さくらんぼを仕掛ける
皆さん、こんにちは。
食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
本格的に「果実」に入り込んで、約一カ月。
ほんの軽い気持ちで入り込んだが、今では「のめり込んで」しまっている。
週末の単品量販の仕掛けを考えると、本当に「ワクワク・ドキドキ」の体感だ。
それは、仕掛けた単品では、必ず全店1番の売上を達成する事と、地域1番の
売場を作る事を、自分に課しているからだ。
嗜好性の強い「果実」の単品量販により、店舗規模や店舗集客力の壁を越えて
単品量販の商品だけは突出した売上を記録出来る事が、見えてきたからだ。
更に、全店1番、地域1番を自分に課すという「誓い」が、いい意味で、日々の
緊張感を自分自身に与えてくれる。
そして今週は、「さくらんぼ」の単品量販だ。
「さくらんぼ」に関しては、今週の最大ピークに向けて、先週から布石を打ってき
た。
当然、全店1番と地域1番を目指して「発注数量」「売場造り」と連動させ、地域の
お客様へ、当店の「さくらんぼ」のロイヤリティーの拡大を図ってきたつもりである。
如何に、最大ピークへ向けて、お客様の「さくらんぼ」への関心を「当店」へ向け
させるかが、ピーク前へ向かう前週の「布石」となる。
そして、いよいよ「さくらんぼ」の最大ピークを迎えた。
チラシも、初日の木曜日に1パック298円の価格で日替わり特売が入っている。
週毎に「さくらんぼ」の単価が下がってきているのがわかった。
先週は、1k箱を仕入れ、インストアにて298円~箱売り1980円まで品揃えし、
外部のマネキンさんが頑張ってくれて、全社一位を維持した。
そして今週は、298円の売価で、どこよりも先に「298円」ラインのチラシが入る
事を前提に、発注数量を考えた。
担当者が、私に聞いてい来た。
「店長、明日のさくらんぼは、いくつ取りますか?。明日のチラシを見ると、
売価が398円に上がっているんですけど。」
「なにぃ~~~っ。」
本当だ。ゲラでは298円だった「さくらんぼ」の価格が、明日のチラシを見ると
398円に修正されていた。
「原価はいくらだ!?。」
「はいっ。十分298円で売れますよ。」
「よし、開店から298円で行け。そして発注数量は、600p分だ。」
「えっ、ぇ~~~。600pですか?。わかりました。18万分ですね。」
「そうだ。18万だ。多少残っても、翌日売れるだろう。」
どこから、18万が出てきたのか?
“勘” だ。
先週の、マネキンさんが入った土曜日で、約10万の売上と作った。
そして、今週の特売初日は特売価格より100円安で、298円の販売。
その与件を考慮すると、私の頭が急速に回転し瞬間的に18万が湧いてきた。
そして、翌日。入荷した600pを、トレーナーと共に売場に出し切った。
すごい売場になった。こんなに「さくらんぼ」を売場に出して展開したのを
見たのは初めてだ。
多少、箱売りや高単価品を品揃えしたが、ほとんどは298円のアウトパック品で
の展開だ。
“特売初日で、低単価で徹底的に量販するには、アウトパックに絞ろう”
そんな思惑が強く支配したため、極力298円でスペースを確保した。
そして、翌日。当然活発に動いた。
最終的には、約500パックの販売。トータル16万の販売まで伸びた。
翌日は、その残とバイヤー送り込み(600パック仕入れても、更にバイヤーから
送り込みがあったのです)を手詰めで商品化した、販売して、売上を稼いだ。
そして、いよいよ週末の数量計画だ。
私は、悩んでいた。
“木曜の特売初日は、アウトパックで徹底して量販した”
“週末は、どうしようか?”
