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2009年12月25日 (金)

「物」が語る

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


先日の、「カンブリア宮殿」。

 久しぶりに、頑固一徹な仕事人に考えさせられた。

 「メーカーズシャツ鎌倉」     社長  貞末良雄 氏。

 VANの倒産を経験し、後に、創業者の石津健介氏から言われた一言。
 
  「今の企業は、売れるものを作っているだけで、思想が無さ過ぎる。」
  「VANの卒業生は、3000人もいて、何をやっとるんだ。」

 当時、転職を繰り返していた貞末氏は、決意する。

  「流行に流されない、愛される続ける商品を造ろう。」

  そして、それがシャツ。なぜなら、シャツは一年中シーズンレスだから。
  年齢を問わず、一番ありふれた商品にもかかわらず、良いものが無かった。

 創業から16年。今も石津氏の想いを胸に戦い続ける日々。

 そして、今回の貞末氏の言葉には、絶頂期と倒産時のVANを経験した男の
 商売の真髄が散りばめられていた。

  番組の中では、誰が何と言おうと、シャツは下地にぴったり貼り付けて製品
  化すれば、折り目が付いてしまうことを嫌い、見た目が悪くても、ソフトに折り
  たたみ、最終の袋詰めをすることを、会議で強調していた。
  
 そんな中にも、貞末氏の、シャツに対するこだわり、売れる製品化ではなく、
 買ったお客様の事を考えた製品、商品へのこだわりがうかがえた。

  「物が語ってくれなければいけない。」
  「大量生産してものは、買ったその日が一番いい日で、そこから飽きがくる。」

  「良い商品とは、お客様とともに、人生を歩む。だから、5000円のシャツで
   着心地が変わり、人生が変わる、と言う事を語ってくれる物を造りたい。」

 また、商品造り、製品投入へのこだわりもある。

  大手アパレルメーカーでは、4シーズンごとに、大量生産するのが恒例だが、
  鎌倉シャツは、2週間で売り切れる、少量多品種生産をメインとする。

 縫製工場からすれば、これがありがたい。
 
  毎週新商品を発表する為、少量多品種で発注。
  常に安定した発注で、繁忙期、閑散期の無いコンスタントな発注が、
  縫製工場にはありがたい事であり、これが、コストダウンの要因へつながる。

 また、現在の価格競争を考えた時、それは、長く続けられないだろうと見る。
 企業として、そんな事を続けていて、将来があるのか?、と。

  あくまでも、値段で勝負は、最終手段。

 チラシでコストをかけるぐらいなら、チラシを入れずにその分のコストを、更に
 良質の製品へかけていき、更なる顧客満足に結び付けたい、とも言っている。

 また、VAN絶頂期の営業会議で、彼はこんな発言をした。

  「今季目標が180億なのに、300億売ったと言うのは、逆に問題では無いの
   か?。目標に対し、製造部が勝手に増産していたという現実は、おかしい。」
 
 後日、過剰在庫で、VANは倒産。
 あまりにも、成功体験が強すぎた組織の行く末を予言した現象だろう。

 最後に、商人道については、こう言っている。

 「お客様というのは、その企業が持つ情報というよりは、その企業が持つ“信念”
  を買ってくれている。企業を尊敬し、ロイヤリティーを感じるから購入するので
  あり、お客様とのコミュニケーションが成り立たないといけないのであって、そう
  いうことをきっちりやることが、“商人道” だと思っている。」

 こんな人から、安心して商品を購入したい。
 いつの世でも、ブレない企業の姿勢を、見た思いだった。

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コメント

ユア・アイズさん、コメントありがとうございます。
生鮮を扱う者として、「誇り」と「こだわり」と「信念」を持って臨みたいですね。
そして、お客様には、こんな言葉をかけてみたい。
 「このオードブルは、今日のパーティの話題になりますよ。」
そんな、自信を持って提案できる食材で、お客様には食卓を囲んでいただきたいですね。

投稿: てっちゃん | 2009年12月25日 (金) 10時56分

シャツをまるで生鮮品を売るかのように扱われている、「メーカーズシャツ鎌倉」。もっと私たちのほうが高い意識を持たないと、非生鮮品を扱う「生鮮屋」になってしまうのではないかと考えさせられました。

投稿: ユア・アイズ | 2009年12月25日 (金) 10時34分

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