ひたちなかMR
皆さん、こんにちは。
北関東の食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。
今年最後のMR報告。
妻の「趣味のステンドグラス」の付き合いで、ひたちなか市のJ社まで行くことに
なった。
ついでに、私の趣味も実現することにした。
外は、快晴。ドライブ日和だ。
北関東道の終点になったおかげで、ひたちなかの海浜公園の開発が活発だ。
以前からのJ社の周辺には、アウトレットが立ち並び、シネマとも合わせて週末
の一大集客スポットとなっている。
最近のMRでは、あまり細かい商品面にはこだわらず、この企業が何をめざして
いるのか?、を詮索するMRに切り替えている。
どのような商売をしていくのか?、そして、何を得ていくのか?、そのサイクル
から、どう商売を成り立たせていくのか?。
まずは、海浜公園へ行く途中に、「Y社」を見た。
2年前にオープンしたY社は、当初から売上は好調だったが、その後の展開が
楽しみだった。
集客力は相変わらずだった。更にオープン当初は静かだった店舗オリジナルの
合同展開などが、店舗主導でのレイアウトに変更され、更にプロパーに自然に
設定され違和感なく演出されている。また媒体や他部門の関連商品の展開も
実質の関連と演出がマッチし、非常に見ごたえ?のある展開がなされていた。
しかし、青果等の価格面でのアドバンテージは少なく、安さの提案力は他競合
と比較すると低下しているようだ。
以前と比較して、売場のボリュームを相当絞り込んでいるのがわかった。
その絞込みが目立たぬように実現しているのがY社の強みでもある。
売上と利益の両立をめざしているのがわかる。
次に、「J社」
巨大ホームセンターにテナントとして入るこの店舗内には、更に、青果と鮮魚
が別テナントとして入居。
よって、店舗レイアウトは、青果から入り、自社の精肉、惣菜、そして鮮魚と
まわるレイアウトだ。
この食品スーパーは、巨大ホームセンターが有する広大な商圏をおおいに活用
し有効に利用しているといえる。
果実、輸入牛肉の安さを武器に、ホームセンターが吸引した広大な商圏が来店
される客数に、有効に量販を実現し、更に、そこそこの安さのグロサリーのダイ
ナミックな陳列がお店のイメージを確固たるものとしている。
このお店は、ホームセンターの広域の集客力をおおいに利用し、お客様に、
「ここまで来たのだから、ついでに買いだめできる生鮮品を大量購入する。」
商売を徹底している。そして、それがおおいに効果を上げてきた。
しかし、このお店の精肉のボリュームも、絞られてきた。
前出のY社同様に、以前のボリュームが嘘のように消えていた。
いよいよこの手の広域商圏店舗にも不況の波が押し寄せているのだろう。
それに対して、ジャストインタイムな商売に切り替えてくるあたりがしたたかだ。
また、このお店は、徹底して、生鮮のコーナーでグロサリーの関連商品を売り
込んでいる。お店としての荒利ミックスの徹底である。焼たれ、鍋つゆ、調味料。
生鮮商材同様に、所狭しと並び提案されているグロサリー商材はどれも利益品。
こんなところにも、この企業の商売に対する姿勢が見えている。
「S社」。
茨城南部に本拠を置く地域スーパーのS社は、このお店も主力店舗のひとつな
のだろう。火曜の集客力が高かった。メイン通りに面し、厚みのある基礎商圏の
恩恵をしっかりと受けていた。
売場は、ピークの4時にも関わらず青果、鮮魚は薄い。それがこの企業の商売
なのだろう。この企業のあるべき売場に対して存在する人員。その結果から創
出される最終利益が、この企業の目的なのだろう。だから荒利率は追わない。
追うのは、厚みのある基礎商圏に支えられた客数がしっかり来店される為の
価格と、売上からついてくる荒利額。それを、今この企業で実現できるレベルで
追うこと。だから結果としての無駄は少ない。しかしおもしろさも少ない。そして
あえて、それを追わない。それがこの企業の商売哲学なのだろう。
「K社」。
北関東及び、東北にも一部進出しているリージョナルのK社。
この店舗は、400坪程度の小型店舗であり、20年前の基幹店舗といったところ。
規模は小さいが、しっかりマネジメントされ、縦割りや手直しが満遍なくされてい
る。
しかし、価格面での競争力が無い。キャベツ、レタスが1個250円前後で堂々と
展開されているのが、商売感度の問われるところ。それもこの店舗の商売であり
この地域のお客様を向いているのかも知れない。しかし午後4時での集客が少な
前出のS社に奪われていると思われる。更に、センターパックの精肉の売場には
商品が並んでいない状態。発注精度のむずかしさが売場に反映されていた。
逆に、お惣菜は3段積みのてんこ盛り状態。これからの時間帯の、このお店の
商売がお惣菜中心に回っていくのであろう。それにしても、生鮮3部門と比べて、
いけいけのお惣菜部門は、女性中心のオペレーションのように思われるが、
商売に対しての女性の底力が現れたお店である。
最後は「K社」。
前出①の傘下に入ったK社は、以前の中途半端さは無くなり、完全にY社のマネ
メントが定着してきているようだ。
特別、何が特徴というものは無いが、全てにおいてワンストップとしての品揃えと
安定した鮮度、そしてプロパーの品切れの無い売場。地域の1K商圏のお客様
を囲い込む戦略。こんなお店が増えれば増えるほど、巨大広域商圏を対象とす
る商売は成り立たなくなってくる。地域スーパーはこれでいいのだという方向を
明確にして進めているK社だ。そして、1K商圏内のお客様は、こんな店舗があ
るから便利だし、感謝するのである。そのお互いの信頼関係が根付いてくること
が、地域スーパーの使命なのだと思う。
今回のMRから
2年前にMRした当時と比較して、各社とも、売場のボリュームの変化(絞込み)
が大きく変化していた。このような時代にあって、無駄なロスがいかに企業業績
を圧迫するかの問題に対処しているのだろう。そして、それに合った人員計画
を実現させているかが見えてきた。
時代が変われば商売の仕方も変わる。
そしてそれに応じて現場が進化する。
その進化のスピードが武器になる時代だ。
更に、競合が激化する中で、どんどん商圏は狭まる。
その狭い商圏で商売を成り立たせられるか?、の問いに仮説を立て
検証を繰り返すサイクルのスピードが企業の生命線なのである。
その問いを現場で検証する最高責任者が店長だ。
その自覚をもって店長として臨む。その一人一人の戦いに勝つこと。
そんな事を意識しながら、帰路についたのでした。
PS
ひたちなかエリアの写真を載せましたhttp://tetu-syoubai.cocolog-nifty.com/photos/hitatinakaeria/。どうぞ。
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