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2008年10月28日 (火)

蒟蒻畑の件

皆さん、こんにちは。
 北関東の食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。


約2週間前だろうか、グロサリーチーフが私に言った。

 「店長、蒟蒻畑が製造中止になるらしいですよ。」
  「なぜ?。」

 「えっ、知らないんですか?。また、蒟蒻畑を食べて死者が出たらしいですよ。」
  「知らなかった。」

  彼は、私に、発注をどうするか、確認したのだ。

 「いっぱい、発注しておいたほうがいいですよね?。店長?。」

  私は、一瞬、嫌なものがよぎったが、それ以上に、蒟蒻畑が消えることで、
  困る人たちの顔が浮かんだ。

 「問屋に、在庫を調べさせろ!。そしてファックスさせろ!。」

  グロサリーチーフは、早速動いた。

 さすがに関西の大阪出身である。このような商売の機微には目ざとい。

  間もなく、問屋から「蒟蒻畑」の在庫数量がファックスされてきた。

 「店長、結構在庫ありますね。各アイテム、20箱ずつ送ってもらいますか?。」

  在庫を見ると、グレープが80ケース、アップルが120ケース等あった。

  私は、彼に言った。

 「グレープは一番の売れ筋だ。グレープ50箱、アップル30箱、ピーチ20箱、
  その他は10箱ずつで良いだろう。」

 「はいっ、わかりました!。」

  彼は、早速、バイヤーを通して、問屋に発注した。

 売る、売らない。売れる、売れない、は別にして、まずは、在庫確保だ。

 道義上の問題に、心は引っかかったが、あの商品が消えて、逆に、残念に
 思うお客さまがいるのも事実。

  商品が納品される間、本部からの指示は、特別なかった。
  本部から、販売中止の指示があれば従うまでだ。

  テレビ等のメディアでも大きく取り上げられていたが、逆に、ネットでは製造
  中止への批判も多いと報じていた。
 
 3日後に商品が入荷。
  半端な数量ではない。

 早速、10尺ほどのスペースを使用し、大陳。
 入荷の3分の2を売場に出しきった。

 予想通り、グレープの動きは突出している。

  その後、本部から、私のお店以外に送り込みがあった。
  それでも、各店は、在庫が切れてきている。

 競合各店も、在庫はゼロ。

  しかし、今回の件では、なぜか優越感には浸れない。
  いまだに、心に引っかかっているものが、拭えない。

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コメント

かおるさん、コメントありがとうございます。
この件に関しては、叱責のコメントも覚悟していました。
昨日も、ヴォルビックの自主回収の報道。携帯のテロップを見て、すぐさま本部へ連絡。本部から商品撤去の連絡が入りました。
状況しだいでは、判断ミスが命取りになりかねない事態ですよね。
このような事態では、私はいつも当社の「経営理念」に戻ることにしています。誰の為の商売なのか?。誰の暮らしを豊かにしていくのか?。
かおるさん、本当にあたたかいコメントありがとうございます。今後ともよろしくお願いいたします。

投稿: てっちゃん | 2008年10月30日 (木) 06時50分

はじめまして。西日本のスーパーでスーパーバイザーやってますかおると申します。いつもブログ拝見してましたが本日は大いに共感するところがありコメントしてしまいました。人の死や事故に起因する事柄を商売に結びつける事に対する割り切れなさと、真摯にお客様のニーズに向き合う商売人としての自分との間でゆらぐてっちゃんさんを感じてしまいました。陳腐な表現で見当違いであれば申し訳ありません。しかしそんな人間臭いてっちゃんに皆ひかれ慕っているのだと思います。(私もふくめて)

投稿: かおる | 2008年10月30日 (木) 00時34分

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