同じ、アウトパックでは、298円より安価に売価設定しなければ、お客様は納得
しないだろう。
しかし、アウトパックでは、利益が取れない。
“Lサイズの1k箱を仕入れて、手詰めで量目を増やして、高単価を維持しよう”
そして、担当者に言った。
「週末は、1k箱を仕入れて、手詰めで単価アップと利益拡大を図ろう。」
「それで、1k箱を何ケース仕入れますか?。100ケースもいきますか?。」
「いや、200だ。土日で、20万の販売だ。」
平日の特売時には、低単価で徹底して単品量販を図った。
週末には、単価アップ、量目アップ、そして、粗利確保。それでもお客様から
は「安いわねぇ~~!。」と言わせる単価と商品価値を見出すことが、課題だ。
その為には、全て手詰めで、SKUを拡大さ1k箱も量販させ、2日で20万を目
としよう。
そして、担当者は答えた。
「ひぇ~~。200ケースですねぇ~。はい、かしこまりぃ~。」
翌日の、土曜日。
私は、朝から、机を運び込み、入口正面のさくらんぼ売場を設置し、
更にそこに作業台も括りつけ、1k箱を売場で盛りながら、商品化と
陳列をその場で実施した。
いわゆる「さくらんぼ盛りつけライブ販売」だった。
競合店の店長から、同じく競合店の幹部の方とか、かっての企業の鮮魚の
ドンとか、いろいろなお客様との会話もまた有意義なひと時だった。
試食を食べ、商品を吟味し、皆が必ず言う言葉。
「いやぁ~、安いわねぇ~。どうしてこんなに、安いの?。」
「それは、年間365日のなかで、今週が1番、さくらんぼが安くなる週だから
ですよ。今週さくらんぼを食べないで、いつ食べるんですか?」
そうこう受け答えをすると、概ねのお客様は購入してくれる。
土曜日は、まるまる売場に張り付いて、売場の基礎を作り、明日の前準備を
した。
インストアで手詰めをしなければ、商品自体が無い。
明日の分まで、徹底して商品化をしよう。
そう思うと、気分が晴れてきた。
週末は「インストア」に絞る事で、「利益」「試食」「量目」「話題性」含めて、
地域のお客様へ、果実のロイヤリティーの拡大には大いに貢献出来た
4日間だったと思われる。
とかく、「さくらんぼ」は、非常にデリケートな商品である。
入荷2日後には、1k箱の中にも、パック詰めの中にも、数個は痛みが出てくる。
だから、刺身と同じ感覚で発注、展開、売切りを実施しないと大量にロス・廃棄
を発生させてしまう単品だ。 だから、どこも単品量販したくないカテゴリー。
だから、「今年は徹底的に仕掛けてみよう」、と思った。
さくらんぼの最大ピークのこの一週間。
昨年、私が在籍した店舗の一週間の販売金額は、約10万。
今年、私が在籍している店舗の、今年の金額が、 約50万。
他人がやりたくないカテゴリーに手をつける事が、最大のチャンスに生まれ変わ
るという証明である。
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コメント
かおるさん、コメントありがとうございます。
読んでいてくれましたか。ありがとうございます。
自分の性分柄、果実という商売は自分に合っているようです。
生産性に関しては、どの部門もある程度の固定作業が付いて回るため、今後は大幅な改善は見込めないと思われます。
しかし、果実という部門特性から見て、まだまだ改善の余地がある。
それは、十分に事前準備を積んで販売計画を立て、タイムリーな展開を実施し、地域のお客様を根こそぎ巻き込めれば、の話ですが。
その「仮説」を検証すべく、もう少し「果実」に入り続けてみます。今後もご期待ください。また、いろいろとアドバイスください。
投稿: てっちゃん | 2010年7月 6日 (火) 07時45分
かおるです。
いやあ参りました。以前の南高梅レポートにもやられましたが今回のさくらんぼも豪快ですね。信頼する店舗のプロとのやりとりにより納得して購入する、これこそが最もお客様にとって満足度の高い買い物だとすればこの日のさくらんぼのお客様がそうではないでしょうか?ネットではできない買い物体験ですね。勉強になりました。ちなみに生産性向上の観点から果実の量販を語るのを聞いたのは専業の青果業者以外ではてっちゃんさんが初めてです。
投稿: かおる | 2010年7月 6日 (火) 01時03分