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2009年9月 3日 (木)

教育の絶好の機会(キウイ売場から)

皆さん、こんにちは。
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


9月1日は何の日?。

 青果の販売計画を聴いて、毎年の事ながら思い出す。

  「あっあぁ~、思いだした!、キウイの日かぁ~。」

 そんなレベルだ。
 そして、今回は、こんな言葉を付け加えた。

  「売れねぇんだよなぁ~。」

 青果チーフから、「数量どうしますか?」、と聞かれて、

  「昨年と同じで、いいんじゃぁねぇ~のかぁ~。」

 後で、この事を後悔することになるのだが・・・。

そして、翌日、8月31日。

 夜に、新入社員2名が、青果入口の特設コーナーで、キウイ売場を作っていた。
 前日の私との会話で、チーフも新入社員にでも造らせようと思ったのだろう。
 
  ひどい、売場だった。

 私は、チーフ交えて、新入社員2名に言った。

  「この売場は、ただ商品を出しただけの売場だ。」
  「商品を、ただ出しゃぁ~良いっちゅうもんじゃぁ~ねぇ~だろ~!。」
  「やり直しだ。明日の朝、もう一回造れ!。」

 新入社員にとっては、屈辱的な言葉だったろう。
 その後、先輩社員も含めて、いろいろ打ち合わせをしていた。
 そして帰り際に、新入社員が私に言った。

  「イメージが浮かびましたので、明日の朝、作り直します。」

翌朝。

  キウイ売場が甦っていた。
  私は、新入社員2名を、キウイ売場に呼んだ。
  彼らは、“今度は、何を叱られるのだろう?” とびくびくした表情だ。

  「私の予想以上の売場だ。この売場は、良い!。」

 率直な感想だ。
 そして、直感的に、感じた。

  “今日は、この二人に「商売」を教える、いいチャンスだ”

 そして、続けて、言った。

  「いま、こうしてキウイ売場を作ってもらった。それが君らの仕事だった。
  しかし、この商品を手配したバイヤーがいる、売場計画したチーフがいる。
  そして、これからこの売場を飾り付ける店長がいる。最後にこの商品の試
  食を出して売り込むマネキンさんがいる。いろいろな人の手が入って、どん
  どんこの売場は進化していく。これだけ素晴らしい売場を作ってくれた君た
  ちに、私は更に飾り付けをして進化させてみせるよ。」

 マネキンさんの前で、敢えて、聞こえるように言った。
 
 10M先からでもわかる
  「9月1日は、キウイの日」 の媒体の設置。
 
 そして、新入社員に、キウイを半切りにして、中を見せるサンプルを作らせた。
 どんどん、売場が進化していく。

  “良い売場を作れば、売場は自然に進化していくんだ”

 それを、教えたかった。
 
 ベテランのマネキンさんも心得たもので、新入社員と話し合って、更にレイアウト
 や、陳列の仕方などアドバイスをしてくれていた。

お蔭で、予定金額6万分の数量が、お昼過ぎにはカラカラになってきた。

 商品部に連絡して、追加の手配をしてもらった。
 ゴールドキウイ30ケースの追加。
 市場もこの数量には、持参せざるを得ないだろう。

 自分たちが、何気なく作った「キウイ売場」。
 その売場が、自分たちの想像を超えて、どんどん進化し、
 お客様が、どんどん買いこんでいく。
 商品が、どんどん売れていく。

 新入社員たちも、楽しくなってきたのだろう。
 自ら、積んだ商品の底上げをして、徹底して商品を見せる事を怠らなかった。

  「商売の楽しさ」
  「商売の醍醐味」
 
 それを感じた瞬間だろう。
 そして、私も感じた。
  “今日は最高の教育の場が訪れた。とことん入り込もう”

 ピークの4時頃、再度、新入社員を売場に呼んで、言った。
 隣には、マネキンさんが立っている。敢えてその場で、言った。

  「いいか、ここからが大切だ。」

  「良い売場を作って、計画した商品を、全て売場に出し切る。ここまでは、
  普通の人間のやる事だ。一流か一流でないかは、ここから先なんだ。」

  「一流の仕事人は、計画した商品を、ケツの毛まで売切る人間だ。その為に
  ここから先、この売場をどんどん変化させ、更に進化させ、売切る売場に
  変えていく。そういう努力をするのが一流の仕事人だ。」

  「たとえば、1個売りだけではなく、袋詰めした商品も出したりしながら、
  まとめ売りをしたり、箱売りしたり。そうやって最後の最後まで詰め切
  って売切って、初めて一流になれるんだ。知恵を絞ってやってみろ!。」

 それを聞いていたマネキンさんが知恵を出してくれたのだろう。袋売り用の
 円形のザルを持ち出して、売場つくりに変化が出てきた。
 そして、キウイの売り方に更に深みが加わってきた。

  ピーク過ぎても、売れ数の勢いは止まらなかった。

 午後6時過ぎ、例のマネキンさんが、終了のサインを求めてきた。
 私は言った。
  「今日はありがとうございます。彼らも、いい勉強になりましたよ。」

 午後6時30分。私は、最後に彼らを、休憩室に呼んだ。

  「今日は、本当にご苦労さん。」

  「商売とは、こういう事なんだよ。ただ物を並べることではないんだ。
  “いくつ売る”という意志を入れて商品を発注し、意志をいれて売場を作
  り、その売場を何回転させるのか?。そこから発注数量が割り出される。」

  「そういう発想で計画するから、普段4ケースのキウイが、今日は60ケース
  の発注数量になる。まずは30ケース売場に出し切り、それを2回転させる。」

  「最後に、一流の仕事人は、残りのキウイを元売場に収納し、今日の特設
  売場を明け渡す。そして、明日はまた同じ様に、意志の入った商品があの
  場でお客様を喜ばせる。これが一流の仕事人の仕事の仕方だ。」

  「今日君たちは、その実体験をした。そして理解できたはずだ。ここまで詰
  めて仕事をする。それを何回も何回も経験していけば、5年後には、そうしな
  かった人間と比べると、雲泥の差で君たちの前に現れる。さぁ、どっちを取る
  かだ。あとは、やるかやらないか、君たち次第だ。自分の人生なのだから。」

 その後、彼らは、今朝の表情とは雲泥の差で、キウイを元売場に収納していた。

 毎日、コツコツ教育していく事も大切だ。
 毎日、当たり前の事を、当たり前に出来る事も、実力。

 しかし、今日のように、徹底して1日の流れから、商品の売切りまで含めて
 商品の流れを、体に叩き込ませる事も大切。

 私にとっても、9月1日は、「熱い」一日だった。

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