一握りの芸術家だけ |
が認められて成功しているにすぎないのではないか?。それを承知で飛び込 |
んでいくのか?。その辺の事情を良く認識し、いろいろ情報を集めた方が良い |
のではないか。」 |
しかし彼は、十分考え家族とも相談したのだという。結論は変わらないと。 |
「そうか、決めたのか。それじゃとやかく言うまい。それじゃ、ここでの残りの |
人生を送るお前に、次へのステップを歩む為に、やるべき事をお前に言って |
おく。」 |
「芸術家とは、自らの創造力で勝負をしていく人生だ。だから努力していると |
かのプロセスを評価されるのではなく、完成した作品でしか評価されない。だ |
から、当面は人の下について修行するとしても、その先は自らの意志と行動 |
力で、自らの創造力を培っていくしかない。それは修行しながら身に付けるも |
のではなく、自らすでに備えていなければならない素質なのだ。」 |
「サラリーマンは、上司の指示に従い、その方向性を間違えず、その枠の中 |
で結果を出しさえすれば、ほどほどの報酬は受けられる。ある意味簡単だ。 |
しかし、芸術の世界で成功しようとすれば、誰も教えてくれない「美」の世界 |
を自ら見出し、追求し、身につけなければならない。それには、常に現状に |
対して課題を持ち、誰の指示も得ずに自らの声に従って、行動しなければな |
らない。」 |
「これから退社するまで、この企業でその事を追求してみろ。今の仕事で、お |
客様に感動を与えられるような商品化とは?、陳列とは?、そして購買してい |
ただける売場造りとは?。誰にも教わらず、自らその事を追求していける情報 |
収集能力と実践力と技術を自ら追求しながら考え行動して実践してみろ。日々 |
考えながら品出しをし、陳列をし、商品化をしてみろ。今この仕事から、これが |
出来なかったら、将来いくら専門学校で知識を学んだところで、絶対に芸術家 |
としては成功しない。これは学ぶ物では無く、資質として身につけておくべき事 |
だ。誰も教えてくれない。自らつかみ取り、体得して身につけていくものだ。」 |
「そういう意味では、君が退社するまでの私は、逆に厳しく接するだろう。それ |
お前の将来を配慮して、今から身につけるべき芸術家としての姿勢を見極める |
ことになるからだ。そして、この仕事で一流の仕事が出来るという事は、違う |
世界でも大いに活躍できるという事なのだろうと思う。その生き方、考え方に |
触れることを、ここの最後の仕事を思え。」 |
彼は、翌日から、見違えるような行動を示した。 |
いろいろ考えながら、「美」=「感動を与える売場」を実現しようとしていた。 |
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コメント
Dの彼さん、コメントありがとうございます。
本当ですね。一人の人間の行動が変わる。
それは、姿勢や理念が変わること。
その劇的な変化を周囲の人間が見て学ぶ。
そのような状況を常に作りだしていくことがりーだーなのかな、と思っていることろです。
投稿: てっちゃん | 2011年2月16日 (水) 20時35分
けんたさん、コメントありがとうございます。
彼と接して、改めて「人生いろいろ」、と考えさせられました。
しかし、私に言える事は、どの人生も本質は一つ。
ひたむきに、追求していく事。
そして、彼はそれを理解しようとして、行動を変えようとしています。
その姿を見ながら、逆にこちらが学んでいますよ。
投稿: てっちゃん | 2011年2月16日 (水) 20時32分
結果が全ての世界であるがゆえに、
全身全霊打ち込む姿勢というのが
本当に重要になってきますね。
その方にも成功して欲しいですし、
そうした姿がてっちゃんのお店の
他のスタッフにも伝わってもらえたら
嬉しいです。
投稿: Dの彼 | 2011年2月16日 (水) 11時52分
おはようございます
なんだか涙がでそうになりました
上司が部下の人生にそこまで
言ってくれるなんてこれほど
幸せなことはないですね
私もそういう上司でありたいし
そういう気概を持って仕事に
あたりたいと思いました
とても勉強になりました
ありがとうございます
投稿: けんた | 2011年2月16日 (水) 08時06分