歳時にまつわる知識
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
先日の店長会で、「正月のいわれ」についての説明があった。
核家族化が進み、年々、歳時のいわれや言い伝えが薄れ、
いろいろな歳時での行事や行ないが減少していく。
先日の七五三ですら、近い将来は、お参りもせず記念撮影だけで済ませる
家族も出てくるのではないかと心配している。
そんな中で、先日は「正月のいわれ」と題して、商品部長が「紀文」から教わ
った「正月のいわれ」を、我々店長相手に説明してくれた。
我々の世代でも、正確な説明の出来る人間などいないだろう。
その正月のいわれでの一番のポイントは、
「正月は、『年神様』を、それぞれの家に迎える行事」だと言うこと。
更には、おせち料理とは、年神様から一年の五穀豊穣と家族の健康・幸福を
授けていただく為に、年神様に供える料理の事である。
そのお供えしたおせち料理を下げて、家族一緒に頂くことで、幸福になれると
いう事なのだ。
だから、実家に帰って「おせち料理」を食べて、家族の健康を願うという事では
無いらしい。
その家々で、おせち料理で年神様にお供えしなければ、一年の健康は約束さ
れないのだ。
それは、持家だろうが、借家だろうが関係ない。
今住んでいるところが、自宅であり、その家でおせちを作って、食べる事が
大切なのだ。
そして、それを売場で強調する事によって、ある企業では、初年度におせち
の売上が昨年比116%も伸びたという事例が、その資料に付いていた。
よって、我が社も今年度は、そのいわれをポスターにして、ダイナミックに
張り出し、その効果にあやかろうと言うことらしい。
初めは、そのポスターを張り出すだけで、売上が上がると言う、「呪い(まじ
ない)」の世界の話しか、と思って聞いていたが、そうではないらしく、その
説明文を読んだお客様が、実家に帰省するしないに関わらず、自宅でおせ
ちを作るという行為に向かい、その結果として普段買物をしている店舗から
かまぼこや伊達巻、きんとん等を購入するという、「コトPOP」の役割を果た
すと言うことらしい。
その流れを聞いて、ようやく納得できた。
“このままいったら、この企業も「呪い(まじない)」という怪しい世界に飛び込
んでいくのか?”と心配してしまったのだが、最後にようやく理解できた。
「紀文」が作った資料を読んでいると、これらの「おせち」メーカーの危機感が
伝わってきた。
あと10年もすれば、年末のおせち需要は間違いなく半減する。
そのいわれを理解して、日本人が従来の言い伝えを守り、おせち料理に再び
関心を持たなければ、正月だけではなく、四季いろいろの歳時が消えていく事
になり、四季を楽しみわびさびを感じて、その都度都度に暮らしの需要を喚起
してきた産業が滅びていく事になるからだ。
そういう環境を、必死に食い止めなくてはならないし、そうは言いつつも、逆に
変化に対応していかなければならない。
いずれにしても、今年の年末は、店内に「呪い(まじない)」のポスターがベタベタ
貼られることになりそうで、その事によって、おせちは120%ぐらいを目標に掲
たいと思っている。
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コメント
yukiさん、コメントありがとうございます。
そうですか、ホラー映画より怖い日本の食卓の話ですか。
それを生業(なりわい)にしている我々からすると本当に背筋が凍りつきますね。
お客様の歳時記での動向を蓄積してきて今に至っている我々世代の知識が通用しくなっていくのですからね。是非、読んでみます。
ありがとうございます。
投稿: てっちゃん | 2010年11月23日 (火) 20時44分
こんにちは。
お正月に限らず、日本の食卓は崩壊しつつあるのではないでしょうか?
数年前にこの本を読んで、背筋が凍る思いでした。以後、近い将来に従来のスーパーマーケットの常識は通用しなくなるという思いが強くなりました。まだお読みでなかったら、お薦めします。下手なホラー小説よりも怖いですよ。
「普通の家族がいちばん怖い
―徹底調査!破滅する日本の食卓」
岩村 暢子 (著)
※この方は、他にも2冊出されています。
いずれも現代の食の調査報告ですが、怖いですよ。まだ簡単に手にはいると思います。
投稿: yuki | 2010年11月23日 (火) 13時00分