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2008年6月 7日 (土)

マネジメントの本質

皆さん、こんにちは
 食品スーパーで店長をしている「てっちゃん」です。

10店舗以上を持つチェーンストアともなると、部門毎にバイヤーがいて
品揃えを標準化し、売価、特売、陳列台帳を統一し、配送も一定化し、
ほぼ同様の店舗運営がなされている。

 しかし、個店ごとに、業績のバラツキが出るのは、なぜか?

 隣に競合店が出来ても、昨年クリアしているお店もあれば、
 何の外的与件もないのに、売上がジリ貧になっていくお店。

 経験値で言うと、外的与件が厳しくなればなるほど、数値は落ちないものだ。
 何の与件も無ければ、危機感もなく、売場の進化もなく、数値もジリ貧。

結局、企業の業績は、個店の業績の集積。
    個店の業績は、部門の業績の集積。
    部門の業績は、個人個人の成長の集積。

個人個人は、毎年毎年、機械のように、成長し続けるのだろうか?

 ここに、

   経営  =  人間とはなんぞや?の解明

                   の謎が隠されている。  

 毎年、経営方針を受けて、事業部方針、店舗方針、部門方針を作成する。
 それは、過去の実績と動向を踏まえ、一年後、三年後の方向を定め、
 その目標に到達するために、店舗、売場のあるべき姿を想定し、動く。

 しかし、これは、「組織」「人間」が合理的な存在である事を想定している。

 本当に、「組織」「人間」は、合理的な存在なのか?

  誰でも、心の奥底では、そんなハズは無い、と思っている。
  しかし、組織の理論上、それを肯定する事はできない。

 現実の「組織」「人間」は、もっと、ドロドロしていて、複雑で、混沌としている。

 そして、合理性からはみ出した部分が、合理的な部分と比べて、
 はるかに大きく、はるかに大切で、はるかに本質的なのである。

 マネジメントとは、それを認め、評価し、そこからスタートするものである。

 個人個人は、店舗方針を受け、自ら部門方針を想定し、自ら動こうとしている。
 店舗の業績を左右させるのは、部門チーフの働き方しだいなのである。

 ここに、私が、以前のブログで書いた、

  「心のあるべき姿」の追求が問題となる。
  

 部門チーフほど、売場のあるべき姿を熟知している存在はいない。
 
なぜ、出来ないのか?

 「心のあるべき姿」になっていないからである。
 
 素直に、合理性へ向かおうとする、心のあるべき姿。
 素直に、問題を共有し、共に合理的に進もうとする姿。
 素直に、評価し、評価されながら、信頼関係を持とうとする姿。

 そのような、心のあるべき姿が、担当者に備わっているのか?
 そのような、準備が出来て、初めて、売場のあるべき姿へ向かおうする。

  そして、ほとんどの場合、上司との関係が、全てを決める。

 そうして、心のあるべき姿を得た、合理性からはみ出した部分は、
 合理的な予測を超越して、現実を大きく変え、実績を大きく変えるのである。

これが、マネジメントの本質である。

 合理性という、テクニックに頼ったマネジメントでは、脆い(もろい)のである。
 合理性からはみ出した、遥かに大きい本質に、入り込む覚悟がいるのである。




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コメント

KEINさん、いつもコメントありがとうございます。

KEINさんの言うとおり、従業員の雰囲気はお客様に通じるものです。

業界関係者が、良しとする売場が、必ずしも業績は良くない。よくある話です。

これは、お客様を向いていないと、言う事。

誰の為のお店なのか? 誰に便利なお店なのか? 店長が真剣に、自分のお店の存在価値を認識し、地域のお客様を豊かにしていく、という強い「意志」。
そして、それを実現するために、部下に活躍してもらう。

一店舗100名程度の組織であれば、店長一人の意志と力量で十分コントロールできるもの。

そして、その一連の流れを規定した「マニュアル」は、どこの企業にも無い、ということ。

KEINさんも、今が一番それを、客観的に見れる立場。自分が店長だったら、この問題はこのように解決しよう、こう判断しよう。そんな目線で副店長に取り組むと、更に見えてくると思います。

投稿: てっちゃん | 2008年6月10日 (火) 09時40分

私はチーフ時代が長く、異動が多かったので11人の店長を見てきました。そのなかで仕事が抜群にできるのですが、恐怖政治でマキャベリズムの店長がいました。取り組みをしても褒められる事はなく、いつも苦虫を噛んでいるような顔をしていました。正論とパワハラすれすれで弱点を徹底的に攻められ半鬱になったり、耐え切れずに辞める社員・パートも多くいました。私も真剣に転職を考えました。店の雰囲気は最悪でした。売場のレベルは高かったのですが、そこには心が入っていませんし、従業員の雰囲気はお客様に通じるもので売上は下降していきました。私の一番の反面教師です。

投稿: KEIN | 2008年6月 9日 (月) 22時49分

KEINさん、コメントありがとうございます。

私は、副店長時代が非常に長かったのです。
同期、後輩、高卒の同期にまで抜かれて、ようやく店長に昇格しました。

結果、いま、こうして店長をさせていただいておりますが、副店長時代に、いろいろな店長と共に仕事をして、いろいろなマネジメントを見てきました。
そして、店舗運営、売場造り、計画、部下育成等。

一番感銘を受けたのは、私を店長に引き上げてくれた店長です。
その店長は、お店の立ち上げのパーティーで、皆の前で、涙を流したのです。
最後の店長挨拶の時に、「ここまでこれたのも、皆さんのおかげです」と、涙をぼろぼろ流しました。そこで、お店は完全に一つになり、新店の開店は、見事に成功。チームワークの良いお店として定着したのです。
これが、店長の存在価値なのだと思いました。
そのような、絆の強いお店が、私の理想像として焼きついているのです。
KEINさん、またコメントください。

投稿: てっちゃん | 2008年6月 9日 (月) 20時49分

同じチェーンストアでも、店の雰囲気が全然違いますよね?その理由はその店の歴史+店長で決まるように、経験から感じます。店長の仕事レベルや価値観、何に重きを置くかで部下の行動って変わるように思います。そして何よりも大切なのは、店長の人間性ではないかと思っています。これは一朝一夕では変えることができない人生そのものみたいなものですよね?てっちゃんさんの部下達は今貴重な経験ができてるんだろうなぁって想像します。そして卒業してから気付く事が多いんだろうなぁって(^O^)

投稿: KEIN | 2008年6月 9日 (月) 12時07分

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